音の専任技術者
正月が終わると直ぐに3学期が始まりいつもの生活へと戻っていく。
春彦と伽羅は譲の運転する車で登校すると2年A組の教室へと入った。
教室では既に伊藤朔と田中悠真が席に座っており二人は彼らを見ると声をかけた。
「おはよう、夏月君に松野宮君」
「おっはよう、夏月に松野宮」
春彦は席に鞄を置きながら
「おはよう」
と答え
「三学期は学期末テストだけだから助かるけど直ぐに期末テストって気分だよな」
と笑って告げた。
そう、正月気分が抜けるともう学期末テストが目の前なのだ。
2月中旬くらいから始まる期末テストの成績次第で大学のことも考えなくてはならなくなるのだから話題はそこに集中することが多い。
朔は小さく息を吐き出して
「そうだね」
考えれば後二週間そこそこだからね
と言い
「そう言えば、夏月君は理系だけど三年もそのまま?」
と聞いた。
春彦が進路を法学部へと変えたからである。
探偵には法律などの知識が必要なのだとアルバイト先の海埜七海から聞き大学は法学部と決めたのである。
それまではIT関係の仕事に就くために理系を選択していたのだが言わば大きな転換であった。
春彦は首を振って
「いや、文転しようかと考えてはいるんだけど…二年の足りない部分は勉強頑張らないといけないなって思ってる」
と告げた。
「まだ、一年あるから大丈夫かなぁとは思ってるけどな」
悠真は腕を組んで
「まあ、聞きたいことがあったら松野宮以外の奴に聞いてくれ」
と告げた。
…。
…。
春彦は目を点にして
「いや、そこは自分に聞いてくれじゃないのか?」
それに引き合いが伽羅って
と苦笑し
「田中は理系だったっけ?」
と返した。
悠真は「俺も文系だから聞いてくれていいぜ」と答え
「ただ、松野宮、お前赤ギリだったろ?」
とニヤリと笑った。
伽羅はヒーと顔を引きつらせると
「…けど、赤は取ってない!」
とドーンと机の上に拳を置いた。
その背後から神宮寺凛が
「それは自慢にならないだろ」
松野宮君
と答え
「夏月君、文転するなら先生に相談しておいた方が良いと思うけど?」
理系から文系とか文系から理系とかの転換ができたかどうか確認した方がいい
「ダメだったら地歴と政経を別途勉強する形にしたらいいだけだし」
と告げた。
「大学の共通一次はどちらにしても理数系も関係してくるからな」
春彦は腕を組むと
「そうだよな」
と言い
「東都大学の法学部の受験科目調べてからの方が良いかもしれないな」
と呟いた。
それに朔は
「え!?」
夏月君は東都大学受けるつもり?
「このまま西海道大学じゃないの?」
と聞いた。
春彦は少し困ったように
「んー、お母さんと春馬兄さんに相談しないとだけど…直兄のところへ帰りたいなぁとは思ってるんだ」
と告げた。
凛は「そうか」と言い
「凄く寂しくなるけどな」
と告げた。
朔も「本当に寂しくなるな」と呟いた。
悠真もまた
「けど、しょっちゅう九州来いよ」
飛行機でヒュンだからな
と告げた。
朔は伽羅を見ると
「松野宮君は?」
こっちに絵の先生もいるけど…どうするの?
と聞いた。
伽羅は笑顔で
「俺も春彦と一緒に東京の美大受けようと思ってる」
と告げた。
「けど、まだ一年あるからさ」
その時、横手から
「だよな、まだ一年あるし」
島津家の次男だから大いに反対されると思うけど
と陸奥樹が姿を見せた。
「もうすぐ授業始まるよ」
それに全員が慌てて自分の席に戻った。
樹は笑いながら
「俺も、夏月君と松野宮君がいなくなるの寂しくなる」
せっかく友達になれたばかりだし
と言い、手を振って自分の席へと戻った。
いつの間にか。
気付けば九州にも大切な人が出来ていたのだ。
春彦は笑顔で伽羅を見て
「俺、本当に九州に来てよかった」
直兄たちのように俺達にも大切な友達が沢山出来たし
「きっと一生付き合っていく親友だと思うんだ」
と告げた。
伽羅も頷いて
「俺もそう思ってる」
と答えた。
九州へ行くことを始めは嫌がっていたが今は感謝している二人であった。
リバースプロキシ
最後までお読みいただきありがとうございます。
続編があると思います。
ゆっくりお待ちいただけると嬉しいです。




