第四章27ページ
少女は幸せだった
優しい両親に囲まれ、友達に囲まれ幸せな毎日を送っていた
しかし、ある時その幸せは崩れた
両親も友達も失い少女は一人生き残った
一族のために、自分のために生きろとその言葉だけを胸に少女は一人で生きてきた
カヤ【ごほっ・・・今のは走馬灯か・・・】
口から血を吐き深々と刺さった刀には大量の血が滴っていた
ぶんっとカヤはバロン達のいる場所とは反対方向へと投げ捨てられる
カヤ【う・・ぐ・・私は死なない!】
傷口をおさえながら立ち上がり太刀を杖にしてやっとの思いで立っているそんなカヤを嘲笑うかのようにシステムメッセージが流れる
ウェーブ1、2のペナルティ発動
カヤを囲むようにヒトキリが追加で四匹現れる
先ほどカヤを串刺しにしたものも含めれば全部で六匹のヒトキリがここに現れたことになる
バロン【まずいですね、助けに行かなくては】
ネネ【うわぁ、あそこまで深く突き刺さったら流石に・・・】
緑【痛そう?】
ネネ【気持ちよさで失神しそうですね】
バロン【平常運転ありがとうございます】
それだけ言うとバロンは走り出しカヤが体力を減らしたヒトキリにロケットランチャーをぶっぱなす
直撃して残り体力1.5割まで削る
そこに緑が巨大化させた弓を撃ち込み残り1割へと削り
ネネ【必殺!自爆!】
ヒトキリの目の前に跳躍、そして0距離で爆破魔法を放ち自分ごとヒトキリを吹き飛ばす
ネネは体力を5割削るもヒトキリを一匹倒すことに成功する
バロン【この討伐スピードでは間に合いません】
一か八か、ヒトキリのわきを抜けようとするが回り込まれ押し返されてしまう
バロン【なんとかしなければ】
ヒトキリはカヤがよろめきながら攻撃をかわすのを楽しんでいるかのごとく当たるか当たらないかの距離で刀を突き刺していく
そしてついに足をもつれさせ地面に伏してしまうカヤ
そのカヤに止めを刺すヒトキリ、背中から刀を突き刺されるとカヤの体力はみるみる減っていく
刀を抜き首を飛ばすつもりで振り下ろす
ネネ【そんな、そこまでしなくてもっ】
バロン【っ・・・体表が硬すぎる、銃弾がはじかれます】
緑【弓も駄目、全然刺さらないよ!】
首が跳ねられる、その瞬間少女はまた思い出す
???【なんだ行くとこ無いのか?じゃぁうちにきなよ、部屋はいっぱいあるし】
???【板についてきたみたいね、似合ってるよ】
そう大切な思い出、一人で生きてきた少女に手をさしのべ居場所を与えてくれた思い出
一人だと信じ、一人で生きていくと決めた少女が一人で生きていけなくなってしまった思い出
あぁ、せめて最後にもう一度あの人に・・・
カヤ【会いたかったなぁ】
そして刀は無情にも振り下ろされた