第四章26ページ
キシァァァァァと唸りをあげ、カヤへと視線を向けているヒトキリ
カヤ【・・・くる!】
太刀をいつでも抜けるように手を置き動き方をうかがうカヤ
次の瞬間フッとヒトキリの姿が消える
消えたと同時にガッキィィィンと言う金属音と共にカヤの体が空中に弾き飛ばされる
どうやら高速で斬りかかってきたヒトキリの腕を太刀で防ぎそのまま自分からわざと空中へと弾き飛ばされたようだ
空中をきりもみし落下しはじめるカヤの真下にヒトキリが両手を構えて待ち受ける
獲物が射程に入ったら切り刻む、動きだけでみればそう言っているように聞こえる
しかし今この瞬間において獲物はどちらなのか
落下しながらニヤリとカヤは笑う
そして落下しカヤが射程に入ると両手を使いカヤを切り刻む
が、その攻撃を空中ですべていなして尚且つ胴体に一閃
一撃を喰らわせ無傷でカヤは着地した
カヤ【我流・・・蝉時雨】
そんな技があるのかどうか、それすらもわからぬがヒトキリの体力はガリッと1割削れる
バロン【あれで1割だけですか】
緑【カヤさんの援護をした方がいい?】
バロン【いや、下手にこっちが動くとカヤさんが危ないからやめた方がいいでしょう、やるとしてもカヤさんが危ないときに援護するぐらいがいいはずです】
バロンの言葉は正しく、今集中しているカヤの側で足並みを揃えて戦えるものなど一握りいるかいないかと言うレベルである
カヤ【やはり速い・・・そして硬い・・だが、見切った】
相手の攻撃をかわしてこちらの攻撃を一撃いれただけだがそれで相手の動きのほぼすべてを見切ってしまう
それは凡才に出来ることではなく天才剣士カヤだから出来ると言っても過言ではない
幼少より実戦を重ね命の危機を何度も乗り越えてきたからこそ身に付いた実戦に基づく努力とそれをモノにする才能だ
そこからは一方的だった
ヒトキリの攻撃はどれだけ不意を突いていても当たらず、逆にカウンターで斬られてしまう
カヤは集中すると無類の強さを発揮する、そして集中してるからこそ周囲を見る余裕もうまれる
故にいつもの事だがやはり思ってしまう
カヤ【やはり、私についてこれるものはいない・・・か】
バロン達の姿をチラリとみるが他のもの同様にこちらの邪魔をしないようにみているだけだ
そう、強い故に一人で生きて行くことができ、それ故に一人で生きて行くことしか出来ない
それがカヤという少女だ
カヤ【今更他人に何を求めるでもなし・・・私は天涯孤独!我流に生きて我流を極める者也!】
そう思いなおして周囲への視線を切ればヒトキリへと意識を集中させる
攻撃をかわし、斬り返す
それを繰り返せば倒せぬものなどない
こんな虫の一匹、自分が本気を出せば簡単に・・・
次の瞬間、カヤの胴体は地面から突き出した刀によって貫かれてしまっていた