第一章3ページ
『背中の肩甲骨辺りに力をいれ羽根を羽ばたかせるイメージをしてください』
彼方は言葉の通りに集中しイメージをしていく
するとふわっと落下の速度が緩やかになりパラシュートのようなゆっくりとした自由落下に
『まぁ、飛行機能は追加されてないので飛べませんけどね』
なった気がしただけで落下の速度もまったくかわらず轟音と共に地面に激突したのであった
彼方は地面に巨大なクレーターを作ったが意外にもダメージは無く体力は満タンのまま地面に突き刺さっていた
『以上でチュートリアルは終わりです、質問はありませんか?』
彼方【ぜんっぜんためにならねぇチュートリアルだったよ!】
『お褒めに預かり光栄でございます』
タカミズ【褒めてねぇっ】
『ではまた機会がありましたらおあいしましょう・・・この世界を楽しんでいってくださいね』
そうゆうとメディナはスッと消えてしまう
ぽつんと森の中に残された彼方は大きくため息をつき服についた埃を払う
辺りを見回すが完全に森の中なので見えるのは木ばかり
彼方【とりあえず・・歩くか】
うなだれていても仕方ないので歩き出す
とりあえずマップは機能しているのでそれを頼りに始まりの街へと向かう
彼方【つーか、普通はこうゆうのって街から始まるもんじゃねぇのかよ】
RPGの根源を無視するかのようなスタートに腹をたてつつも歩き続ける
すると目の前に何やら動くものを発見する
彼方【RPGの最初って言えばやっぱスライムとかコウモリとかオタマジャクシや花のツボミみたいなモンスターだよな】
そんな予想に反して目の前に現れたのはオオカミの群れだった
彼方【・・・多くね?】
ぱっと見ただけでも10匹はいるであろうオオカミの群れ
レベル6ウルフリーダーデス
レベル5ウルフデス
彼方【自己紹介かな?】
群れのリーダーが雄叫びを上げると残りの9匹が一斉に襲いかかってくる
彼方【ふっざけんなぁぁぁぁ】
悲鳴をあげながら走り出す彼方
流石に多勢に無勢、しかもこちらの武器は大剣
素早さの高いウルフデスとはとても相性が悪い
すぐに追い付かれて囲まれる
彼方【戦うしかないか・・・】
もとよりそれしか方法は無いが覚悟を決めて大剣を構える
ウルフデスは彼方の周りを一定の距離を保ちつつまわっている
一撃外せば終わり、当てても終わり、そんな予感しかしない絶望の状況で走馬灯のようにこの世界に来たときの事を思い出す
彼方【空から降ってきただけだったわ】
まさしく走馬灯、そう言わんばかりに終わる回想
何せさっき落ちてきたばかりなのだ
しびれを切らしたウルフデスが飛びかかってくる
それを間一髪でかわし斬りつける
ウルフデスの体力が一撃で0になり爆散エフェクトと共に消える
彼方【素早いけど体力は少ないか、当たれば倒せる】
大剣を握り直し残り八匹になったウルフデスに武器を向ける
流石に一撃で仲間を仕留めた相手に慎重になったウルフデス達は様子を伺うように動こうとはしない
みかねたウルフリーダーデスが雄叫びを上げ八匹全員に攻撃命令を出す
この雄叫びには強制的に従うようになっているのか八匹全員が飛びかかってくる
彼方【全部とは言わずともせめて何匹かは倒してやる!】
がむしゃらに武器を振り回すが流石になかなか当たらず、逆にみぞおち辺りに頭突きをくらい視界が揺らぐ
彼方【あ・・・やべ・・】
そのあとの記憶はあやふやだった
おそらくよってたかって襲われてやられたのだろう
気がつくと始まりの街の協会にある復活の祭壇に横たわっていた