第二章17ページ
ライル【ようし、いい子だ】
そう言ってセレナに手を伸ばす
その仕草にセレナはビクッと体をこわばらせる
しかし、その手がセレナをつかむことはなく空を切った
なぜならセレナの体は後ろに引っ張られ彼方の腕の中へと抱き止められたからだ
セレナ【なっ・・・】
一瞬驚きの表情を浮かべるもすぐに状況を理解したセレナは彼方の腕の中でもがく
セレナ【なにしとるんやっ離せっ、このままやったらあんたら全員巻き込んでまう!そんなんいやや!】
ライル【そいつの言うとおりだ、今なら見逃してやるからとっととその女をこっちによこしな】
彼方【セレナとてめぇらの関係はよーくわかった】
ぎゅっとセレナを抱く腕に力をこめる彼方
その行動の意味を理解したセレナは我慢していた涙がひとりでに溢れ出す
しかし、受け入れるわけにはいかない
多勢に無勢、さらにレベル差もある
勝ち目のない状況で自分の為に無茶をさせるわけにはいかない
セレナは彼方のその気持ちだけでも充分すぎるほどだった
セレナ【その気持ちだけで充分や、それだけでうちは我慢できるさかい・・・】
彼方【我慢なんかさせるかよ、俺達のダチに・・・仲間に手は出させねぇ】
彼方はそう言うと片手で大剣を地面に突き刺しそのまま手を上げる
そしてセレナを後ろに下がらせる
リル【セレナさん、うちらはもう友達でしょ?なら友達が辛い思いしてるのを見過ごすわけにはいかないの】
ギリー【そうそう、それにこれはリーダーが一番嫌うことだしな】
リルはセレナを抱きとめれば諭すように伝え、その言葉にギリーが同調する
そしてギリーは刀を抜きセレナの前に立つ
ポン太【楽しくないとゲームじゃない、人の楽しみを奪うやつは許せないってよく言ってたからな】
ポン太はモノホシブレードで自分の肩を叩きながらギリーの横に立つ
レイガ【格好つけやがって!その女がリアルだとどれだけ地味で陰気か知らねぇだろ?髪は延び放題でボサボサで眼鏡かけていつもうつむいて、ほとんど喋らねぇ、その姿見るだけで守るきも一緒にいる気も失せるってもんだ】
彼方【言いたいことはそれだけか?】
レイガ【ひっ・・】
レイガの言葉に対して明らかな怒りを覚えている彼方
その姿にレイガは怯む
なぜならゲームの中のはずなのにとてつもない怒気と殺気を放っていたからだ
彼方【ゲームとリアルの姿が違うだ?当たり前だろ、ゲームはゲームだ、なりたい自分になって何が悪い!それすらもわからねぇようならてめぇら・・・救いようがホントにねぇぜ】
ライル【はっはっは!ならどうする?この人数差、そしてレベルの差を覆せるってのか?てめぇらはレベル5そこらの四人、こっちはレベル10が十人だ、PK有りのこのフィールドでてめぇらの勝ちはねぇだろ!】
彼方【本当にそうかな?】
そう言うと彼方は上げていた手を振り下ろす
次の瞬間、後ろで魔法の準備をしていた二人を銃弾が撃ち抜き一撃で仕留めてしまう
更に弓を構えていた一人の背中に大量の弓が突き刺さり倒れるのであった