第七章〜4ページ〜
そして約束の時間がくる
ゲームの世界にログインした彼方とリルは件の転移装置の前へと立ちその中を覗き込む
彼方【で、だ・・・ここから転移するんだっけ】
リル【これだけギルドハウスが立派なのに転移装置が貧相なのおかしいと思うけどね】
もはやただの井戸にしか見えないそれはきれいなギルドハウスからすればあまりにも異常な光景であった
メディナ【5分前行動とは感心しました、イベントの時に寝坊したのが嘘のようですね】
彼方【あれ気づかれてんのかよ・・いやいやおかしいだろ?個人情報漏れすぎだろ!?】
いくら運営側のAICであるメディナとはいえなぜこちらのリアルの行動まで把握しているのか
メディナ【おや、知らないのですか?あなた達が住んでいる寮はすべて監視下に置かれているんですよ?】
彼方【よし、今すぐに寮を引き払おうそうしよう】
メディナのカミングアウトに速攻でそう結論を出してログアウトしようとする彼方
リル【嘘に決まってるでしょ、監視されてるとしたらどちらかと言うとゲーム内の発言とかじゃないかな?】
そんな彼方を引き止めるリル
一応ここまでで一番可能性の高いであろう答えをメディナへとぶつける
メディナ【リルさん正解です、流石にいくら私が超高性能のAICでもリアルの世界を監視するなんて出来るわけ無いじゃないですか、少し考えたらわかりませんか?】
メディナは彼方へとため息つき見下したような態度と小馬鹿にした口調で言葉をもらす
彼方【え?なんこいつ、張り倒していい?】
その態度に流石に腹を立てれば珍しく真面目に怒りを滲ませてメディナを見る
いくら温厚な彼方でも限界はあるということだ
メディナ【では、いってらっしゃい】
そんな彼方の心をしってか知らずかドンッと突き飛ばせばホラー映画真っ青な井戸に彼方を突き落とす
彼方【えっ、ちょ、ま、たぁぁぁぁぁぁっ】
メディナ【流石井戸ですね、声が良く反響します】
リル【・・・メディナっていい性格してるよね】
突き落とされた彼方を心配するでもなくメディナの事をため息つきながら見て自分もその井戸に入ろうとするリル
メディナ【あぁ、転移装置はこちらにありますのでリルさんはこちらからどうぞ】
リル【え、ちゃんとした転移装置あるの?】
メディナ【流石にこんなギルドハウスに転移装置が無いはず無いですよ、ただ見つけきれなかっただけです】
リル【じゃああの井戸はなんなの?】
メディナ【職人がつけたおちゃめ、でしょうかね】
そういいながら井戸から少し離れた場所にある扉をあけて部屋に入る
そこにはちゃんとした転移装置が置いてあった