表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
回路魔法  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第1章 異世界転移編
5/176

第3話 リザードマン

「あの魔物、倒したの、お前か?」



 突然話しかけられて後ろを振り返るとそこには、緑色のツルッとした皮膚、立派なしっぽ、手には槍、身長が2メートル以上ある2本足で立つトカゲの顔をした生物が居た。



「リザードマン!?」



 びっくりして、さっき手放した木の杖を手元に引き寄せる。



「まて、オレ、敵じゃ、ない」



 リザードマンは片膝を付いて、手に持っていた槍を地面に置く。

 すぐに襲われることは無さそうなので(うなず)くと、少し離れた場所にいた2人のリザードマンも近くに来た。



「オレの名前、リク、こっちが――」


「オレは、カイ」


「オレ、クウ」



 3人のリザードマンがそれぞれ名前を教えてくれた。

 額に傷跡があるのが“リク”、尻尾の先が少し欠けてるのが“カイ”、他の2人と違って剣を持ってるのが“クウ”と言うらしい。



「俺はダイと言います」



 俺も自分の名前を告げると、リクが話し始めた。

 他の2人は倒れている人の様子を見に行くそうだ。



「あの魔物、最近、オレたちの、住処の近く、住み着いた」



 リクの話はこんな感じだった。


 あの一つ眼の魔物はリザードマン達が住んでる場所の近くに居着いて、度々仲間が襲われ怪我を負うようになった。何度も倒そうとしたがあの魔物は固く、槍で傷つけてもすぐ回復してしまう。今日も魔物と戦って森の浅いところまで追いやり、怪我をした仲間を集落に連れて行ってから、別の部族から応援に来たクウと合流して魔物を探していたらしい。



「森の外、炎が見えた、見に行くと、あの魔物、倒れるところ、だった」



 リザードマンの体つきは立派で、すごく強そうな感じがするが、そんな彼らでも倒せない強い魔物だったのかと、運良く倒せたさっきの出来事を思い出して身震いしていると、カイが戻ってきてリクに何かを手渡した



「これ、魔物、落とした、魔核と、アイテム、お前のもの」



 リクが渡してくれたのは、濃い青色の結晶と立派な牙のようなアイテムだった。



「これは何?」


「これ、魔核、言う、魔物倒すと、落とす、人族の街、魔核、買ってくれる、こっちの牙、魔物倒すと、時々落とす、武器の、材料になる、貴重」



 魔物を倒した時に出るコモンアイテムと、レアドロップの牙という感じだろうか。

 アイテムの説明を聞いていると今度はクウが戻ってきた、手には皮で出来た袋を持っている。



「全員、死んでる、これ、ヤツらの、持ち物」



 皮袋を俺に渡してくれたので受け取ると、中には銀色や茶色の硬貨がたくさん入っていた。



「これ、勝手に取っちゃっていいのかな」


「死んだ、ヤツのもの、見つけたヤツ、貰っていい、置いておく、誰かに、持って、行かれる」



 リクの説明で日本との倫理観の違いに戸惑ったが、ここは異世界のルールということで無理やり納得して受け取った。正直、カバンも落としたし無一文だし、今後のことを考えると助かる。



「そっちの、子供、生きてる、のか?」



 怒涛の急展開にすっかり存在を忘れていた。

 倒れている子供を仰向けに寝かせて確認したが、息はちゃんとしてるようだ。貫頭衣に包まれた胸も上下に動いている。栄養状態が悪かったのか、かなり痩せているが顔はとても可愛い。短めの髪は濃いオレンジ色で、耳っぽいくせ毛がある。そっと触ってみると動物の耳みたいだった。



「この子、こんな場所に耳がある……」


「恐らく、ソイツ、犬人族の、子供」



 リザードマンに獣人、流石に異世界だ。

 ライトノベルやゲームなんかは人並みに嗜んでたけど、割とすんなり受け入れている自分に驚いた。


 むしろ開き直った感じかもしれない。



「お前たち、オレたちの、住処、来ると、いい」


「え!? いいんですか?」


「ここから、人族の街、遠い、それに、その子供、放って置くの、良くない、この辺り、暗くなると、危ない」


「じゃぁ、お言葉に甘えてお願いします」


「お前、あの魔物、倒してくれた、お礼も、したい、遠慮なく、来ると、いい」



 クウが剣で手枷を壊してくれたので、倒れた子供をおぶって歩きだした。


 子供はとても軽かった、それに背中に当たる胸が柔らかい。

 この子、女の子だ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。


◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

新しく連載も始めています

いきなりドラゴニュートの少女の父親になってしまった主人公が
強化チートを使いながら気ままに旅する物語
色彩魔法

【完結作】
突然異世界に来てしまった主人公が
魔操という技術に触れ世界に革新をもたらすスローライフ
魔操言語マイスター
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ