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回路魔法  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第4章 アーキンド編
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第42話 海水浴

お待たせしました、今回は水着回です(笑)

 今日はエリナの歓迎会を兼ねた海水浴の日だ。


 天気も良くて海も穏やかな絶好の海水浴日和になった。朝、待ちきれずに海の様子を見に行ったから間違いない。麻衣は朝から家の厨房で料理を作ってくれている、串に肉や野菜を刺してフライパンで焼いた、ミニバーベキューみたいなものを作ってくれるらしい。少しだけ見せてもらったが、焼鳥のでっかい版みたいな料理で、とても美味しそうだ。


 テラスで使っているテーブルを精霊のカバンに収納して、一足先に海に向かう。女性陣は後から来るみたいだ。エリナの水着をどうしようかと思っていたが、実は服を買った時に一緒に購入していたらしい。イーシャの準備の良さに感謝だ。しかしエリナの水着の話をした時に、全員ちょっと落ち込んだような感じだったがどうしたんだろうか。


 この辺りは富裕層の別荘が多い場所で、海岸もあまり一般の人は来ないみたいで、浜辺も人でごった返している感じにはなっていない。これならみんなで思いっきり遊べそうだ、この世界にはビーチボールとか浮き輪が無いのが残念だな。


 この世界に無いものといえば日焼け止めだが、日焼けはなんとウミが治せるそうだ。日焼けって一種のやけどだから魔法で治療できるのかもしれない、精霊魔法万能だな!



◇◆◇



 海についてしばらく待っていると、女性陣がやってくる。


 アイナは赤いワンピースタイプの水着だ、フリルっぽい飾りがついていて結構可愛い。あんなデザインの水着が最初からあったのか、もしかしたらしっぽ穴の加工する時にイーシャが付けてくれたのかもしれない、だとすれば実にいい仕事してる。出会った頃に比べて遥かに女性らしい体つきになったポテンシャルの高さは、さらなる可能性を秘めているはずだ。


 麻衣は意外な事にビキニタイプを選んだみたいだ。明るい水色の水着は、麻衣の優しくて爽やかなイメージにも合っていて、とても似合っている。まだ発展途上の部分はあるが、水着に包まれてしっかり自己主張している。それに今日はふんわりとしたセミロングの髪をリボンで結んで纏めているので、いつもと違う雰囲気になっているのがいい。


 イーシャは淡い緑色のワンピースタイプを選んでいた。やはりイーシャは緑が似合う、普段も緑系の服を好んで着ているようなので、一番しっくりくる色だ。それにきれいな金髪とのコントラストも素晴らしい。腰にはパレオのように布を巻いていて、薄手の上着も羽織っている。スレンダーな体型だが、手や足もスラッとしていて長く腰も細い、全体のスタイルは抜群だ。


 ウミは紺色の布で作ってもらったみたいだ。確かチューブトップと言うんだろうか、上は円筒形の布で巻いた感じになっていて、下は普通の下着のような形をしている。身長が30センチくらいなので全体のメリハリには欠けるが、しっかりと女性らしい体型をしている。


 エリナはビキニタイプを選んでいた、しかも色は白だ。白銀に輝く髪の毛とも合っていて、全体の統一感が素晴らしい。しかしそんな事は問題にならないものがそこに存在する、腕に感じるまろやかさの原因が目の前にあるのだ。あれはもう凶器だ、他の女性陣が落ち込む原因がわかった。あの存在感の前にはいかなる防御も無駄になるだろう、戦闘力の高さは感じていたが防御無視攻撃のスキルまで付いているとは思わなかった。イーシャや麻衣より身長が低いが、あれはまさにチートキャラだ。



「ご主人様、どうしましたかちょっとボーッとしてましたが」


「……あ、あぁ、すまない。頭の中に処理しきれない情報が一気に流れ込んできた気がして、少し放心してしまった」


「それよりどうかしら、私たちの水着姿は」


「そうだな、アイナは水着に付いてる小さな布が可愛らしさを引き立てていてとてもいいよ、イーシャは手足が長くてスラッとしているのでとても綺麗だ、麻衣は清楚で優しそうな感じになっていていいし髪型が普段と違うので新鮮だ、ウミも普段の格好と違ってとても女性らしくて素敵だ、エリナは髪の毛と水着の色が合っていて白い妖精みたいだよ」



 先程の情報過多の状態から抜け出した俺は、みんなの水着の感想を並べてみた。全員喜んでいるみたいで良かった。



◇◆◇



「みんな、海に入る前には一度体を動かしてからな、あと急に飛び込んだりしたらダメだぞ」



 俺は獣人組と一緒に体操をする、麻衣とイーシャは波打ち際で遊ぶみたいで、打ち寄せる波の感覚に喜んでいる。



「ご主人様、泳ぐのってどうやればいいんですか?」



 アイナは海水に浮かんで手足をバタバタ動かしている、それは犬かきだぞ。泳ぎを教えた事はないが、まずはアイナの手を取ってバタ足の練習をする。



「足は真っすぐ伸ばして、足の付根から動かすんだ」


「わかりました、こんな感じですか?」


「お、うまいな」



 身体能力がもともと高いせいか、コツを掴んだらすぐ上達する。



「アイナ、手を放してみるぞ」



 アイナから手を離すとバタ足でしばらく進んでいたが、息が続かなくなったみたいで水の中から立ち上がる。



「ご主人様、苦しくなってきました!」


「バタ足は出来てるみたいだから、次は息継ぎを覚えようか」



 そうして息継ぎの手本を見せると、アイナも見よう見まねで泳ぎだした。水も怖がらないみたいだし、すぐ泳げるようになるだろう。



「……あるじ様、私も教えて」



 エリナが俺の近くに来てお願いしてきたので、同じ様に手を取ってバタ足から教えていく。エリナも身体能力が高いので、コツを覚えるとすぐ上達していった。



「やっぱりエリナも筋がいいな」


「……私、上手に泳げてる?」


「あぁ、上達するのがすごく速いよ、すぐ俺より上手に泳げるようになるぞ」



 エリナは嬉しそうにしている。海に飛び込んで浜辺に打ち上げられたことは影響していないみたいでよかった。



「ご主人様ー、速く泳げるようになってきました」


「凄いなアイナ、上手に泳げてるじゃないか」


「他の人が泳いでるのを真似してみました」



 アイナは見よう見まねでクロールをマスターしていた、凄いな。



「……私も負けない」



 アイナの泳ぎを見たエリナが闘志を燃やし始める、2人で競い合っていたらすぐ上達するだろう。俺は2人の姿を見ながら、少し浅くなった所に寝そべって波に揺られる。ウミは俺の近くで水の上に寝そべっている、浮いているのか飛んでいるのかわからないが、波に合わせてゆらゆら動いていてとても気持ちよさそうだ。


 アイナとエリナが互角の水泳勝負を始めた頃、麻衣がお昼にしようと呼びに来た。



◇◆◇



 精霊のカバンからテーブルを出して浜辺に設置する、その上に麻衣が料理を並べてくれた。焼き立てをしまっていたからか、まだ熱々で美味しそうだ。



「これはウミちゃんが作ってくれた冷たい水で作った果実水です」



 そう言って麻衣が冷えた果実水をみんなに配る、ウミにも小さなコップに入れて渡していた。



「それじゃぁ、エリナのパーティー加入を祝して乾杯」


「「「「「乾杯[なのです]」」」」」


「これ、冷たくてすごく美味しいです」


「暑い場所で飲むとまた格別ね」


「……とても冷たい、これ好き」


「冷たいとさらに美味しく感じるな、ウミありがとう」


「ウミにお任せなのです」



 日焼け対策といい冷たい飲み物といい、今回はウミが大活躍だな。なにか甘いものでも差し入れしないといけない。



「ご主人様、これ私が串に刺したんです、食べてください」



 アイナがそう言ってミニバーベキューを差し出してくる。麻衣の作ったタレだろうか、肉と野菜に絡まっていてとてもいい匂いがする。食べてみると、以前屋台で食べてのと似た味のソースが掛かっていて美味しい。



「美味しいなこれ、このソースも麻衣が作ったのか?」


「はい、以前食べた屋台の味を参考にしてみました」



 食べただけで味が再現できる麻衣の料理スキルはやっぱり凄い。



「……あるじ様、これは私が串に刺した、食べて」



 今度はエリナがミニバーベキューを差し出してくる、こっちのソースはさっきのと少し色が違う、別の味なんだろうか。口に運ぶと今度は少し甘めのタレになっている、これもまた美味しい。



「こっちのは少し甘いタレだな」


「これは蜂蜜を混ぜたタレなんです」



 なるほど、ウミが珍しくお菓子以外を口にしていると思ったら、蜂蜜入りのタレか。甘くなりすぎない絶妙なさじ加減で造られていると思う。



「ダイ先輩、こっちのはまた別の味ですよ」



 そう言って麻衣が差し出したのはタレではなく、香辛料の香りがするミニバーベキューだった。食べると少しピリッとした辛さと塩のシンプルな味だが、これはこれで美味い。



「これは濃いタレの味に舌が慣れてきた時に食べると、口の中がリフレッシュされていいな」


「これはシンプルに塩と香辛料だけで味付けしてます」



 麻衣の作ってくれたミニバーベキューはどれも美味しい、他のメンバーにも好評みたいで次々無くなっていっている。



「どの味も美味しくていいわね」


「屋台の味も美味しいです」


「……このピリっとしたのもいい」


「甘いタレが最高なのです」



 美味しい料理と冷たい飲み物、楽しい食事の時間をみんなで味わった。



◇◆◇



 午後からはイーシャと麻衣と一緒に浅瀬で遊んでいる、ウミも近くに浮かんでいて相変わらず気持ちよさそうだ。アイナとエリナは午前中と同じく泳ぎの競争だ、体力あるなあの2人。



「行きますよダイ先輩……それっ!」


「行くわよダイ」


「2対1って卑怯じゃないか!」



 イーシャと麻衣が二人がかりで俺に水をかけてくる、頭からずぶ濡れだ。なんとか反撃してやろうと、両手で大きく水を掻いて、2人に向かって水を何度も掛ける。



「ダイ先輩、目に染みます」


「ダイ、ちょっと手加減しなさい」


「ダーイーくーん」



 いま2人とは別の声が聞こえた、水面に浮かんでいたウミにも掛けてしまったようだ。



「水の精霊を怒らせると怖いのですよー」



 ウミがそう言うと、海面が大きく持ち上がり巨大な波が発生し、俺に直撃する。



「がはっ………げほっ……魔法は反則だろ!」


「水のある場所で精霊に勝てるとは思わないことなのです」



 その後は3人でいいように水をかけられ、俺は浜辺に避難した。



「あー、疲れた」


「でも面白かったわ」


「私も大分はしゃいじゃいました」


「ウミの力を思い知ったかなのです」



 でも疲れたけど楽しかった、俺も久しぶりに思いっきり遊んだ気がする。4人で笑い合って少し休憩をした。



◇◆◇



 暫くすると、アイナとエリナが帰ってきた。2人ともかなり泳いできたらしく、両方とも疲れ切っていた。俺たちも水の掛け合いで疲れていたので、その日は家に帰ることにする。



「楽しかったな、また海水浴したいな」


「そうね、こうやってみんなで遊ぶのもいいわね」


「次は砂でお城とか作ってみたいですね」


「……アイナ、今度こそ決着をつける」


「私も負けませんよー」


「水の上で寝るのはとても気持ちいいのです」






 海水浴は楽しかった、食事も美味しかったし、何よりみんな笑顔で過ごすことが出来た。


 また来ることにしよう。


一年後の話と整合性が無かった部分を1ヶ所書き換えました(2018/10/13)

(麻衣の最後のセリフ)

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◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

新しく連載も始めています

いきなりドラゴニュートの少女の父親になってしまった主人公が
強化チートを使いながら気ままに旅する物語
色彩魔法

【完結作】
突然異世界に来てしまった主人公が
魔操という技術に触れ世界に革新をもたらすスローライフ
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