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回路魔法  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第10章 問題解決編
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第133話 へストア

誤字報告ありがとうございます。

「てにをは」もおかしい(国語力


1話ごとにファイルにして執筆してるんですが、文章の修正をした際に誤って別の話を上書きしてしまっていたのをご指摘いただきました。ありがとうございました。


気をつけてるつもりなのですが、こんな凡ミスもしてしまうので、何か気なった事があれば遠慮なくツッコミ入れてください。

 初代国王が巨乳好きという知らなくてもいい事実を知ってしまい、お風呂から戻ってきたメンバーも微妙な雰囲気に不思議そうな顔をして、こちらの様子を見ている。



「……みんな、どうしたの?」


「皆さんどうして(うつむ)いているんでしょう」


「何かとても空気が重い気がするのです」


「旦那様、いったい何があったのでしょう?」


「あー、世の中には知らない方が幸せな事ってあるんだなと」


「「「「????」」」」



 エリナ、アイナ、ウミ、カヤの4人は頭の上に疑問符を浮かべて、ますます意味がわからないという表情になってしまった。



「私はエルフ族だから、これ以上は望めないわ」



 エルフの里で見る人はみんなスレンダーだもんな、でも手足が長くて全体の印象はすごくきれいだと思う。



「私の成長期は、もう……」



 地球換算だと、麻衣も今年で高校3年生になるのか。女性がどの時期まで成長するのか俺は知らないが、性格や雰囲気まで含めたバランスはとても良いと思うんだが。



「ボクの家は母さんも姉さんもあまり大きくないんだよね」



 魔族界に行った時はたまたま旅行中で会えなかったが、この世界にも遺伝という概念があるんだな。



「お兄ちゃんにもっと甘えたら大きくなるかな」



 俺たちの世界にも揉むと大きくなるという話はあったが、それの異世界版なんだろうか。オーフェがしょっちゅう抱きついてきたり、背中に張り付いているのもその効果を狙って……って、そんな考えはやめよう。俺を兄と慕って甘えてくれる彼女に対して失礼だ。


 イーシャと麻衣とオーフェとクレアは一言づつ言葉を発して、全員でお風呂場に向かっていった。4人だとちょっと狭いかもしれないけど、オーフェとクレアはまだ小柄だし大丈夫か。



◇◆◇



「なるほど、初代国王のお話をされていたのですか」


「直接会った事のある人が目の前に居るから、どんな人だったか聞いてみたんだけど、意外な事実が判明したよ」


「皆を落ち込ませる気はなかったのだが、申し訳ないことをしたな」


「いえ、みんなすぐ立ち直ると思いますから、気にしないでください」


「マイちゃんとお風呂に入った時も、私の胸をじっと見つめていたが、他の種族は大きさを気にするものなのかな?」


「精霊は上位の存在にならないと姿は変わらないのです、ウミは気にしたことは無いのです」


「妖精もずっと同じ姿で存在し続けるので、考えた事はありません」


「私はご主人様が好きでいてくれたら、どんな大きさでも構わないです」


「……小さくするのは無理だけど、あるじ様が大きいのが好きなら頑張ってみる」


「おとーさんは、どっちが好きなの?」



 キリエは答えるのが難しい質問をしてきたな。元の世界にいた頃から、他人の容姿や体型を気にかけることはなかったし、ゲームやマンガで気に入るキャラクターも、性格やその人物のストーリーだったから、胸の大きさに(こだわ)りはない。



「お父さんは、その人との出会いや一緒に過ごしてきた日々の方が大事だから、大きさとか気にしたこと無かったよ」



 その言葉を聞いたアイナとエリナが、両方から俺の腕に抱きついてきた。カヤも控えめにだけど、俺の背中にそっと身を寄せてくれたみたいだ。キリエは俺の足の上から嬉しそうにこちらを見上げていて、ウミはまた頭に頬ずりしているんだろう、少しくすぐったい。シロも近くに寄ってきて寄り添うように横に寝そべってくる、寝てるのかと思ったけどちゃんと話は聞いていたみたいだ。



「同じ様に周りを女性に囲まれていても、感じる“気”はまったく違うものだな」


「この雰囲気が私は大好きなんだよ」



 お風呂から戻ってきた4人にキリエがさっきの俺の答えを話すと、みんな嬉しそうになって空気も和らいだからもう大丈夫だろう。俺とシロもお風呂に入って、大部屋のベッドにみんなで移動する。



◇◆◇



「我ら古竜族は他の種族と関わりは多い方だったが、こうして共に生活をするのは初めてだから、見るもの全てが新鮮で面白いな」


「シロちゃんには毎日こうしてブラッシングしてあげてるから、体に触るとサラサラでとても気持ちがいいの」


「わふぅー」


「自慢の毛並みだって」


「クレアちゃんのその力も、とても素晴らしい」


「私、自分には何でこの力があるんだろうって思ってたけど、お兄ちゃんやみんなに出会えて、竜族の人からも褒めてもらえて、今はこの力があって良かったと思えます」



 他の人には変な子と思われるからと人前で使わなかった能力も、俺たちや竜族の2人にも受け入れてもらえ、クレアもとても嬉しそうにしている。



「へストアさんはクレアの力が一体どういったものか知ってるんですか?」


「生き物の気持ちや感情というのは、とても弱い波みたいなものなんだ、クレアちゃんはそれを敏感に感じ取れるんだろうね」


「では暗示もその波の力なんでしょうか」


「波というのは、生き物によって違うんだよ。我々でもぼんやりとしか判らない、動物や植物の発する波に対する感度を、彼女の固有魔法で高める事によって気持ちが伝わる。そして、人族や魔族といった種族の発する波の感度は上げられない代わりに、それに共鳴させる事が出来るんだろう。それで影響を与えてしまうのが暗示だと推測できる」



 俺たちの世界の感覚だと、(たましい)(れい)といった精神や心を司るものに同期して、影響を与えてしまうのが暗示か。魂が宿るとか霊に取り憑かれるなんて表現すると少しオカルトチックだけど、そういった状態に近いとすれば、力の説明としてはしっくり来ると思う。


 今でもその固有魔法は受信と送信のように、使い分けることが出来ている。こうやって力の正体が判ればむやみに恐れる事は無いし、今よりもっと違う付き合い方も考えていける。俺のなでなでが安らぎを与えたり不安を取り除けるように、この力で誰かの心の闇を払って救うことも不可能ではないはずだ。


 少し不安そうに俺の近くに来たクレアの頭を撫でてあげながらその事を伝えると、嬉しそうに俺に抱きついて頬ずりしてくれた。この植物や動物が大好きな心優しい魔族の少女は、家族全員で守り支えてあげよう。



◇◆◇



「クーちゃん、自分の固有魔法の事がわかって良かったね」


「うん、どんな力なのかわかっただけでも安心できる。ありがとうございます、へストアさん」


「彼も言った通り、決して恐ろしい力なんかじゃない、むしろ誇っていいくらいの貴重なものだ。なにせ我々竜族より敏感に“気”を感じられるなんて、凄い事だからね」



 へストアさんはそう言ってクレアに笑いかけてくれる、本当にこの人に出会えてよかった。俺たちだけでは完全に不安を取り除いてあげられなかったかもしれないが、こうして褒めてもらえると自分の力に誇りを持つことが出来るだろう。



「メイニアさん、へストアさんと会う機会を作ってくれてありがとうございました」


「お礼はなでなででいいよ、ダイ君。そうだ、母さんもやってもらったらどうかな」


「お前も帰ってきた時に言っていたが、そんなに凄いものなのか?」


「それは撫でられながら説明するよ、よろしくねダイ君」



 俺の近くに来て座りニッコリと微笑むメイニアさんの頭を優しく撫でてあげる、体から徐々に力げ抜けていき手を付いて俺の方にもたれかかってくるような格好になるが、あまり近づかれると超まろやかさんが接触して危険です。



「さっき母さんは人族にそんな感情は持てないと言ったけど、こうされてると少し不思議な気持ちが芽生えてくるよ」


「確かにお前の“気”も表情も私の知らないものだな」


「それにダイ君には逆鱗(げきりん)を撫ででもらっても平気なんだよ」


「お前はそんなはしたない事をやったのか」


「すごく気持ちよかったんだよ、母さんもやってもらえばわかるよ」


「私にそんな恥ずかしい事などできん」



 竜族の羞恥心って変なところにあるな、普段は隠していると言っていたが、触られると不快になるという以外に、恥ずかしいという理由もあったのか。



「ダイ君ありがとう、今夜もよく眠れそうだよ。次は母さんをお願いするね」


「娘さんはああ言ってますが、構わないですか?」


「こんな機会は二度と来ないかもしれぬし、お願いするかな」



 メイニアさんと同じくらいの身長で、髪の毛は長く色もより白に近い。外見も更に年上の女性だが、まだまだ綺麗なお姉さんで通用しそうなヘストアさんの頭に、手を近づけてそっと髪の毛に触れる。髪質は同じ感じだが、メイニアさんと違ってストレートヘアなので、触った感触はだいぶ違う。



「こんな感じですがどうですか?」


「今日一日、君の事を見ていて、撫でている姿に何度も遭遇しているが、正直これほどのものとは思っていなかった」


「どうだい、凄いだろ?」


「見ている時に感じる“気”と、実際に体験して感じる“気”はまったく違うな」



 へストアさんも目を閉じて全身の力を抜いて、なでなでを堪能してくれているみたいだ。あんまり近づかれると、超絶まろやかさんが当たって危険なので、もう少し離れて下さい。



「マイちゃん達の作った料理を食べてダイのなでなでを体験したら、へストアさんもここに住みたくなるかしら」


「旦那様、やはりベッドはもう少し大きくしましょうか?」


「……部屋全部がベッドでもいい」


「それ、すごく楽しそうな部屋になるね」


「枕も長くて大きなものを作るといいと思うのです」



 みんな好き勝手言っているが、部屋全体をベッドにすると奥の書斎が使いづらくなるから、その点だけは却下しよう。


 迫りくる超絶まろやかさんをなんとか避けつつ、満足するまでなでなでをやってあげた後に、ブラッシングの続きを再開して、みんなで寝ることにした。もちろん全員なでなでする事になったのは言うまでもない。






 そして困った事に、へストアさんが俺の隣を希望してきた。何となく明日の朝は、いつものパターンになりそうだから覚悟しておこう。


クレアの能力に関する話は、そんなものなのか程度に思っていただけると幸いです、別にスピリチュアルな作品ではないので(笑)

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◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇◇◆◇

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【完結作】
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