始まりの冒険
プロローグ
目を開く。見えたのは蒼い空。
周りを見渡してみた。自然が広がっている。綺麗だ。
ここはどこだろう?なぜこんなところにいるのだろうか?
思い出した。自分は死んだのだ。
たしか、コンビニでレジの精算をしていたら強盗に刺されたんだったけな・・・?痛かったなぁ。 でも今現状腹に傷はないし、痛みもない。でも、感覚はあるらしくつねると痛い。
ってか思ったけど自分こんなに肌綺麗だったっけ?色白いし、なんだかすべすべ・・・。
・・ん?・・・えっ・・!?なんか頭に突起物があると思ったら耳!!?しかもしっぽまで・・・。もしかして獣人になっちゃったとか?
こんな焦っている自分に対して声をかけてくれた人がいた。
「大丈夫ですか?」
1章 始まりの出会い
「大丈夫ですか?」
そう言ってくれたのは、黒髪のロングヘアーで丈の長いスカートをはいた猫型獣人の女の子だった。
『あ、ああ。大丈夫です。ちょっと混乱してたもので・・・。』
「そうですか。ここら辺は魔物も多く、危険ですよ?普通なら町から出る時武器などをもって出るはずなのですが・・・。」
『町も何も気づいたらここにいて・・・。ここはどこですか?』
「ここはアルカ草原ですよ?」
アルカ草原?まさかここは地球じゃないとか?でも、言葉は通じてるし・・
「あ、もしかしてアルカ草原をご存じでなかったですか?」
『う、うん。と、ところでもう一つ質問してもいいですか?』
「いいですけど・・・」
『ここって地球ですか?なんだか自分が住んでいたところとはものすごく違うみたいだし、アルカ草原なんて地図でも見たことなかったので。』
思い切って聞いてみた。普通ここは地球ですか?なんて人に聞いたら馬鹿にしてんの
か?って言われるのだが、初めて聞く地名と初めて見る種族を見てそんなことを気に
している余裕なんて私にないと思っていた。
「・・・?ここはアルカ草原ですよ・・・?地球なんて場所聞いたこともないかなぁ・・・?」
私はあっていた。ここは地球とは違う星。まぁ今の話を聞いてて普通は地球じゃな
いってわかるんだけどね。魔物やら獣人やら。
「ところでおねぇさん珍しい種族だね?髪が真っピンクだし狐族だし。私は初めて見る
かな。」
『そうなの?てっきり私みたいなのがいっぱいいるかと?』
「いやいや、おねぇさん。狐族自身稀少で重視されているんだよ?確かどの種族より能力値が圧倒的上だったし。しかもピンク髪って貴族とか王族とかしか出来なかったは・・・。」
彼女は途中で言葉を詰まらせた。たぶん私が稀少価値が高く、その上貴族とか王族の可能性があったからだろう。私ならビビる。
『大丈夫だよ。自分自身狐族って今知ったし、もし王族とか貴族なら上の方が探してくれるはずだから。まぁでも来ないってことは違うってことだろうけどね?』
「うーん・・・でも・・」
『気を使わなくても大丈夫だよ。』
「・・・わかった。そういえば自己紹介がまだでしたね。私は黒猫族のシャマって言います。おねぇさんは?」
シャマはまだ緊張してるのか?そのうち親しくなれたらいいけど。
『私の名前は・・・えぇっと・・アーク?』
あれ、アーク?なんでアークなんて言ったんだろ?生前前の名前を言えばよか・・・あれ?転生前の名前ってなんだっけ?というかなんだかシャマがびっくりしたような顔
でこちらを見ている。やはり変だったかな?
「え・・・?アーク・・・?ピンク髪の狐族でアークって言ったら、数千年前に世界が魔物に侵略されそうになった時に一人で立ち向かったっていうあの英雄王・・・?」
あ、よりによって英雄王の名前を使っちゃったみたい。
『いやいや、そんな有名どころじゃないよ。というか数千年前だったらもう死んでるでしょ。』
「狐族の寿命は神によって保護されているときもあるから数千年生きていたって話も聞いてことあるよ。確か先月前位に死んだアバルっていう男の狐族も950年生きていたみたいだし。」
まじか。狐族恐ろしい。
「たしかここから最短のところにある町アデッサでも一人だけ狐族がいたような気がす
るけど。」
『じゃあとりあえずアデッサ?でも行ってみようかな・・・?近いのかな?』
「大体徒歩で5時間くらい?」
『とおっ!!?』
最短で5時間なのか。もしかしてこの世界自体がそこまで発展していなくて町が少ないのかな?
「私ちょうどアデッサに向かう予定だったから案内しましょうか?」
『本当に?それは助かる!でも5時間って長いなぁ・・・』
「魔力を消費してスキルを使って早く行くっていう手もありますよ。」
魔力?スキル?まるでRPGみたいだなぁ・・・RPG苦手だけどね。
「個人差がありますが大体の人はスキルを使えます。火・水・雷・土・闇の属性スキルや、時を止めたり道具を念じて出したりする無属性スキルがあるんですけど・・・」
『けど・・・?』
「最初に言った通りなんですが個人差があるんですよ。最初からスキルを使える人や魔物を倒してスキルを得る人、ステータスから得られるものなど・・・」
『じゃ、じゃあ自分が所持しているスキルは何が使えるとか分からないってことじゃ…』
自分が持っているスキルが分からなければ使うもくそもない。魔力の無駄遣いだ。
「大丈夫ですよ。確かここに・・」
ガサガサ。
シャマは鞄の中を探り何かを探している。
「あ、あったあった!これですよ!」
シャマは鞄の中から一枚のA4くらいの紙を出した。
『これは?』
「これは魔性適性紙。ここに唾液でも血液でも何でもいいので体液を付けると自分の所持しているスキルが分かるんですよ。」
『上位の人とかならこの紙じゃスキル入りきらなかったりしないのかな?』
「そういうことは大丈夫ですよ。この紙からはみ出すくらいのスキル所持者はギルトにある魔性適性晶で見ることができるので。まぁそれくらいの所有者はこの世界にも数人くらいしかいないらしいので。」
『まぁ、期待せずにやってみるよ』
私は紙の端っこに唾液を付けた。すると紙にズラッとスキル名が書きだされた。
あれ、A4の後ろも・・・
「あ・・・あ・・・アークさん・・・」
シャマは震えた声で言った。
「スキルが紙に収まっていません・・・」
あら・・・さっき言っていた狐族の能力値が高いとかのやつのせいかな?
「狐族でもここまでのは見たことありません・・・」
あ、まじっすか・・・
「属性スキルほぼほぼ所持してますし・・・所持するのが難しいって言われてる無属性スキルまで所持してますし・・・。」
『ア・・多分その紙がおかしいんじゃないかな…?一応スキル使ってみて使えたら・・・うん・・・。』
これで使えたら本当に変な風に思われるからできませんように。
「とりあえず移動に楽な無属性スキルの想像形成でもしてみてはどうでしょう?」
想像形成ということは想像したものが作れるということかな?とりあえず車運転できるし車でも・・・
『うーん・・・?』
バンッ!
すごい音とともに煙が舞った。そしてそこに車があった。使えてしまったのだ。
「こ・・・これは?」
『く・・くる・・ま?』
驚いた。本当に使えてしまった。なにより思ったのがこのスキルチートではないのか?作りたいもの何でも作れてしまうのでは?
というかシャマは車に興味津々だ。見たらわかる。しっぽフリフリだ。可愛い。
「どうやって使うのですか・・・?」
『これは移動するための乗り物だね。徒歩で5時間くらいだったんなら多分1,2時間くらいでつくんじゃないかな?』
「すごい!!でも・・・アークさん大丈夫なんですか・・・?」
え?
「形成スキルは普通大きくても私くらいの大きさくらいまでですし、消費魔力がすごいのでこんな大きいのを作ると一般人なら死ぬくらいなので・・・まず作れすらできませんが・・・。」
『大丈夫だけど・・・ってまじ?死んじゃうの?』
「一般人が無理して作ったらですが。どんな魔力所持者なんですか・・・。とりあえず能力値を確かめるのも全部アデッサでできるので確認しに行きましょう!」
なんだかものすごく張り切っている。というか最終目的は狐族の人に話を聞くことなんだけどな・・・
「行きましょう!!!」
まぁ、楽しそうだしいいか・・・
そういうことで私たち2人はアデッサに向かうことにした。
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