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謎鳥、アーサー登場

「きれいな所だね。」

麻美は緑の草原を指差しながら言った。


「あれ、私の家なんだよ。」

緑は楽しそうに言った。


「えっ?!あれ緑の家??」


「うん、あっそうだ!!黒界に行くまでに私の家によって行けばいいよ。

 だいたい、研究所にどうやって行くか知らないしさ。」


「えっ!?知らないの?」


「えっあぁまぁ・・あっでも私友達に聞いてみるよ多分知っていると思うから・・」


「分かった、ありがとう!!じゃあお邪魔させてもらいます!!」


シャッ、シャッ、シャッと乾いた草原を踏んで森の奥へと進んで行く・・

桜の木のアーチをくぐると一軒の小さな家が見えてきた。。

 

「まぁ、ここの森は私の森なんだけどあれは本家ってとこかな」


「へぇ。。かわいい家だね」


「ありがと!」


深い深い緑の草原と周りを取り囲む森林のちょうどど真ん中にある緑の家。

木製で屋根にコケや花が咲いている。

 だいぶ昔からあるように思えた。。

家の周りには、小さな小川が流れていた。

 種を播いたばかりのプランターが5つ。 かわいらしいレイアウトに麻美はため息をついた


「かわいいねぇ、絵本に出てくる家みたい!!」


その隣で緑は麻美とは別の方向を見つめていた。

「なにこれ・・・・」

その声は低く悲しくもあり怒っているようにも聞こえた。


「どうしたの??」

慌てて麻美が緑の方に目をやると緑の草原が枯れている部分があるのに気がついた。


「どうして、、」

緑は枯れている草に近寄り一本一本を優しくなでた。


「うん?これって。。」

枯れた草の部分はまるで何物かが緑の家に行くまでの道のりのようだった。


「緑、緑の家の中に何かいらっしゃるんじゃない!?」

なぜか敬語である・・


「えっ!?本当に!!」

緑は泣きそうな顔で麻美を見た。


「多分、、でも、私ら女の子だよ??危ないから警察呼ぼうよ」


「フフフ・・」

緑は涙をふき取ると微笑を浮かべた。


「危なくないよ、私魔術師だもん」


「えっ、でも・・」


緑はスゥと手を伸ばした。

 

「私はねぇ、この森の化身だとも町で呼ばれているの。自分で言う事じゃないんだけどね」

伸ばした手からは複数の緑の葉が紙ふぶきのように舞い落ちた。

  その1枚を麻美が取って見ると本物だという事が分かった。


「この力があれば安心でしょ!?」


「だねっ!!」


「中、入ろうか・・」


「うん。。」


ガチャリとドアノブを回して奥に入る。


「お邪魔しまーす、、」

少し小声で・・・


玄関先のマットの上に乗るとぺチャッといやな音がした。


「何??」


まだ扉の外に居る緑が一時停止した麻美の体に言った。


「何か踏んだ、、」

麻美は首だけを緑に向けて言う。


「何って、、」

緑は麻美の足元を麻美の代わりに見た。。


「う゛ぅぅっ」

緑はとっさに目を手で覆った。


「えっ?何何何!!!」

慌てる麻美。。


「血だわ・・・」


「ちっちっ血ぃ〜〜!!?」


スポンジのようなマットなので踏んだ分その血が床に流れた。


「なんで??血が??」


麻美はマットから降りながらそう言った


「見て。・・この血2階に続いている・・」

見るとマットの血は2階に続く階段に続いていた。


「じゃまだ2階にいるとか・・・」


「可能性大ね」


2人は階段を上り始めた。

緑は、ゴクリと唾を飲みながら1つまた1つ階段を上っていく。

麻美は緑の後ろに隠れながら歩く。。

上に上がると突き当たりに1つ部屋があった。

    血はそちらにつながっている・・・。


「行くよ・・。」

緑は、手に汗を握りながら部屋の引き戸をガラッと引いた。

少し引いて中の様子を伺う・・。


「どう??何か見える??」

麻美は扉から少し離れて尋ねる。


「大丈夫みたいだけどここ私の部屋なんだよね・・・・。 あっでも血は奥の寝室

につながっているわ・・・。」


緑は引き戸を全開にして中に入り寝室へと向かう。


「え〜〜!!入るの?!っもう」

麻美も文句を言いながら中に入る。


「ここよ・・。」

緑は寝室のカーテンに手をやった。


「ここに居るのは誰っっっ!!?」

ジャーー!!

大きな音を立ててカーテンが開く。

眩しい光が寝室を明るく照らす・・。


「あぁっっ!!アーサーじゃない!!どうしたのよ!!」

どうやら緑が知っている相手のようだった。。


ベッドの上は血だらけで白いベッドシーツも真っ赤に染まっていた。

ところどころポタポタと血がしたたりおちる。

  その血の落ちる中に大きな鳥が1羽倒れこんでいた・・・。


その姿は人形のようにぐったりしていて息をきらしながら血で染まった赤い翼をバサバサ

動かしていたがそれは力なくかなり弱っていた。

 血がでているもとを見てみるとお腹に大きな杭のようなものが刺さっている

しかもベッドに貫通しているようでその鳥は串刺し状態。。


「痛いんだ・・それで暴れて・・・」

麻美が言う。


「アーサー!アーサー!!」

緑は気が動転している。


緑の呼びかけにもまったく答えず翼をはためかせそのつど赤い血を流していた。


「そうだ!!治さなきゃ!!!」

緑は思い立ったように言うと、窓際にあった植木の葉っぱをブツリと取った。


その葉をギュッと手で握ると目をつぶった。。


「緑・・・。」

その姿は真剣だった。


緑の光が手からあふれるとスィと目を開けた。


「さっ麻美!!これ《薬》塗って! 血止めだから。」


「うん!任せて!」


杭の刺さった周りに薬を塗るとアーサーはおとなしくなった。


「クゥゥゥッッ・・・」


「おとなしくなったよ!!血止まったし!!」


「良かった。。」


緑はそう言うと胸に手を当てて目をつぶるとさっきよりも眩しい光があふれた。

胸から離した手には緑色に輝く小さな石があった。


「何?それ。。」

麻美が聞いた


「魔法石よ。魔法使いなら誰もが1つ持っているわ。麻美も魔術試験に合格すればもらえるわ」


「へえぇ〜で緑はそれで何をするの??」


「アーサーの傷を治すのよ」


「えっでも、私の擦り傷を治してくれた時はそんなの出さなかったじゃない!?」


「そうね。麻美の傷はそんなにたいした事なかったわ。私の力《能力》で治せたわ。

 でもアーサーのこの傷を治すには傷が大き過ぎて私の力ではどうにも治せないの」


「じゃ。。禁止魔法って事??」


「見つかれば殺されちゃうほどの禁止魔法ね・・でも今はそんなの関係ない!

 アーサーを助けたいの!!」


緑は魔法石をアーサーの前でかざして呪文を唱え始めた。


「・・・・・・・・・・」


すると、パーーンとガラスの割れるような音を立てて魔法石が少しかけた。


同時に緑はバタリと倒れ気を失った。


「緑!!緑ってば!!!」

肩をたたくが様子は変わらない・・・。



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