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雨は夜更け過ぎに

作者: ささ

雨は夜更け過ぎに雪へと変わった。

そんな静かで聖なる夜。

俺は寒く凍えそうな部屋で、はらりと舞う雪を眺めていた。


寒い。とんでもなく寒い。

静かで聖なる夜の雪を静かに愛でよう。これって風流だろう。などと思ったところまでは良かったと思う。

だが、この部屋は冷えすぎた。

雪が舞い降る音でも聴こうと思ったものだから、暖房を全部止めたのだ。


うーっ、寒い。

毛布に包まりながら雪を見ても、自分の意思とは関係なく振るえる体では洒落た感想など出て来るはずもない。


毛布の中からこふっくふっと音がする。

こりゃマズイ。

我が家のヘタレ王子が風邪を召された模様。

毛布の隙間から見える黒と白の毛並み、先の折れたしなやかな尻尾。


俺は白くなる息を眺め、暖房をつけた。

途端に温かくなる部屋。

ヘタレ王子の咳は止まったようだ。

王子といる時に四季の体感MAXはやめよう。

昨年の今頃にはまだ産まれてもいなかった王子だから、まだまだ体力は少ないだろう。来年はもう少し環境を整えて雪見に挑もうか。


去年は一人で月見酒。

今年はふたりで雪見酒。まぁ、酒は匂いを嗅いで逃げていたけれど。肴のスルメはしっかり持って行ってたけど。


王子とふたり、女っ気はないけど、あたたかい。


息はもう白くない。

静かな夜。聖なる夜。

ヘタレ王子は我が家の一番温かい場所で微睡むのであった。

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