高菜さんが消えた!?
綾瀬くんの明るい声。
その声にイライラしてくるけど何故か安心している自分もいる。
私の頭はおかしくなってしまったのか。
~・~・~・~
「出来たよー。」
朝、麗先輩が教室に来た。
台本が出来たという。
「主人公は野沢菜ー。綾瀬は主人公の幼馴染みの役ね。風鈴は友達の役で私は先輩の役。翠斗は主人公の兄の役だから。ストーリーは台本読んでー。じゃあ♪」
足早に去っていく麗先輩。
相変わらずマイペースだがもう慣れた。
慣れとは実に恐ろしいものだ。
「あの人美人なのに勿体ないな。」
「演劇部は皆あんな感じだよ。」
野沢菜以外の演劇部女性陣の皆は霞高美少女ランキング(霞高にはそういうのが存在する)にランクインしている。
性格みたら終わりだけど。
「特に隣のクラスの英 茶都は可愛いよな。」
「那生がそんなの言うなんて珍しい。」
「って幸が言ってたんだよ。」
「……そっちか。」
那生はあんまり女子に可愛いと言わない。
昔女子を可愛いと言ったら好きだと勘違いされたことがあるからだ。
トラウマだと言っていた。
「あやぱーん。茶都ちゃんが呼んでる。」
「噂をすればだな。行ってこいよ。」
「珍しいな。アイツが来るなんてよっぽどの大事じゃないとあり得ないはずなんだけど。」
小走りでドアに急ぐ。
そこには鷹宮さんもいた。
「遅いです。呼ばれたら素早く来てください。」
「申し訳ございません。」
何だこの上下関係は。
鷹宮さんとなら全然許せるんだけど。
「どしたー?」
「心結がいないらしいです。学校には一緒に来たのに気づいたらいなくなってたそうです。」
「すぐ戻ってくるだろ。他のクラスの友達のとこに行ってるとかじゃないの?」
「それはあり得ないです。校内は全て探したと言ってますし、それに……。」
「…………心結…………友達いない…………。」
わぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ。
さみしい!!
よりによって友達いなさそうな二人に言われるとか。(失礼)
「探しに行きましょう。」
「え、授業は?」
「そんなのサボるに決まってるじゃないですか。」
「鷹宮さん意外っ!!俺も鷹宮さんと一緒なら喜んで!」
「勿論のことながら、私は今日の分の予習をあらかじめしてきたからサボるんです。それに一緒にサボるとしても一緒に行動するわけではないですよ。そこのところちゃんと理解しておいてくださいね。」
「…………全否定…………?」
英、大正解。
今の返しで俺の心は木っ端微塵に砕かれた。
だが!!
鷹宮さんに蔑まれるならそれはそれで本望だ!!
寧ろ砕け散った心を再生させてくれる力があるほどの威力を「キモいです。」
しょぼーん。
「早く探しに行きますよ。授業受けるなら別にいいですけど。」
「そんなわけないじゃん!喜んで!」
鷹宮さんは少し嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、野沢菜が行きそうな場所とかある?」
「…………知らない……わからない……。」
英は大きな目に溢れそうなくらいの涙を溜めている。
俺はそんな英を慰めながら二人で野沢菜を探すことになった。
決定権を握っている(?)鷹宮さんが俺と英をペアにしたのだ。
何でかよくわからない組み合わせ……。
絶対鷹宮さんは英と探すと思ってたのに。
「とりあえず見つけたら連絡してください。」
「勿論!喜ん「茶都、連絡よろしくね。」
「…………玉砕…………?」
英またまた大正解。
いいよ。もういいですよ。
いっつもこんな扱いして。
俺拗ねちゃうもん。
……とか言ってみたりして。
……はい、即無視ー。何事もなかったかのように進んでいくー。
「…………辛いね…………。」
「うん……。って、そんなことより!野沢菜がこっち方面で行く店とかない?」
「…………心結は気まぐれ…………わかんない……。」
沈んだ声で小さく呟いた。
こんなので本当に見つかるのか?
ていうか、野沢菜いったいどこ行ったんだ?
どうも、逆立ちしたら腰反りすぎて腰の筋を痛めてしまった畑中 優月です。
もう歳だと実感した瞬間でした。(苦笑)
……今回鷹宮さんより心結やら茶都やらが多いなって後々思いました。
この二人にも頑張ってもらおう、ということで次も多く登場してくれることと思われます。
ではでは。