台風出現
もう忘れかけていた。
私の大嫌いな昔の記憶。
でも今、それを思い出してしまった。
苦しい……頭が割れそう……。
~・~・~・~
「うん、始めての割になかなかいい出来だねー。」
遂に本番前。
ぎりぎりではあったものの何とか仕上げることが出来た。
僕も鷹宮さんも野沢菜も休み時間を割いて練習したんだ。
地獄のようだった……。
何とか劇も成功して、部の存続は認められた。
「あーよかったねー。野沢菜頑張ったもんね。」
「せやな。素人とは思えへん演技力やったで。」
「ありがとうございます!」
先輩達は野沢菜の演技を褒め称えた。
嬉しそうに照れている野沢菜を見ると俺達まで嬉しくなる。
にやけていたら、珍しく部室に先生が入ってきた。
「旭日、ちょっと。」
「はいはいー?」
「何なんですかね?麗先輩何かやらかしたんですか?」
「や、麗さんかなり賢いし態度もいいよ。」
「生徒会の会計やってるくらいしっかりしてるし。」
「心結ちゃんとちゃうんやからないやろ。」
「し、失礼ですね!!」
次々とわかる麗先輩の多才。
尊敬するなー、ほんと。
「はー、疲れた。何かね、今の中学3年の子で演劇部のこと見てみたいって言う子がいるらしいの。今日の部活発表会をこっそり覗いてたんだってー。で、見せてあげてって。」
「俺ら全然活動してへんけどいいの?雰囲気のよさでも見せたんの?」
「……そういうことにしよー。」
……絶対今決めたな、麗先輩。
そっとドアから顔を覗かせている女の子。
あれ、この制服……どこかで見たことある…?
「……やっぱりここにいた。探したんだからね、風鈴。」
「な……菜花……?」
知り合いなのか……?
気の強そうな少女はかなり睨みをきかせながら鷹宮さんに近づいた。
「風鈴、あんた何でここにいるの?ここだけは嫌ってあたし言ったじゃん。どうして!?」
「私のことは私が決める。決定権は私にある。それくらい常識でしょ?」
火花バチバチの二人。
空気がヤバイと感じたのか耐えられなくなったのか瞬先輩が口を開いた。
「あんさ、名前なんていうん?」
「すみません!紹介が遅れてしまいました。私、七波 菜花と言います。」
ぶふっ……っっ!!
なとはばっかりじゃんか!!!
「笑いましたね!?気に入らないです!!」
「風鈴、友達?」
「……私の後輩です。」
あ、だからか。
なごちゃんの部屋で見たことあるんだ、この制服。
先輩に敬語使ってないのに怒られないのかな?
ましてやその相手はあの鷹宮さんなのに。
「あのときのこと、忘れたとは言わせないからね!あたし、今日は帰るから。でも言っとくけどあたしここの高校受けるつもりだから!」
「うん。それ会うたびに言ってるから知ってるよ。菜花勉強しなきゃ今のままじゃ無理なんじゃないの?」
厳しい鷹宮さんの言葉に唇を噛みしめ立ち去って行く。
……台風みたいな子だな。
「鷹宮さんあの子と何かあったの?」
「……大勢の前で話すことではないです。」
やっぱり謎な鷹宮さんなのかなー?って思ったら俺の携帯が鳴った。
見たことのないアドレスからのメールだ。
後で私の部屋
それだけがかかれたメールの文面だったけど一瞬で誰かわかった。
これは鷹宮さんだ。
あまりにも嬉しくて思わず飛び上がってしまった。
鷹宮さんの隠された過去を聞けるのかと思うと漫画のあるある展開で……いい!!
そんな感じでうはうはしていたら鷹宮さんに叩かれた。
「鷹宮さん!!もっと俺を叩いてください!!初めてですよね!?嬉しいよ!!」
「キモいです。絶対触れません。」
更新遅くなりがちの畑中優月です。
ぐだぐだ小説が最近更にぐだぐだしてきて困ってます。「傘持つ少女と紺碧の少年」の方はどちらかと言うとストーリーが大方決まっていてそれに沿っているわけですが、この話は特にストーリーがないのです。ただこういうキャラの子がいたらなっていうのの寄せ集めなんです。
ぐだぐだで本当に申し訳ないですが楽しんでいただけるようこれからも頑張ります。よろしくお願いします。