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第二話 そうだ。異世界へ行こう。

連投稿。


「さて、城から出てきてみたはいいものの、どこへ行こうかな?」


 先ほど勇者一行を殲滅し、国へ帰した魔王は、暇になったのでどこかへ行こうと決めた。思い立ったが吉日。それを体現したかのように、魔王は即座に外へ出たはいいものの、行く場所を決めていなかった。


「どうしよっかなぁ・・・あ、そういえばあいつらが最近魔物が攻めてくるとか言っていたな。動きが活発なっているのか?だとしたら、そうだな。魔物の森へ行こう。暇だし。あいつらが俺を討伐しに来た理由って魔物の進行が原因なんだよなぁ。前代未聞なんだよ。一回目から五九回目までは純粋に俺を討伐しに来ただけだからね。はて、何が原因だ?・・・繁殖期ってオチは嫌だよ?」


 とりあえず、勇者御一行が行っていたことが本当かどうか確かめに行くために、魔物の森へと歩を進めた。途中で魔物に襲われたが、適当に魔力弾をぶつけ消滅させた。


 ようやく魔物の森の入口付近にたどり着いた時、異様な雰囲気が漂っているのがわかった。


「・・・ん?殺気かな?それも全て俺に向けている」


 魔物はあろうことか、魔王に向けて殺気を向けている。これは本来ありえないことだ。魔物は理性がなくても、相手の強さはわかる。人間相手なら問答無用で襲いかかるが。しかし、今現在、自分より遥かに強い魔王に殺気を向けている。これは命知らずか、ただの馬鹿か。のどちらかだろう。


「う~ん?これは確かに異常だ。普通だったら俺に殺気を向ける筈がないんだけどね。何かがありそうだなぁ・・・。まぁ、それはそれとして、相手はざっと見て、ひーふーみーやー・・・百体か。そのうちの二十体がウルフで、オークが十体、ゴブリンが三十体で、残りの四十体がスカル、と。雑魚しかいないね。でもね。俺は敵意を抱いた奴はしっかりと殺すのがモットーなんでね。命知らずな自分たちを恨んでくれよ?・・・・・ん?勇者御一行?あれはまた別問題だよ。国とのいざこざを起こしたくないからね」


「グルルルルル・・・」


「さぁ!かかって来い!塵も残さず消滅させてやる!」


「ガアアアア!!」


 魔王の言葉で一斉に魔物は襲いかかる。が、結果は一目瞭然。魔王は魔物をちぎっては投げ、ちぎっては投げる。大群が突っ込んできたら回し蹴りに魔力を付加させ、吹き飛ばす。


「おいおいおいおい!!それだけか?殺気を俺に向けてきたんだろ!?もっとかかって来いよ!!」


「アアアアア!!」


 魔物は上や横から魔法を放つ。しかし、それを魔王は腕をひと振りし、かき消す。


「弱い弱い弱い!自分たちから仕掛けてきてこれだけか!?・・・興ざめだ」


 魔王は腕に魔力を溜め、地面に叩きつける。紅い閃光が森の中を駆け巡り、まるで蛇のように地面を這いで、残りの魔物を下から焼き尽くす。魔物の焼け焦げる匂いと森の匂いが混じり合う。


「・・・いや、相手は雑魚だったな。うっわ~・・・さっきまでの俺痛いわ~。それになんか焦げ臭くなっちゃったな」


 少しの時間、自己険悪に陥ったが、なんとか持ち直し、旅を再開した。


「なるほど。あいつらが言っていた通り、魔物の活発化が激しくなってるな。俺にとってはガキがヤンチャしてるくらいにしか感じないけどね。人間にとっては死活問題なのか?」


 まぁどうでもいいけどね。と、切り捨てる。奥に進んでいくと洞窟が見えた。どうやらそこからまた殺気が向けられた。


「うん?ここは森の中心だよな?ということはここの最高権力者がここにいるというわけだな。で、なぜまた俺に殺気を?とりあえず聞きに行こう」


 魔王は洞窟へと歩を進める。その度に魔物に攻撃されるが、適当にあしらい、中へ入る。すると、奥にはお偉いさんらしき魔物と、それを守護する魔物がいた。


「やぁ。ピリピリしてるけどどうしたの?」


「っ!何者だ!」


 守護している魔物の何人かが魔王に矛を向ける。種族はオークだろう。


「まて。矛を収めなさい」


「しかし!」


 長が止めるが、なかなか矛を収めない。しびれを切らした長は怒鳴った。


「収めなさい!」


「っ!は、はい・・・」


「うちの部下が失礼しました。あなたは?」


「いや、別にいいよ。ん?俺?俺は世間一般には魔王って呼ばれてるけど?」


「!?こ、これは失礼しました!部下の責任は私の責任。この命、貴方に渡しましょう」


「いやいや。別に命とか取らないし。そういえば君たちは意思があるんだね?」


「はい。魔物は意思を持たないのが多いですが、意思を持つのも多少はいます」


「ふ~ん。で、なんでピリピリしてるの?」


「はい。つい最近からなんですが、人間たちの魔物刈りが激しくなってきてるんです。確かにこちらも襲いますが、私たちの中枢まで攻めてくるようになったんです」


「・・・・・あれ?でも、君たちだって人間の村を襲ってるよね?」


「それはあっちからやってきたからです!そりゃあ私たちはここに迷い込んだ人間は襲いますが、あっちから何もしなければ襲いませんよ」


「なるほど。だいたい人間のせいか。・・・・滅ぼすことを真剣に考えたほうがいいか?」


「何か言いましたか?」


「いや、何も言ってないよ。ま、頑張ってね」


「はい」


 そう言い残し、魔王は去っていった。


「いいんですか?長。いくら魔王でも言わなくても良かったんでは?」


「ふん!いいのだよ。今は、な。人間共々、魔王も滅ぼし私がこの国の頂点に立つのさ!ははは!」



「ヘックシュン!・・・あ~・・・誰かが噂してるのかな?まぁどうでもいいけど」


 魔王は魔物の森を抜け、城へと戻って行った。椅子に座り、使い魔の鴉を呼び戻す。


「なにかなかった?」


「―――――――――」


「何もなかったね。ご苦労さま」


 魔王は椅子から立ち上がり、窓のそばへ寄りかかり紅茶を一口。一息ついた。


「ふぅ。さて、どうしたものかな。この国もだいぶ荒んできているね。いや、イーストランドよりはマシか。あそこはもう魔王が統一してるしねぇ。人間なんて奴隷同然。いやはや。やることが大きいねぇ。俺はやらないけど」


 イーストランドの魔王は人間に呆れ、力によってねじ伏せた。その結果、イーストランドは魔王のものとなり、民衆は奴隷と化していた。その時、他の国々の人間達は助けに入ろうとしたが、結界に阻まれ侵入できなかった。


「なんて言うか・・・つまらないな。どこかへ出かけようかな?例えば異世界とか。ん?異世界?・・・そうだ!異世界へ行こう!」


 魔王は今度は異世界へと旅立つ準備をし、魔道書を地下室から取ってくる。


「よっしゃ!異世界へ行こうか!って意気込んだのはいいものの、これって実は禁術なんだよね~」


 魔王は早速異世界へ通じる道を開こうとしていた。しかし、その術は禁術であり、奥底に封印されていた。なぜ魔王がこの術を知っているのかというと、三十二回目に攻めてきた勇者御一行の魔法使いの懐に入っていて、戦利品として貰った(盗んだ)からだ。魔法使いは魔王を異世界に飛ばそうと考えていたのだろう。


「あいつの技量なら俺を飛ばせたかもね」


 三十二回目の魔法使いは、攻めてきた歴代の勇者御一行の魔法使いの中で一番と言っていいほどの実力の持ち主だった。しかし、相手が悪かったのだろう。呪文を唱え始めた瞬間、魔王に蹴り飛ばされノックアウト。まさに外道だ。


「っとまあ思い出に耽っていてもしょうがないからとっとと始めるか」


 魔王は地面に魔法陣を描き、呪文を唱える。


「【ここに誓う。虚は偽りを持って成り立つ。偽りの夢はいつしか真に成りん。我が道筋は真とはかけ離れり、これより我は偽りを創り出す。偽りは虚へと成し、真の道筋へと開かれる。新たなる道よ。我の前に姿を表せ!】」


 魔法陣がより一層光り輝く。光はだんだんと小さくなり、晴れると、目の前には巨大な門が現れた。


「・・・・うん。行き当たりばったりだったけどなんとか成功してよかったよ。これで成功しなかったら俺ってただの痛い人じゃね?人じゃないけど。まぁそれはそうと、この扉の向こうには何が待っているのかな?」


 魔王は門を開け、異世界へと入っていった。これから何が待ち受けているのか。



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