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翡翠宮  作者: たま
9/19

スーパーヒロ

「おはよう!なんか大変な事になったね!」ヒロが薫の横からヌッと顔を出してきた。

思わず薫がマリアから離れる。

ホッとする。

「昨日は荷物ありがとうございました。助かりました。」そうだ!爽やか男子が同じ階にいるのだ!

女子高生探偵も!彼らと仲良くなって、この謎を解いて貰えるかも?

まだ希望を捨てちゃダメだ!

チャンスはある。自分に言い聞かせる。

「あの…あの良かったら散歩しませんか?

相談に乗って貰いたいんです。」学校はずっと女子高だから男子と話すことがまず無いし、自分から誘うとか一大決心だが、このまま病んで死んで行きたくない!

何としても生き残るんだ!

身体も、心も!

ヒロの顔を見る。

目を見開いて、一瞬時が止まったかのような…

「えっと…俺…だよね?」ヒロが確認する。

「はい、まだ名前も言ってなかったですね。

マリアと言います。大河マリアと言います。」ヒロを見つめる。

ヒロの顔がみるみる赤くなったが、グッと手を握られた。「俺?僕はヒロです。ヒロって呼び捨てして!

その方が緊張しないと思う!」そう言うとマリアの手を握ったまま階段を降りていく。

『エッ、今すぐ?』とさすがにビックリしたが、スゴい風を感じる。

彼と手を繋いでると周りがキラキラと光りだすような風を纏うようなジェットコースターに乗ってるような気持ちになる。

「ヒロ!どこ行く?」走りながらマリアが聞く。

歩きやすいなと思ったら、マリアもヒロも部屋のスリッパのまま外に出ていた。

「ありゃ、まあいいか!マリアの履いてた靴だと、田舎の砂利道歩けないもんね。潮の匂いがするから

その方へ行ってみよ?」ヒロがズンズンとマリアの手を引いて洋館の裏の雑木林の中に入って行った。

久々ワクワクする。

叔母や母とスニーカーで世界中バックパッカーしてた時に戻ったみたいだ。2人はぴょんぴょん跳ねながら潮の匂いを追って森の中に入って行った。


救急車に佐原夫婦も乗って病院へ向かった。

「昨夜は佐原家の奥様は薫君とずっと一緒だったけど…言わなくて良かったのかしら?」月子さんが朝ご飯を食べながら耕三に聞く。

薫は少し離れた席でなぜか機嫌良く朝ご飯を食べてる。

「そうだなあ〜聞かれれば話しても良かったが、社長のお母さんは高齢だったからあまり事件性を感じてないみたいだったな、こちらの県警は。」食堂は真ん中に大きな円卓テーブルがあり、その周りを小さな2.3人用が窓際や壁側に配置されてる。

夕食は真ん中の円形テーブルに配膳されるので、皆そこに座るが、朝ごはんはブッフェスタイルなので皆小さな席で朝ご飯している。

今朝はちゃんと支配人が王夫妻に声掛けに行ったので

時間通りに食事している。

反対に王が少し遅れて入ってきた。

まだ少し眠そうでコーヒーだけを飲んでいる。

相変わらず弟達は食堂を走り回る。

王が何度か中国語で注意する以外は親はほったらかしだ。

夏希は誰かを探してる風の王の席へ食後のジュースを持って近寄る。

「マリアちゃんは、ウチのヒロと散歩に行きましたよ。

ちょっと出遅れたね。」全く人見知りしない下町っ子の夏希が馴れ馴れしく話しかける。

「女子高生探偵自ら声掛けてくれるとは、光栄だね。」

手でどうぞとゼスチャーされたので向かいに夏希が座る。

「マリアちゃんのお父さんに捕まってたね〜昨夜は。

あの人パワフルだよ〜もう始発で東京帰っちゃったよ。」オレンジジュースを飲みながら話す。

「経営者は元気だよね。でも未成年の子供を2人だけ残して大丈夫なのかな?」薫の方を見ながら夏希は首をかしげる。

「いやいや、君なんて中学生にしか見えないが昨夜は彼氏とイチャイチャしてたからビックリしたよ。」夏希に嫌味を言う。

「身長が低いだけよ!アナタと1歳しか違わないわよ!」夏希がふくれる。

「よく僕が20歳前だと分かったね。この容姿だから、三十路に間違われることもあるのに…」伏し目がちに王麗明が笑う。

「親御さんの行動に引け目感じてたでしょう?

20歳を越えてたら、もっと距離が空くんだよ。知らんぷりがもっと平気でできる。

まだ思春期抜けきってない気がしたから。

そして弟さん達も動きは小学生だけど身長は私より高いくらいだから、アナタも20歳前だと思ったの。」夏希は王麗明を見る。

「…未熟さを見抜かれてたか。面白いね。さすが探偵さん。」王が夏希の顔を見る。

「私は探偵なんかじゃないよ!勝手に周りが盛り上がってるだけ!

なぜか人が亡くなる現場に立ち会う機会が多くて…」夏希が憂鬱そうにため息をつく。

「…多分、佐原家のあのウルサイおばあちゃんは助からないよ。また、偶然ね。」王が唇の端だけで笑う。

「え~っ、痛み止めの飲み過ぎでしょ?

アスピリンなんて、私だってココ来る前に夏風邪ひいて飲んでたよ!

市販されてるような薬で人が死んだら大変だよ!」夏希が腕を組んで否定する。

2人が話していると支配人が飛び込んできた。

「佐原家の悦子様が亡くなられたそうです!

警察から連絡がありました!

皆様、今日のお出掛けはなさらないで下さい!

警察が来ます!」

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