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始まりの村防衛戦線 その①

少女に連れられて、壁沿いにあった複数ある井戸の一つに辿り着く。



「ここ、はやく!」



「井戸から村の外に繋がるのか」



「こう言う展開好きだよ〜」



「あとは、おねがい!」



「任せて」



縄梯子が付いてるから、それを下ると地下通路に繋がっていた。道は直線で松明も一定間隔で壁にあるから迷うことはなさそうだ。


地下通路を走り抜けていると、僅かに地上の光が漏れているのが見える。縄梯子もかけてあるからそこから地上に行けそう。


そして、地上に顔を出すとそこは森だった。見える限りだと特に誰も居ない……が、遠くから戦闘音らしきものは聞こえてくる。



「リッカ、こっち!」



「ん、分かった〜! ミナは好きに戦って良いよ、救助はわたしがやるから」



「ならそっちは任せた」



私達は音の鳴る方へと近づくと、見るからにボロボな神父らしき人と、ナイフを持ち鎖帷子を装備した推定盗賊を見つける。



「お仲間もお前のとこに送ってやるよ」



「盗賊、め! 神の裁きを、その身に喰らうが良い!」



よし、どっちが悪者かはこれではっきりしたね。



「ハッハッハッ! 神なんぞ居るわけ」



「《加速》《強打》」



「ガッ?!」



「大丈夫ですか〜、《ミニヒール》」



「あ、あなた達は……?」



盗賊に向い強力なボディブローをお見舞いする。不意打ちになったのか後ろに倒れ込んだ。



「私達はまぁ……この村を助けに来た人になるのかな? さーて、情報を吐いてもらおうか?」



「な、なんだおまグフッ?!」



「質問は私がするんだよ?」



盗賊の上に乗って尋問兼拷問を開始する。情報源は貴重だからね、うん。若い金髪の神父はリッカが回復魔法を使ったから大丈夫だろう。



「何が目的なの?」



「し、知らなヒッ……?! 親分がこの村を滅ぼせって急に……」



「ふむふむ、他に知ってることは?」



「お、親分は火を纏う大剣を持ってるぜ! お前らなんぞ勝てる訳がねえ!」



「なるほどなるほど、それから魔物と一緒に戦ってるってのは?」



「そ、それは本当に知らねえよ! 偶々長クラスのナーガが人の言葉を話せたから、協力って」



「ふーん……じゃ、情報喋ってくれたしもう良いよ。どっか行けば?」



「わ、分かったよ!」



リッカは話を聞き終わった段階で、先に行ってしまったのだろう。私は盗賊に背を向けて、先へと進もうとすると……。



「バカめ! 死ねぇ!」



「バカはそっち!」



「ぇ?」



「っしゃぁっ!」


見逃したら本当にナイフで背中を狙ってきたが、動きは分かりやすい。即座に振り向いてカウンターを成立させる。



「ガハッ……」



「さて、急がないと」



盗賊にトドメを刺したのか、死体がポリゴンの欠片となって消える。不名誉な称号も増えないから、人とは言え盗賊を倒しても特に問題はなさそう。


なんで先に倒さなかったと言われれば……リアリティさに良心が痛んだと言えばそうだろう。一応周りを見渡すと、神父が居た場所に緑色の液が入った瓶が置いてあった。


触れると回復薬と書いてあり、私程度の最大HPならほぼ回復出来るだろう。インベントリに収納し、リッカを追う。



「っと……何か来る」



「srrrrrr!」



「srrr?」



私の前と後ろに、性別不明で色白の人間っぽい絶妙に気持ち悪い胴体と、青色の蛇の下半身を持った敵が現れる。これがさっき聞いたナーガだろう。


サイズは私よりかは若干大きい。リッカは居ないし、ここは私1人でどうにかするしかない。



「「srrrrrrr!!」」



「《加速》!」



とりあえず挟まれてるのは不味いから、2匹と向かい合うように距離を取る。私が居た場所に尻尾が叩き込まれ、ムチのようが音が響いた。



「私レベル1なんだけどなぁ……っと、かかってきなよ!」



弱音を吐いても仕方ないから、煽りを忘れずにし構え直す。



「srrrr!!」



「srrrra!!」



挑発が効いたのだろう、1匹は腕を広げて何かをしようとし、片方は尻尾で私を叩き潰そうとする。胴体を狙うには少し難しい。


ならまだ腕が届きやすい尻尾の上部のど真ん中を狙えば良いだろう。少し集中して、今!



「《強打》」



鈍い音が響き、ナーガは錐揉み回転するように飛ばされていく。2匹目に目をやると、魔法陣を展開していた。


「させるかっ! 《強打》!」



「srr?!」



「っと、見かけ倒しかな?」



強打込みの正拳突きを打ち込み、仰け反ったところで蹴りや殴りでHPを削り切る。7〜8発適度で沈んだから、HPはあまりないだろう。


残り1匹も相当弱っていたのか、最後に私に一矢報いようと襲いかかって来るも……。



「これで、終わりっ!」



「srrra……」



尻尾攻撃ならともかく、破れかぶれの攻撃なら尚更カウンターの成功率は上がる。呆気なく沈んだナーガから落ちたアイテムを回収しつつ、私は先へと急ぐのだった。

読んで頂きありがとうございます、ジャンル別日刊ランキングへ載ることが出来ました。これからもよろしくお願いします。

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