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第一輪:お花畑

はじめまして、きさらぎです。

余りにも厨二病全開すぎる文なので、それでもいいっていう覚悟の持ち主だけ進んでください…

――気が付いたら、お花畑のど真ん中に立っていた。


地平線の彼方まで広がる色とりどりのお花、お花、お花。甘い香りをのせて駆け抜ける風さんに、ぽかぽかな光をくれるお日さま。


仰向けに寝転がる。たくさんの自然を身体中で感じる。


…背中によって押し花にされたお花については触れないでおこう。


ゆっくりと瞼を閉じる。お日さまの光が、瞼越しに微妙な色を醸し出す。


いやぁ、お花畑っていいわー!とか思ってると、不意に目の前が暗くなった。


不思議に思った"俺"は瞼を開く。


黒い影がお日さまを遮っていた。


気のせいかな?影がどんどん大きくなってる気がする…

…気のせいじゃなかった。


輪郭がはっきりしてきた。長い耳に、まるっこい身体、さらにはギザギザしたしっぽ。…某電気系ねずみみたいな形だ。


影が大きくなるにつれて、はっきりとソレを認識できるようになった。身体は紫色、ガラのよろしくないお顔をしてらっしゃる。


ぬぼーっと眺めてると


『ヴィィィィィィィィィ!!』


とかのたまいはじめた。


くりくりでつぶらなはずの、血走ったまんまるおめめが俺を見据える。


目があってしまった。無気味なまでに頬を吊り上げて『グヒヒヒヒ…』と、恐怖を煽る鳴き声を発しながら、右腕をかざす。


脳内に第六感が発する警鐘がガンガンと鳴り響く。

この某電気系ねずみは関わったら敗けだ、逃げろ…と。


その警鐘に素直に従うことにして、起き上がろうとして…起き上がろうと……あれ?


背中に押し花にされた、萎れ気味のお花たちが身体中に絡み付いていた。……この電気系ねずみ、植物を操りやがった…


身動ぎ出来ない状況になって、初めて恐怖を感じ始めた。


ただの電気系ねずみじゃない…何か、とんでもない事をもたらす…どす黒いオーラがそれを物語っている気がする。


ヤメテ、俺はお花畑でお花さんと風さんとお日さまと遊んでたいだけなの!邪魔しないで!


もちろんそんな願いも虚しく、重力による加速を得て落下してくる電気系ねずみ。


ほっぺたが紫と黒を混ぜた、暗い色の雷によりバチバチと鳴る。


…まずい。


「まっ、待て、落ち着け、話せばわか――」

『ヴィィィァァァア!(はぁt』


ドォォォォォォォンッ!!


凄まじい轟音と共に、真っ黒な稲妻が電気系ねずみと"俺"を繋いだ。


「びゃぁあああああ」


もはや悲鳴とも取れぬ声がお花畑を駆け抜けた。


黒い煙をあげながら燻る"俺"に、超ご満悦な笑顔を振り撒く電気系ねずみが接近する。


「お花ぁぁぁぁぁ――」


人の夢と書いて儚いと読むとは、まさにこの事だと実感したのだった。





――ぁぁぁぁぁぁあ


ゴスッ


「ぁぶっ!」


二段ベッドの上の段から落下、およそ1mの落差を顔面で受け止めるという快挙を成し遂げた俺…神崎直哉かんざきなおや


今年で18歳。身長175cm、体重60kgという痩せ気味の身体に、それほど悪くない整った顔立ちの彼は、誰とでも分け隔て無く接する性格も影響し、なかなかモテていた。

…無論自覚は無い、テンプレな輩である。

また、彼には何故か問題が次から次へと降り注ぐ。所謂トラブルメーカーと呼ばれる体質である。


この時、直哉は自分の運命を構成する歯車が1つ…いや、2つも3つも砕け散ったことを知る由もなかった。


……そして、つむじあたりが焦げていることにも、部屋の片隅に物言わぬ石像と化した、見覚えのある電気系ねずみにも気付かないのであった。

今日は日曜日、部屋でのんびり過ごすに限る。

というわけで、朝食を食べ終わり、部屋に帰ることにした。


帰る途中にふと思い浮かんだことがある。


「せっかくのお花畑が…」


…電気系ねずみを敵視するようになる直哉であった。

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