山の主 1
小さな寒村に住む女の子雪乃は背負子を背負い日の出と共に山へと入る。
寝込んでいる母親の薬草を摘んで薪を拾う為に。昼前には山を降りご飯の支度をし、母親に用意をし自分も食べると畑仕事や薪割りといった家の仕事をこなす。
翌日は隣町まで薪を売りに行き休みなく1日交代で山と町を往復する。
母親と二人暮らしの雪乃はまだ幼く家の畑は小さい。暮らしの為に山に入り薪や木の実といった山の恵みに頼るしかなかった。
楽な生活ではないが各季節ごとに山菜や筍、きのこや栗や木の実を見つけると嬉しく山へ行くのは好きだった。
「お地蔵様、行って参ります。お母さんの病気が早く治りますように」
山の入り口にあるのは道祖神であったが雪乃にはお地蔵様と道祖神の違い等わからない。それでも通る時は必ず丁寧に手を合わせ母親の回復を祈った。
冬に風邪をひいた母親は無理をした為かなかなか治らずとうとう寝込んでしまって三月になる。
近頃はどんどん食も細くなり、お椀一杯のお粥を半分も残すようになっていた。
町で売っている薬はとても高価で、懸命に薪を集めて売り歩くが薬代はなかなか貯まらない。しかもほんの2、3回分を買うのがやっとだったのに続けて飲まないと効き目はないと言う。
幼い雪乃にはどうすれば良いかわからなかったが、それでも母親に心配かけまいと明るく笑い看病し働く事しか出来なかった。
猪肉や鳥肉、卵、蜂蜜に鰻‥‥村の大人達に教わった身体に良いモノはどれも高価で手に入らない。川でしじみやどじょうをとるのが精々である。
「お父さんがいてくれたら山鳥でも狩ってきてくれたのに‥‥」
雪乃は思わず言った言葉に口を抑えぶんぶんと首を振った。
良かった、家じゃなくて。
山の中で誰も居ない事に雪乃はほっとした。
雪乃は母親の前で父親の事を言わない。
お母さんが悲しむから言っちゃいけない。
猟師をしていた父親は2年前に出稼ぎに都へ行ったきり帰って来なかった。時々届いていたお金の仕送りや文も途絶えて1年近くになる。
遠い寒村では噂も聞かず、病気になり困っているのではないかと母親は心配していたが、探しに出るお金を貯めているうちに母親が病気になり寝込んでしまい、貯めていた僅かなお金はあっという間になくなってしまった。
父親が居ない間母親は気丈に振る舞い働いていたが、夜に押し殺した声で父の名を呼びながら泣いているのを知っていた。だから雪乃は父親の事も、寂しいとも母親の前では一切口にしなかった。
何かお母さんが食べれるもの。お母さんが好きなもの、山道を歩きながら考えていた雪乃は思わず立ち止まった。
「桃‥‥!」
お前の好きな桃を見つけて沢山とってきたぞ___
近頃はぼやけてはっきり思い出せなかった父親の声が聞こえた。
そうだ、お父さんがお母さんに桃を持って帰って来た時お母さん凄く喜んで、冷やして三人で沢山食べた‥‥!
雪乃は父母の笑顔と桃の冷たくて甘い味を鮮明に思い出し思わずゴクリと喉を鳴らした。
桃ならお母さんきっと食べてくれる、お母さんに桃を食べさせたい‥‥!
雪乃は桃を探す事にした。
薪を拾うのも忘れ、雪乃は辺りを見回しながら懸命に桃を探した。
どんな木かすらわからないが桃がなっていればわかるはず、と上を見上げ桃のある木をひたすら探すが桃どころか、果物のなっている木はまるでなく雪乃は入った事がない山の奥へ奥へと進んだ。
「何処にあるんだろう‥‥」
お父さんは山に狩りに行った時に見つけていた。もう少し奥かもしれない。雪乃は山の奥へとどんどん進む。
◆◆◆◆
「ふう‥‥」
竹筒の水をごくごくと飲み雪乃は一息吐いた。
いつもはお昼には家に戻っている為食べる物は何も持っていない。
山は深くなりこんなに奥まで入ったのは初めてで、誰にも会わず少し不安になってきた。
諦めて帰ろうか____。
思うが雪乃にはやつれてゆくばかりで食べる事もままならなくなった母親の姿が不安で仕方がない。
桃を持ち帰り喜んで食べる母親を見たかった。
まだお天道様は真上に来ていない、まだ大丈夫。
空を見上げていた雪乃は視線を下ろし竹筒の水をもう一口飲んだ。
「?こんなところにお地蔵‥‥変わったお地蔵様‥狸だわ、狸のお地蔵様なんて初めて‥‥」
下ろした視線の先に小さな石の地蔵があり、近寄りよく見ると地蔵ではなく狸の石像だった。
ぽつんと忘れ去られたようにある小さな狸の石像は草木に埋もれかけており何だか寂しそうに見える。
雪乃は持っていた草刈り鎌で石像の周りの草木を刈り、竹筒の水を掛けるとしゃがんで手を合わせた。
「何も御供えを持ってなくてごめんなさい。狸様、桃が何処にあるか教えて下さい。お母さんにあげたいのです、1つだけ私に桃をください、お願いします」
祈った雪乃が立ち上がると突然足下から風と共に木の葉が舞い上がり、思わず両手を握りしめぎゅっと目を瞑った。
「_____え?」
風がおさまった気配に雪乃がそろそろと目を開けると、目の前にあった小さな狸の石像は大人程もある大きな狸の石像に変わっていた。
「?!狸様どうしたの?!お水を掛けたからこんなに大きくなったの?!」
雪乃は驚きまじまじと石像を見つめながら周りを回った。
「こっちでちーーー!」
雪乃が驚き狸を見つめていると、声が聞こえ雪乃は声が聞こえる方を見ると歩き出した。
「こっちでち!早く来るでち!」
よく見ると先程居た山の中とはまるで様子が違っている。
声がする方へと歩いて行くと、前掛けをした小さな子狸がぴょんと跳ねながら手招きをし雪乃は子狸へと駆け寄った。
「早く来るでち!」
「狸さん!」
「わちは連夜でち」
「私は雪乃‥‥連夜ちゃん凄い、喋れるの‥‥?」
「当然でち。じじ様が待ってるから来るでち」
小さな連夜は可愛らしく、雪乃は驚きながらも不思議な、何処かわくわくした気持ちで連夜の後をついて歩くと立派な屋敷の中から男が1人出てきた。
「じじ様雪乃でち!」
雪乃は赤い女物の花柄の着物を羽織る男の人を初めて見た。
___でもとても綺麗‥‥と驚きながら夜一を見上げた。
「桃が欲しいのか?」
低い穏やかな声にほっとしたが、雪乃は綺麗な着物を着ている夜一は凄く偉い人だと思い、慌てて膝をつき頭を下げた。
「は、はい、お願いします、お母さんに食べさせてあげたいのです、お願いします!」
「雪乃」
「は、はい」
「桃は今季節じゃねぇからまだなっていねぇんだ」
夜一は言いながら土下座し懇願している雪乃をひょいと持ち上げ立たせた。
「‥あ‥‥」
幾ら山の中を歩いても果実をつけた木がなかった事に、雪乃は果実がなる季節をすっかり忘れていた事実にがっかりした。
「だから山の主に会って頼んでこい」
「え?」
「山の主ならちょいと早く実をならすくらいわけねぇさ。ここの主はオオカミだ。話しはわかる奴だが相手は主だ、機嫌を損ねねぇよう不作法しねぇでお願いするんだぜ。連夜が案内する」
「ワチが一緒に行ってやるでち」
「え?!連夜ちゃん一緒に行ってくれるの?!」
「オオカミババは大きいけど怖くないでち」
「じき昼だ。二人で食べな」
「むふーっ!じじ様のお弁当でち!!」
連夜は夜一から渡された風呂敷包みを嬉しそうに頬ずりすると背負子に入れ背負った。
「連夜、雪乃が怪我しねぇよう守ってやれ。2人とも気をつけてな」
「はいでち。じじ様行ってくるでち」
「ああ、オオカミに宜しくな」
「はいでち!雪乃行くでち」
「は、はい」
雪乃は夜一に頭を下げると慌てて連夜の後を追った。
「______」
ここは何処なんだろう。
雪乃は明らかにいつも行っている山とは違う雰囲気と風景に驚いた。
上手く言えないが人の気配や手が入った形跡が無く、緑の匂いも強く自然が濃厚な感じがする。
苔の生えた木の根や石が多く、雪乃は滑らないよう慎重に歩いた。
「あ、あの連夜ちゃん、此処は何てお山?」
「オオカミババの山でち」
「オオカミババの山‥‥」
狼が居るからオオカミババの山なのかな?でも村の近くにあるあの山に狼が居るなんて聞いた事はない。
雪乃が思っていると連夜は立ち止まりすんすんと鼻を鳴らした。
「こっちでち」
「え?!」
連夜は言うとその場で飛びくるんと回転するとぼん、と煙と共に雪乃と同じ背丈に大きくなった。
驚く雪乃を構わず抱き上げ、ぴょんと大きな岩に飛び乗り、もう一度飛び岩の先にあった地面に降りると雪乃を下ろし元の大きさに戻った。
「連夜ちゃん凄い!大きくなれるの?!それに凄く力持ちなのね!吃驚した!凄い!」
「むふーっ、雪乃は重くないでち、軽いでち」
「狸さんって皆力持ちなの?」
「じじ様はもっと凄いでち!春時は弱くて駄目でち」
「‥‥春時ちゃんも狸さん?連夜ちゃんの弟?」
「違うでち!じじ様はわちだけのじじ様でち!!」
連夜は怒ったように地面をたしたし手で叩き言い、雪乃は慌てて頭を整理した。
「‥‥連夜ちゃんはじじ様と2人‥‥なの?」
「そうでち!」
「お父さんやお母さんは?」
「居ないでち」
「‥‥どうして?」
「知らないでち。わちはずっとじじ様一緒でち」
「寂しくない?」
「?」
連夜はわからない、といった風に首を傾げた。
「‥‥お父さんと、お母さんが居なくて寂しくない?」
「寂しくないでち。じじ様居るでち」
「‥‥私はお父さん居なくなって寂しい‥。お母さんも病気になって治らなくて‥‥。お母さんが‥‥このまま治らなかったらどうしよう‥‥」
「かか様死ぬでち?」
連夜の言葉に雪乃はずっと隠していた不安が溢れて止まらなくなり、堰を切ったように泣き出してしまった。
「うわーん!お母さん死なないで‥‥!死んじゃ嫌だぁーっ!連夜ちゃんのばかぁ‥‥!意地悪、どうしてそんな事言うの?!」
「わちはバカじゃないでち!」
「だって‥‥、じゃあ連夜ちゃんはじじ様が死ぬって言われても悲しくないの?!怒らないの?!」
「じ、じじ様死なないでち!じじ様強いでち!わちとじじ様ずっと一緒でち、死なないでち!」
「お母さんも死なないもん‥‥!一緒に居るんだもん‥‥」
連夜はハッとし自分の言葉のせいで雪乃が泣き出したのを理解し哀しい気持ちになった。
「‥‥かか様元気するでち。わちとじじ様ずっと一緒でち。雪乃とかか様一緒でち」
「うん、ぐすっ‥、」
「かか様元気するでち」
「うん」
「雪乃も元気になるでち。じじ様のお握り美味しいでち。食べるでち」
連夜は背負子の風呂敷から竹の皮の包みを1つ取り出し雪乃に差し出した。
「あ、ありがとう‥‥」
「ごめんなさいでち」
「私も、バカって言ってごめんなさい‥‥。連夜ちゃんは私の為に一緒に来てくれたのに、ごめんなさい」
雪乃は手で涙を拭いながら言うと無理に笑い連夜は泣き止んだ雪乃にほっとした。
木の影に2人は並んで座り、竹の皮の包みを開けると白菜の漬物にくるまれた大きな俵型のおにぎりが2つと玉子焼きが2切れ、その横に桃色の花の形の蓮根が3つ入っていた。
「わぁ‥‥!」
「食べるでち!」
雪乃が玉子焼きに目が奪われていると連夜に即され、手を合わせた。
「いただきます」
「じじ様いただきますでち!」
朝から何も食べずお腹が空いていた雪乃はおにぎりを1つ掴み頬張ると、中は炊き込みご飯のおにぎりで、きのこや木の実が沢山入っていた。
「お、美味しい‥‥!」
「じじ様のおにぎり美味しいでち!元気出るでち!」
「‥‥本当に美味しい‥!」
一口食べると身体に滋養が染み込むようで、早く次の一口を食べたくなる。
「いつもは三角のでっかいおにぎりでち!」
雪乃は美味しくてがっつきそうになるのを抑えるようにゆっくり噛み締めるように食べる。
「それにこの蓮根綺麗‥、桃色の蓮根なんて初めて見た」
「わちとじじ様が漬けた梅干しの梅酢漬けでち。美味しいでち!」
「‥‥梅干し‥‥昔お母さんも作ってた‥‥」
おにぎりに巻かれた白菜の薄緑に黄色の卵焼き、桃色の蓮根の彩りが優しくとても美味しそうに並んでいて目が奪われる。
連夜ちゃんのお祖父様だから普通の人じゃないのだろう‥このおにぎり‥‥お母さんに食べさせたら元気になるかもしれない。
何よりも玉子焼き______
雪乃は美味しそうな玉子焼きを見つめ、食べたい気持ちに蓋をする様に竹の包みで覆った。
「食べないでち?」
「う、うん、お腹そんなに空いてないから後で食べる」
連夜はジト目で雪乃を見つめた。
「嘘でち。はっ?!じじ様のおにぎり美味しくないでち?!」
連夜は酷くショックを受けた顔で言い、雪乃は慌てて否定した。
「違うのっ!とっても美味しいわ!本当よ!‥‥本当に美味しくて‥‥だから‥‥お母さんに食べさせたくて‥‥」
「じじ様雪乃にくれたでち。雪乃食べるでち。かか様のは持って帰るでち」
「え?!‥‥お母さんの分も‥貰えるの‥?」
「じじ様くれるでち。だから食べるでち」
「あ、ありがとう‥‥!ありがとう‥!」
雪乃は泣き出し連夜はまた自分のせいかと少し慌てた。
「泣いたら駄目でち、じじ様お願いするでち、じじ様優しいでち!」
「ごめんなさ‥‥、う、嬉しいの‥!嬉しいの‥‥!お母さん元気になるかもしれない‥ありがとう‥!」
「かか様ずっと熱いでち?」
「えっと‥、熱があるかって事?」
連夜はそうでち、と頷き雪乃は少し俯いた。
「うん‥、最初は風邪をひいたの。その時みたいな高い熱は出ないけど、良くなったと思って少し起きたらまた直ぐに熱が出て‥‥起きれなくなっちゃったの‥‥ご飯も、どんどん食べれなくなって‥」
「食べないと駄目でち。雪乃食べるでち!」
連夜に言われ雪乃は頷くと玉子焼きを食べた。
玉子焼きはほんのり甘くて懐かしい優しい味がし、雪乃はまた涙が出そうになり懸命に堪えながら飲み込んだ。
2人が食べ終え、立ち上がり背負子を背負うと『オオーン』と何処からか鳴き声が響いた。
「オオカミババ早く来いと言ってるでち」
「今のが?」
「行くでち」
「う、うん‥‥!」
連夜の少し後ろを歩きながら雪乃は頭の中で初めまして、狼様、雪乃と申します、ううん、主様だって言ってたから主様の方が良いのかな。桃を頂けるようにちゃんと挨拶してお願いしなきゃ____。
雪乃は失礼にならないよう頭の中で挨拶を繰り返した。
山の中では時々獣達を見かけたが、連夜と居るせいか雪乃を気にしていなかった。猪ですらちら、と見ただけで襲ってくるでもなく水を飲み続け、終わるとのしのしと歩いて行った。
「着いたでち」
綺麗な池のある奥深い大きな木の下に真っ白な大きな狼が佇んでいた。
池は蓮の花が咲いてとても澄んでおり、水底に泥が沈んでいるのが見える程だ。
とても綺麗な池はオオカミの姿をきらきらと鏡のように水面に映し、余りにも幻想的な風景に雪乃は言葉を失った。
牛よりも大きな狼は雪乃を軽く一飲みに出来そうだが、ふわふわとした毛並みがとても綺麗で雪乃は只々見惚れてしまう。
狼は鋼色の綺麗な瞳で雪乃達を見、雪乃は夜一の言葉を思い出し我に返ると慌ててその場に土下座をし頭を下げた。
「は、初めまして雪乃と申します。狼様お願い致します。病気の母の為に桃を一つだけわけて下さい‥‥!」
雪乃は地面に頭を付けるほど下げお願いした。
「わちも欲しいでち。じじ様からでち」
連夜は言うと腹掛のかくしから木の葉を一枚取り出し、オオカミの前に置くとぼん、と煙と共に大きな大きな通い徳利に変わった。
オオカミは片手で徳利を抑え、牙で栓を抜くとくんくんと匂いをかいだ。
「‥‥夜一め、嫌なヤツだ。何も言わず彼奴が酒を寄越しているのに、これで断ったら我が随分狭量であるようじゃないか。なぁ、連夜」
「じじ様嫌なヤツじゃないでち!」
訂正しろ、と言わんばかりに連夜は地面をたしたしと叩きオオカミはふ、と笑った。
「お前は相変わらずじゃな。薬を作るのか?」
「そうでち!桃仁も使うでち」
頭を下げどきどきしながらオオカミの言葉を聴いていた雪乃は思わず顔を上げ声を出しそうになるのを必死で堪えた。
薬を作る?今確かにそう言った。
「良いだろう、今日の我は機嫌が良い。連夜、桃の場所はわかっているな。なっているだけ持って行って良いぞ。そこな娘にも渡してやれ」
「ありがとでち!」
「あ、ありがとうございます‥!」
「忘れてたでち。オオカミババ食べるでち」
連夜はゴソゴソとかくしに手を突っ込みもう一枚木の葉を取り出すと、焼いた大きな魚を真ん中に、周りを焼いた野菜やキノコや木の実で綺麗に盛り付けたつまみを出した。
「‥‥連夜のつまみは美味くて困る‥‥お前達に餌付けされてる気分だ」
オオカミは一人小さく呟いた。
「どしたでち?嫌いなのあったでち?」
オオカミが顔を顰めたので連夜は慌てて聞いた。
「我の好物ばかりだよ、日が暮れるから早く行け」
「行くでち。バイバイでち!」
「あ、ありがとうございました!」
雪乃は立ち上がるともう一度頭を下げ御礼を言った。
「こっちでち」
「う、うん____」
連夜に即されて雪乃は自分にまるで興味が無さそうに佇んでいるオオカミにもう一度頭を下げると連夜の後をついて歩きだした。