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バラかヒガンバナか  作者: Rouge
5/7

4 仕掛けられたモノ

「すみません、カバンその辺に置いといてください」



「わかりました」



紫苑が一人暮らしをしているアパートにつき

緋花にリュックを持って入ってもらった



「すみません、こんなところまでお茶でも淹れましょうか?」



「いえ!紫苑さんは休んでください!」



「いや、だいぶ楽になったので・・・」



「ダメです!」



「いや、本当に大丈夫・・」



「あんなに顔真っ青にしておいて大丈夫なわけありません!

 寝てください、寝るまで帰りません」



「えぇ・・・」 




緋花は思っていた100倍は押しが強かった。

絶対に帰らないと言う意志の強い顔をしていて

こりゃ寝なきゃダメだな。と紫苑は心の中で思った



「分かりました・・。じゃあ寝させてもらいます」



「はい!寝てください」



ソファに寝転がり目を閉じる

眠たいわけではないので中々眠れない



(寝たフリしとこ)



寝たフリをしてやり過ごそうとしばらく目を閉じたまま

息を吸って吐いての繰り返しだった。



だが、




(なんか、全然帰らないんだけど!?)



緋花はその場で座ったまま、動こうとしなかった。

目が見えないと他の五感が鋭くなるのと同じなのか

気配が伝わってきた



「紫苑さん、寝てないですね?」



(やべ、バレた)



「すみません、寝れなくて」



怖くて見れない紫苑は目を閉じたまま答えた



(おこっ・・てる?)



しばらく黙って、目を閉じていると

はぁとため息が聞こえた。



(やばい、怒ってるかも)



怒られるかも、と心臓をバクバクさせていると

お腹の辺りにポンも何かが乗ってきた



(え?何?)



怒られると思っていたのに、何かが優しく乗ってきたのに

困惑してしばらく、頭の中がポカンとしていた


一定のリズムで叩かれているのを見ると、手のようだ。

小さい子を寝かしつけるように優しくトントンとしてくる

それが心地よかったのだろう

紫苑はだんだんと意識が薄れ、眠ってしまった。
















「寝たかな?おーい紫苑さーん」



紫苑がスースーと寝息を立て始めた頃、緋花は紫苑が寝たかどうか確認していた。



「寝た・・寝顔は可愛いな〜!いつもはかっこいいのに

 これがギャップっていうのかな?」



幸せそうに紫苑の寝顔を見つめ、ふふふと笑い始めた



「あ、写真撮っとかなきゃ。」



スマホをポケットから取り出し、音が出ないカメラアプリを使って写真を撮った。



「ふふ、可愛い〜待ち受けとかにはできないから

 家のパソコンに映しとかなきゃ」



彼女のスマホのカメラロールには紫苑の盗撮写真であろうものが100枚以上入っていた。


まだ、出会って数日だというのに



「あ、そうだ。置くもの置いとかなきゃ」



何かを思い出したかのように、自身のカバンの中から

ポーチを取り出し、その中から暗くて小さい物体を取り出した。



「これは、ここに貼り付けて

 これは、あの上とあそこに」



一つは、机の裏に

一つはエアコンの上に

一つは紫苑のベッドの向かいにある、棚に


次々と取り付けていく

その間、紫苑が起きることはなく緋花はサクサクと

作業を進めていた



「よし、こんなものかな。あんまりつけちゃうと

 バレちゃうし、紫苑くん感鋭いから」



盗撮している時も、音が出るカメラを使ったのは事故だが

見ているという気配にまで気づくとは思わなかった

と、緋花は心の中で笑いながら思っていた



(そんなところも好きだけど)



「そろそろ、かーえろ。またね紫苑くん」



カバンを持って、外に出た。

彼女の顔はこれまでにないほど嬉しそうだった

















彼女が帰ってから30分が経った後

紫苑の目が覚めた



「?今何時だ?14時・・・」



辺りを見回すと緋花の鞄がなかったので

ああ帰ったのかと理解した。



「よく寝たな、後で拓海に講義の内容聞いとかないとな」



スマホを掴んで、メッセージ画面を開く

拓海の連絡先を見つけ、メールを送る



(講義の内容教えろ)




(オケ!なんか奢れよ!) 




(ハーゲン)



(苺な!)



いつもと変わらない、拓海の返事にフハッと笑いを

漏らした。



「ハーゲン、買いに行くか」



立ち上がり、財布を持って家を出ようとした。



(なんか、誰かに見られてる感覚があるんだけど

 前までこんなことなかったよな?)






(やばくね?これ?)




動揺を隠すように、わざと足音を大きく立てて

急いで外に出た。




「気づかれちゃったかな?」



その頃、黒を基調としたシックな部屋の中では

椅子に座りテレビを見ている女がいた。


そのテレビに映っているのは紫苑

そして彼女がしているイヤホンから流れるのは

紫苑の声、足音、布の擦れる音、ドアの開閉音



「やっぱり紫苑くん,感鋭いな〜困っちゃう

 まぁ、探そうとしないのは悪いことだけどね」



彼女は椅子から立ち上がり、壁に手を当てた


その壁には紫苑の写真が数十枚、いや数百枚は

貼られていた。



「いつか、この部屋を紫苑くんの写真でいっぱいにしたい

 そして、紫苑くんもここに招待したい。」



壁にもたれながらうっとりとした表情を浮かべる




「私、がんばるね。紫苑くんといつかここで暮らすために

 ひと時も離れなくてもいいように働かなくていいくらい

 お金を貯めて、一緒にずっと暮らそうね」



彼女・・・緋花理子と書かれた通帳には

4000万ものお金が入っていた。



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