なろうにおいて「乙女ゲームでよくある」とは
乙女ゲームでよくいる悪役令嬢に転生して──。
乙女ゲームの令嬢に転生して、よくある婚約破棄をされ──。
主人公を執拗にいじめる悪役令嬢やバカ王子がでてきて、選択肢次第で没落や処刑になる。
さも既存の乙女ゲームではよくある、ファンなら誰もが知るあるあるネタ、みたいな描き方をされているけど、本当にそんなシナリオのゲームがあるのかね?
とふと疑問に思った。
乙女ゲームについては、にわかなんだけど、かれこれ30年以上テレビゲームやってる。
実際にプレイしたことはないけど、有名タイトルの情報はそれなりに目に入るし、プレイ動画も見たことある。
女性声優より男性声優のほうが好きな人なので。
親族に一時期、乙女ゲームにはまってグッズ購入やイベント参加に結構熱を入れてた人がいるのだけど。
女性キャラは出てきてもそこまで徹底的に敵対したり、相手を破滅、処刑に追い込むエンドなんて知らないし、登場人物の王子を死に追いやる展開も知らないと。
歴史をモチーフにしたものなら史実に倣ってキャラが死んだりするシビアな話もあるらしいけど、婚約破棄されたから他のキャラと一緒に追い落とすような話は知らないと。
そもそも王子とイチャイチャするためのゲームなのに、どうして処刑するとか殺すって発想に行くの。
だそうです。
その人もすべてのゲームを熟知しているわけではないだろうから、どこかにそういう展開をメインにしたゲームもあるのかもしれない。
だからまあ絶対にないとは言いきれない。
ファンタジー系の戦略シミュレーションとかだと、選択肢次第で敗軍の将や貴族を処刑なんて話はわりとあるけど。
女主人公をいじめるキャラ、というルーツを辿っていくと、多分昔の漫画やアニメに出てくる、見るからに意地悪な金持ちキャラに行き着くと思う。
とにかく性格が悪くて、不遇な主人公をいじめることだけに設定されたキャラ。
腰巾着の取り巻きを2人くらい連れててね。
乙女ゲームではまず見ない、と言われるが、なろうの中では、乙女ゲームによく出てくる、という認識。
この辺のギャップは悪役令嬢というネーミングと概念を一大ムーブメントにした作品の影響が大きいと思う。
いや、悪いという意味ではなくて。
そこから悪役令嬢が1ジャンルにまで急成長して、多くの人が実物を見たことがないのに、
「乙女ゲームにはそういう役割のキャラがよくいる」
という認識が暗黙の中で広がった。
のだと思う。
よくいるのなら、すぐに具体的なタイトルやキャラ名が出てきてもおかしくないのだけど、それもあまり見かけたことがない。
バカ王子の婚約破棄に至っては、勝手な憶測だけど、
「浮気したモラハラ夫と相手の性悪女を法的にボコって社会的に抹殺して、慰謝料もふんだくってやった。離婚して今は新しいイケメン夫と幸せです」
みたいなネットや女性向け漫画でよく見かけるエピソードに、貴族やロマンスといったきらびやかな外装をつけただけで、乙女ゲームとはあまり関係がないような。
そういう展開が乙女ゲームにもあるんでしょうか。
なぜなら乙女ゲームの公爵令嬢に転生する話だと、みんなこんな顛末を迎えているような気がするから。
んでスパダリと一緒にボコってめでたしめでたし。
乙女ゲームでまったく、あるいはほとんど観測されていない「主人公をいじめぬく悪役令嬢、のちに没落や処刑」「婚約破棄するバカ王子、同じくのちに廃嫡・追放・処刑」という展開。
これらを「乙女ゲームには当然あって然るべきもの」という共通認識を植え付けた時点で、なろうで広く使われる「乙女ゲーム」というキーワードやタグは、「なろう読者の意識の中だけに存在し、設定を共有されている架空の乙女ゲームを意味する」と捉えていいわけですよね。
分かりやすい悪役令嬢なんて、世界名作劇場くらいでしか見たことがないな。
キャンディキャンディに元祖がいるらしいが。
ここまで書いておいてなんだけど、こんな話題、誰かがとっくにやってそうだなー。
「オメーがものを知らねえだけで、乙女ゲーには悪役令嬢とバカ王子がうじゃうじゃ出てくるんだよ、このアホがー!」
という人は☆1だけ入れてみてください。
参考になります。
※いただいた感想から「主人公がいた世界にある乙女ゲームでは悪役令嬢もバカ王子もよくある展開」ということで、腑に落ちました。