第十九話「繋がらない昨日と明日」
十九話、途中までですが上げて置きます。
いずれ続きを書きますので、何卒ご容赦を
お姉ちゃん
お腹が空いたね
もう
わたしたち
三日もお水しか飲んでない
街に行けば
お仕事があって
お姉ちゃんと
わたしが
お腹一杯食べられるって
そう
思っていたのに
浮浪児って言うのかな
わたしたち
誰からも見向きもされない
まるで
汚い物を避けるように
リーンカーネーション 輪廻の扉
第十九話「繋がらない昨日と明日」
「お姉ちゃん、リーザスの人たちってズルいよね」
妹は今日も、いつもと全く同じ文言で……人々を。
大通りを行き交う人の流れに、嫌悪感フルパワーな表情で睨みつけている。
「はいはい、そうだな」
僕はそんな、妹のヒルデの話をいつものように聞き流している。耳にタコだ。
「お姉ちゃんもそう思うよね。てか、ヒルデの話、聞いてる?!」
ヒルデの栗色の巻き毛と栗色の瞳が、僕を力強く非難する。いえ、聞いてません。
「で、お姉ちゃん。いつ彼奴らをやっちゃうの?!」
背丈も百糎そこそこのチビ助のクセに、めちゃめちゃ好戦的な我が実妹。火力の強い豆タンクだ(笑)。
「あ、またヒルデのこと、チビだと思って見てたでしょ。お姉ちゃんだって、世間的には立派にチビ公なんだかんね!!」
さっき、仕事を断ってくれた魔導具店のオヤジが(ヒルデに)言った言い方そのままで、僕に噛みついて来る。
「チビ公はヒルデだけだよ」
「言ったなぁあ!カテリーナお姉ちゃんだって、こんなに、こんなにもチビチビ公だよぉおお」
ガスガスと、悦に入ったように、道端の豆科の雑草を踏みつけ続ける妹。
僕はなるべくふんわりと、そんなヒルデを背中から抱き留める事に成功した。
…………
「出場者を探して来いって言われてもな……」
マイは困り果てていた。
竹馬の友であるアレイシアからの依頼であったが、所謂「強者」たちは大抵が忙しい。
リーザス王国を守護している、通称「四方守護職」の将軍の内、西方守護職のキィ・シュテラーダ女史に何とか面会出来た彼女であったが、決裁書類に押し潰されそうになっている、もう一人のリーザスの幼馴染の姿を見て、とても大会に出てくれとは頼めなかった。
「スマンなマイ。見ての通りだ……さっき久しぶりに一時間眠れたよ、はは」
武闘会の開催期間中は、様々な国から多くの人がリーザス王国に訪れる。特に西方守護職の管轄は、スラム化した地域も含まれており、治安が良い場所とは決して言えない。
司法権も有している「守護」の実務は多岐に亘る。
ここ最近、犯罪者たちに振り回されまくりだと「にはは」と乾いた笑いを浮かべる。
「腕の良い文官に伝手があれば是非に、な?マイマイよ……」
手を合わされ、逆に仕事を依頼されてしまうマイ。
結構、押しに弱い大女だ(笑)。
「一度、出直してくるか」
文武両道である、簡単に言えば「何でも簡単に出来てしまう」マイは、国許の武官たちに余り良く思われておらず、他国の武闘会で補欠選手をやってくれよ等と言おうものなら、言わずもがな、彼らとの関係は悪くなるだろう。
「正直参ったね」
マイがリディア聖国から預かっている、魔導騎士団(通称第二大隊)のほとんどは、北方のメリア皇国との国境に駐留しており、彼らの助力も期待出来ない。
「(仕方がない…………)」
アレイシアに言われた通り、辺境の蛮地まで足を運ぶかと決めたマイは、ならば腹ごしらえに掛ろうと、王国の目抜き通りであるリーザス大通りに向けて歩き始めた。
…………
おお天馬よ
その翼が燃え尽きるまで
空を舞い
愛しい君の為にと
文を届ける
聖女の住む
あの美しい丘の向こうに
どうか僕の愛を
届けておくれ
全ての想いが
そこに記してあるから
…………
カテリーナが歌い奏で
ヒルデが歌に合わせて舞い踊る
メリア皇国の楽隊に居ました等と、ちょっと調べれば嘘と分かる来歴の二人組が、リーザス大通りの道端で「物乞い」をしている。
鈴の音のように美しく通るカテリーナの声と、軽業を得意としているヒルデの舞踊は見るものがある。
然しながら、面白いくらいに、人は足を止めない。
如何にリーザス王国が尚武の新興国であっても、余りに不可思議な様子であった。
スズカの持ち物であるサーペント・ウィップは、本来であればカテリーナの所持品でしたが……
干してあった、カテリーナのお気に入りの下着と共に、何者かに盗まれてしまったそうです




