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リーンカーネーション 輪廻の扉  作者: あさのてんきち


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18/32

傷の歌

出勤前に一個出来たので、出して行きます

星と星の想いを束ねて飛ぶ

空の海原うみゆく星船ふねたちの様に

偶然に

分かり合えた私たち


幾億もの航路みちの中から選ばれ着いた

本当のパートナー


恋なんて

ありふれた記号式ナンバーでは

二人の気持ちを表せないよね


希望

どこまでも続く

時間の羅列れつ


永遠

手を繋いだまま

歩いて行く


そうさ

いつまでも

いつまでも

いつまでも

それが私たちの生きるステイトメント


☆☆☆☆☆

永遠宣言 (エタナール・ステイトメント)

作詞 あさのてんきち

歌  神埼舞

…………


リーンカーネーション 輪廻の扉

「傷の歌」



「今日もお疲れさん、舞」

 マネージャーのカナコが、ステージスタッフの代わりに、冷たく冷やしたタオルを持って来てくれた。


「ありがとう」

 汗で、身体に貼り付く舞台衣装を文字通り「ペリペリ」と剥がしながら、空いていた左手でタオルを受け取った。


 私たちは、今日も街外れの小さなコンサート・ステージで、オリジナルの楽曲を何曲かと、それと流行り曲のカバーを何曲か、披露することが出来た。


「…………」

 客席は空席が目立つようになった。

 前回のステージでは、もう少し多くの人に聴いてもらえたのに……


「仕方ないよ」

 ベースを担当しているりく君が、私の代わりに口を開いてくれた。


──次はもしかすると

 嫌な気持ちになる。

 ううん、でも、今日のコンサートはとっても良かった。

 みんな最初から飛ばして行ったから!!

(汗でベトベト・笑)


「考えたって意味ないよね」


 そう、私たちは、旅をしている

 星々の海を泳いで進む

 まるで歌の続きのような……


──次の星間跳躍ジャンプまで、いったい何人が「起きていて」、私たちに会いに来てくれるのか──


 考えたって意味はない

 きっと……



「ふふ、舞、それにしても」

 さっきから、隅でクスクスと笑っている、ドラム担当のスーが、私の脱ぎ捨てた衣装を指差して笑う。


「舞の親父さん、絶対やばいよ!!」

「ううう、お父さんのエッチ……」


 今回もステージ衣装は、父がデザインしてくれたものだった。

 私の……

 言いたくないんだけど、他人よりも少しだけ大きい胸と、

 お尻と、太腿を……

 これでもかと強調する。

 衣装が楽しみでコンサートに来てくれるファンもいるそうです。私は知らないけど。


…………


「お帰りマイ」

 会場の駐輪場に停めてあるオートバイ。

「今日もノリノリだったな、じいちゃん、ハッスルしちゃった」

 正確には、バイクではなく「レグルス」と呼ばれている乗り物。

 説明が面倒なので、お空も飛べちゃうオートバイ。こんな所で許してね。


「聴いてくれてたんだね」

「当たり前じゃ!!」

 そのレグルスだけど、人工知能が付属でついてます。(正直 、うざいから、あんまり要らないんだけどね)


「学校、フケちゃおうかな」

「今日は婆さんの講義じゃったか?」


 夜学に通う身の上、朝から通しって言うのは割と日常なんだけど、気乗りがしない日が結構あったりする。


……特に、今日は特別授業。

 亡き祖母の亡霊とでも言うべき映像を眺める。

再生リペア理論」の時間が待っている。


…………


「痛い! 痛い!! 助けて! 許して、痛いの!! 痛ぁああい!!」


 患者の映像と悲鳴。


 人の「切断面」に食い込むように入り込む「肉の芽」。


「ぎゃああああああああ!!!」


 欠損した脚を再生させる為に、人工的に培養された「脚のような物」が、癒着した皮膚細胞をめくり上げ、繋がっていく恐ろしい様子を見せられている。


──世間は狭い

 まして、舞が住んでいる場所。移民船プロメテウス内で、未だに凍結睡眠コールドスリープを選ばずに起きている学生たちは、思うほど多く残ってはいない。


──ヒソヒソ話が聞こえる。

 耳を澄まさずにも聞こえる。


「舞さん、可哀想」って……



 神埼教授がリーダーとなって推進した「再生計画」は、元は今、レグルスの主電脳になっている神埼巌氏ではなく、神埼夫人である神埼菜々香氏が提唱した生物理論が始まりである。

 

 即ちそれは

 古くなった部位を切り落とし、培養した「新しい部位」を繋ぎ合わせると言う再生療法。

 後に、魂の研究が進み、疑似身体にまで人格をインストールする事が出来る前までの、過渡期の技術。

 それが目の前の映像。


「…………」

 舞の母は所謂、娼婦であった。

 父が、美しい母を見初めて、通ううちに「デキて」しまったのが自分。


──生まれつき、身体が不自由であった

 長い娼婦生活で、文字通り「荒れ果てた畑」から生まれた私は、どこもかしこも正常ではあり得なかった。


 でも、それでも……

 舞は、自分を産んでくれた母を恨んだ事は、たった一回もなかった。

 父は、母を変わらず愛していたし、同じように自分にも変わらぬ愛を注いでいた。


──家族で宇宙に上がろう

 父の突如の提案は、私たち母子を驚かせた。

 大丈夫、親父もお袋も一緒だから!

 得意そうに、自分の事でもないのに自慢する父。


 おじいちゃんは宇宙船技師、おばあちゃんは医科大学の偉い先生 


 だから心配はないんだって

 父は私たちを腕に抱いて、そう言った


……………


さよならお星様

私たちの母なるお星様


私たちはきっと

貴女の姉妹に会いに行きます


だから見送って下さい

どうか見守っていて下さい


必ず私たちは

会いに行きます


……………


「マイっち、いつまで寝てんのさ」

 赤いヒールで、何度も頭をガシガシされました。

 もうちょっと、気の利いた起こし方はないものかね。


…………


「やれやれ、因果は未だオレを赦さないのか」

 大女は、ゆっくりと立ち上がった。


 クビをコキコキ鳴らして、腕を回す。

 拳士サーシアに折られた骨も、傷つけられた傷口も綺麗さっぱりに再生されている。



「時間は止めてあるからね」

「ああ、わりーないつもよ」


 グーグーを合わせる。

 二メートルに届く巨女と合法幼女。

 もう、すげー身長差。


──てかさ、マイ、簡単に他人ひとに負けないでね、アイちゃんと約束だよ

──ははは、しゃーねーな


 大女とちびっ子(笑)は、時間の停止した空間をまるで何事もなく、そそくさと退場して行った……


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