恩返しがしたい(3)
セアサーラちゃんが泣き止んで、少し経った。
「私、決めました。セアサーラさんのお姉さんに、会いましょう!」
力強くそう言う。セアサーラちゃんとナオヤ君は、呆然とした様子だ。
ホムラはと言うと、そうなるよな、とも言いたげな感じで頷いていた。さすがホムラ。私のことがわかっている。
「で、でも、どうやって」
「透明になって入り込むんです! セアサーラさんが考えた案じゃないですか」
「……いや、それは難しいかもしれない」
案を否定したのはナオヤ君。私は首を傾げてその真意を聞く。
「どうしてです?」
「教会の聖女様には、剣神様が護衛として付いている場合が多い。剣神様は、恐らく透明化したとしても気がつくだろう」
剣神、とな? ナオヤ君は私がはてなマークを浮かべていることに気がついたのか、説明してくれた。
「剣神様は、固有スキル『剣神』を持った、世界でもトップを争う強さの騎士様だ。凄くかっこよくて、素晴らしい方なんだ!」
ナオヤ君は、目を輝かせながら話す。もしかして彼、騎士が好きなのかな?
それにしても話を聞く限り、剣神は相手にしない方が良い人だな。戦っても絶対負けるじゃん。
「んー、だったら透明になって侵入はやめておいた方がいいですか……」
「あの! レイカ様、どうして……?」
セアサーラちゃんは目をさ迷わせながら私に聞いてきた。
そんなの、当たり前じゃん。
「貴女をお姉さんに会わせてあげたいからですよ。これは、恩人ということは関係ありません。……多少はありますが。私が話を聞いて、そう思ったんです」
セアサーラちゃんの顔をしっかりと見て、はっきりと答える。
「実は、私も親がいなかったんです。孤児を保護してくれていた大人達の元で育ち、血が繋がった家族は、妹と弟の2人でした。2人がいてくれたからこそ、私は生きようと思えたのです。家族って、心の宿り木なのですよ」
家族のことを思い出しながら、私は思いを伝える。
3人とも、私が辛い過去を持っていると思っていなかったのか、驚いたようだった。
気づかれないように明るく振舞っているんだけどね。気づかれていないのは私の思い通りだから。
「私に、セアサーラさんを助けさせてください」
真摯を込めて強く言うと、セアサーラちゃんは私の目を見て、はっきりと言った。
「お願いします。わたくしを、助けてください」
そして、2人でにっこりと微笑む。
「……俺もさ、付き合わせてくれない?」
呟いたのはナオヤ君。目をふせながら、小さな声で言う。
「君達の話を聞いて、俺、何もしないなんてこと出来ない。助けようとしても、強くないから力にならないかもしれないけど……」
私とセアサーラちゃんは顔を合わせる。そして、同時に頷いた。
「勿論! 力強いですよ」
「それに、セアサーラのように俺も心が強くありたい。俺はさ、騎士になりたいんだ。でも、騎士に掛け合っても無視されるだけで、諦めかけていた。けど、諦めるなんでダメだ。俺は騎士になりたい!」
ナオヤ君は、手で胸を叩いて、抱負を述べる。私は、力強く頷く。
「よし! じゃあ騎士になろう! 私も手伝います!」
「……僕は、レイカがしたいことは全部してあげたいし、レイカを助けてくれた君達にも、何かしてあげたい。だから、力になることは何でもするよ」
ホムラの言葉に、みんなが笑顔になった。




