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はぐれ精霊(3)


場所を移動しさっきまで少年――ホムラ君が座っていた木に来た。


『アマムラに神力をやってもいいぞ?』

『マジですか! ん? アマムラ?』

『お前の名では無いか』


ははあ。さてはこの世界での名前って、ファーストネーム・ファミリーネームになるのかな? そしてカタカナかな?


『ごめんね、間違えた。この世界ではレイカ・アマムラだ』

『じゃあレイカか。で、どうなんだ?』

『欲しいです! とりあえず今は実体化したくてたまらないんで!』


ホムラ君は首を傾げる。


『どうして実体化したいんだ?』

『んんっと、それはね……。世界を旅したいんだ!』

『旅?』


ホムラ君はまた首を傾げる。


『旅なら霊体でもできるではないか』

『でも霊体だったらご飯食べれないじゃん? 触れないし。ご飯を食べれないand何にも触れない旅なんて旅じゃない!』

『そ、そうなのか』


ホムラ君。異常者を見るような目で見ないでくれたまえ。悲しくなるぞ。

話をそらせ。そうだ、気になることが。


『どうしてホムラ君はこの木の下に座っていたの?』


そう尋ねると、ホムラ君は少し悲しそうな顔を見せた。

やっちまったか!? 聞いちゃいけないことだった? 不躾だった?

冷や汗ダラダラな私。


『……僕ははぐれ精霊なんだ』


ホムラ君はボソリと呟いて、木の下に座った。木を慈しむように撫でている。


『はぐれ精霊?』

『精霊界からはみ出した精霊の事だ。僕は小さな頃に精霊界からはみ出てしまって、ずっとこの木から神力を受けっていたんだ。だからこの木は僕にとっての宿り木だよ』


ホムラ君はか弱く微笑んだ。その笑顔が悲しげで、でもその事実を受け止めているようにも見えた。

改めて木を見上げると、風に煽られサラサラと優雅に揺れている。


『精霊界には戻れないの?』

『無理だ。はぐれ精霊は精霊にとっていわば汚点になる。戻ろうとしても相手にされやしない』


汚点? なにそれ。ホムラ君は急に一人になっちゃって、悲しくて苦しくてたまらなかったと思うのに。普通同じ種族どうしで協力するものじゃないの?

私は他の精霊に対して少し怒りを覚えた。そんな私の怒りを見透かしたのか、ホムラ君は目を細める。


『精霊に攻撃しちゃダメだからね』


釘を刺された。攻撃しないよ。少なくとも今は。喧嘩を売るなら力をつけてからだ。

口には出さないけど。


『ホムラ君はこれから何をするの?』

『このままここで過ごすつもり。やることも無いしね……』


えっ。ずっとこのままってこと!?

そんなの勿体ない。せっかく生きているなら楽しいことしないとね!

と、いうことでホムラ君に一つ提案。


『ねえホムラ君。私と一緒に旅をしない?』

『えっ』


ホムラ君、フリーズ。

私は彼に微笑みかけた。


『世界は広いんだよ。私、幽霊になって実感したの。こんなに広い世界、楽しまないなんて勿体ないよ! でも一人旅ってちょっと寂しいじゃん。ホムラ君がいてくれたら、それだけで嬉しいな』


ホムラ君は元々大きな目をもっと大きくしてまん丸にした。

ぱちぱちと、瞬きをする。


『僕がいたら、嬉しい?』

『うん。嬉しい』


すると、ホムラ君がお山座りをして、顔を隠してしまった。

どうしたんだろう。そっとしておいた方がいいのかな?

…………。

そのまま時間が経つ。

ホムラ君がゆっくり顔を上げて、腰を上げた。そして、私と向き合う。


『僕も、旅に連れて行ってくれる?』

『勿論! 私からお願いしたいくらい』

『……ありがとう、レイカ』


ホムラ君は顔を少し赤く染め、目を逸らしてボソリとそう呟いた。

あら可愛い。頭を撫でてあげたいわ。

すり抜けるから無理だけど。


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