3.
今回は説明回になります。
はるか古代、神が降り立ったとされる国、遥。
そんな国に攻め入ったのが皇后の生国、接である。
接は軍事的にも経済的にも周辺諸国で敵うものなく、一方で、遥は、ただ神が降り立ったと言う神話のみが残る小国であった。
誰もが接が勝つものと疑わなかった。しかし、結果として、長引いた戦争は遥の勝利に終わる。接は勝つどころか、自国の領土への侵攻を許すこととなった。
そして、和平条約の際、接は領土こそ奪われなかったものの、人質の差し出しを要求される。それが現在の遥の皇后陽朔である。
この大戦は両国ともに多くの犠牲者を出すこととなったため、遥の民が新たな皇后を歓迎していないのは当然ともいえた。
皇后は今回の戦争の犠牲者とも言うことができるが、誰もが近くにいる恨みやすいものを恨む傾向にあるのは、仕方ないとも言える。
ようは、皇后は接から人質としてだけでなく、自分たちがこれ以上恨まれることがないように、人身御供として差し出されたのである。
————また、記録として残っているわけではないので、真偽の程は不明であるが、接の王は陽朔が嫁ぐことに反対したと言われている。