2.
読んでいただきありがとうございます。
「では、御前失礼致します。」
細かな紋様の描かれた扉が閉まり、また1人になる。と、
「君は相変わらず寛大だね。」
突然目の前に簡素ながらも質の良い服を着た男が現れ、ため息を吐く。
「うるさいぞ。悠舜。見ていたのであればそちが気を利かせて茶でも持ってくると良い。」
「いや、それは私の仕事ではないからね。」
「ほう、つまりお主の仕事は私や侍女の生活を面白がりながら見つめること、というわけか。実に有意義なことだ。」
「なかでも、君にちょっかいをかけることが一番楽しい仕事かな。実に興味深いよ。」
人の生活をのぞいていたことに関して、反省の色はなさそうである。
「にしても、あの侍女を不敬で訴えなくても良いのかい?普通は主人、しかも、仮にも皇后に飲み物と言われたら、何が飲みたいかぐらい確認するだろう?」
「飲み物ごときで訴えていたらこの城から侍女がいなくなるであろう。しかも、お主も仮にもというておるではないか。言った通りのものが出されただけでもましであろう。」
もっとも、今度からはお茶が欲しい時はお茶が欲しいと言おうと心に誓ったが。
「なるほど、ここの侍女達は未だに追い出されない事を君に感謝すべきだね。まあ、君が良いのであれば、私が口を出すことでもないね。」
と言うと、音もなく消える。
一体何をしに来たのか疑問であるが、それは今に始まったことでもない。
(感謝すべき、か。私こそ未だに殺されていないことに感謝すべきなのかもしれないが。)
「にしても、普通、監視とは本人にバレずにやるものではないのか…?」