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誰そ彼  作者:
10/15

10.

今日から諸事情(書くスピードが遅くて間に合わなかったです。すみません)により、1話投稿になります。

早く終わると思ったお茶会は、存外長引くこととなった。



「失礼だとは思うのですけれど、お聞きしても?」



「申してみるが良い。」



「何故、皇后様は遥に嫁がれたのですか?噂によると、接の皇帝は、あなたが嫁ぐことを反対したとか。それほど愛されているのであれば、お父様に泣きついて嫁ぎたくないと言って仕舞えばよかったのでは?



遥では歓迎されず、良い扱いをされないことは分かっておられたでしょう?」




今までとは違い、随分と直接的に質問してくるものである。


それにしても、



(愛されている、か。はたから見ればやはりあの反応はそう見えたのであろうか。)




「…皇族や王族が贅沢に暮らしていられるのは、その責務をきちんと果たしているからだ。周りより贅沢に暮らしていける分、当然責務も重く、時に命すらも責務のために犠牲となる。



私も皇族として生まれた以上、拒否するという選択肢はなかった。」




例え、皇族としての権利を享受していなかったとしても、この思いは変わることはない。




その言葉を聞いて何を思ったのか、今までの笑みとは違い、本当に柔らかな笑みを浮かべた戀麗の姿が目に入った。




「そうですか。皇后様のお気持ち、よく理解いたしました。失礼な質問をしてしまいましたこと、謝罪いたします。」



そして、その場で頭を下げた。




皇后はギョッとした。侍女や護衛の目が非常に痛い。何より、今までこれほど誠意を尽くされたことはなかったからだ。




「いや、発言を許可したのは私だ。頭を上げて欲しい。」



「寛大な御心、感謝いたします。」



そうして頭を上げても、柔らかな表情は何も変わることがなかった。




そうして、始まりとは違い、和やかなままお茶会はお開きとなった。








————————————————————————-



部屋に戻ると、気が抜けたのか倚子(いし)に座り込んでしまう。自分が思っていたよりも、気を張っていたようである。




珍しく、侍女が室内までついて来た。



「今日は他にも仕事があったであろうか。」




侍女がついてくると言うことは何か用事があると思い、そう尋ねたのだが、侍女はなんとも言えなさそうな顔をしてから、




「皇后様は……。いえ、何でもございません。何か御用がありましたら、お呼びください。」



と言って、下がっていった。



何か言いたいことがあったのであろうか、とは思ったものの、そういえば、寇戀麗の頭を下げさせてしまったなと思い、余計な叱責を受けないためにも口をつぐんだ。



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