あるかな
発芽トレーの枠に、
土を入れて、
種を置いてゆく。
元気に芽を出せよと、
祈りながら六粒ずつ。
六粒ずつくらいが
ちょうどいいと、
何年か前に思った。
苗を育てるのに、
指先に馴染む数だから。
毎年育てている。
毎年収穫している。
小さな種一粒一粒から
わりと大きな
タマネギに出会える。
畑に直播きして、
間引くほうが楽は楽。
畑が広ければそれも
できるのだけれど、
里芋と薩摩芋がある。
十一月の終わりには
芋を収穫したい。
そして直ぐに耕して、
牛ふんを混ぜ込んで、
種からの苗を植える。
仕事の合間の畑作業は
どうしても遅れ遅れで、
毎年、半月は遅れる。
それでもそれなりに、
実るから楽しい。
置いた種の上に、
薄っすらと土を被せる。
それから霧吹きで、
優しく湿らせて、
新聞紙を乗せる。
新聞紙の上から
また霧吹きで湿らせる。
発芽するまで、
土が乾かないように。
楽しさが乾かないように。
仕事のとき以外、
しばらく誰とも話を
していない。
この季節、この種の話なら
してみたい。
タマネギの原産地は
中央アジアらしい。
原種が見つからないので、
原産地も未確定だとか。
原種を見てみたい。
あのアフガニスタンの
山岳地帯かもしれない。
それで、ときどき気になる。
誕生日の数字を足すと六の、
自分の原種もあるかなって。