第4罠 コッコの巣とゴールデンコッコ
異世界生活4日目。
昨夜コッコ料理を食べ過ぎたせいか、コッコに囲まれてぎゅうぎゅうになりながら頭を突っつかれる夢を見た。
「コケコーーーー……」
今朝の鳴き声はちょっと元気がない。仲間がたくさんいなくなったもんな、ほんとごめん。
コッコの鳴き声とは正反対に、朝から元気な2人が部屋に飛び込んでくる。
「ティムおはよー!!」
「おはよう、朝食出来てるわよ。昨日たくさん食べたから、今朝はあっさりめにパンとスープ」
レーラの気遣いがありがたい。ローストコッコが美味しくてかなり食べたもんな。
ゴッシュも起きてきて、眠そうにしながらパンを適当に口に突っ込んでいる。昨日、さすがにコッコをタダで貰うわけにはいかんとゴッシュに何度も金貨を押し付けられそうになったけど、泊めてもらっている宿代だと思って欲しいと断った。自分も食べるのだし、食事代も入っているんだからと話すとやっと手を引っ込めてくれたけど、ずっとここに泊まっているのも正直申し訳ない。
ココイ村には外からの旅人はほとんど来ないので、村に宿はなく、来客はこうやって村の人々が各家に泊めるのが普通だと聞いた。ただ、ずっとここに住むとなると話は別だろう。まだここに来て4日目だけど、ココイ村の人たちはみんないい人たちばかりだし、ミティやレーラもいるし、ここを拠点にして生活するのも悪くないなと思い始めていた。
家を借りるといっても、お金がどれくらいかかるか分からないので今度グランさんに相談してみよう。
「おはようございまーす」
冒険者ギルドの扉を叩くと、何だかいつもと違う感じがした。開けると、中にはたくさんの村人たち。
「おお!! 君がコッコを獲ってきてくれた少年か!」
「昨日のコッコの肉、食べたことないくらいめちゃくちゃ美味かった!!」
「あんな美味い肉が食べられるなんて……、ココイ村に来てくれてありがとうな!」
「みんな感謝を伝えたくて、ギルドで待ってたらティムが来るんじゃないかってな。大人気だな、新人冒険者様」
大勢の村人たちと、ギルド長のグランが俺を待ってくれていた。ただ、ありがとうと言うために? そんなすごいことはしていないつもりなんだけど……。
「朝からこんなに集まってもらってすみません、またコッコが獲れたらギルドに持ってきますね」
その言葉、待ってましたと言わんばかりに、全員が大きく頷いている。受付嬢のセレンに至っては俺が肉に見えてるんじゃないかと思うくらいに、俺を見つめている。
「ありがとう!! また頼むな!!」
「生きる楽しみができた……!」
「今度はタレをつけて串で焼いて、エールと一緒に……じゅるり」
皆思い思いに呟きながら、ちゃっかりギルドの依頼ボードにコッコ捕獲依頼を貼って帰っていった。全部俺への指名依頼だ……。
「すごいですね、ティムのお肉、とっっっっても美味しかったですもんねぇ……、あぁ思い出しただけでまたヨダレが……」
俺の肉ではない、コッコの肉だ。セレンが俺に噛み付く日も遠くない気がしてきた。お願いだから俺のことは食わないでください。
「今朝だけで、コッコの捕獲依頼が30件。まぁみんな期限とかはつけてないから、気が向いたときにやってくれたらいい。一気に獲ってくるなよ? いくらコッコの繁殖力が高いといっても、巣ごと全部食っちまったらいなくなるからな」
俺ならやりかねないと思って言ってくれているんだろうが、さすがに俺もそこまではしないと思う。
「それでだ、提案があるんだが。コッコの巣が森の奥にあるのは聞いているか? いつも森に帰って行くが、あいつらは巣の場所を転々と移す習性があってな。最近は巣を探す奴もいなかったから、正直コッコが森にどれくらいいるかも分かってないんだ。数が分かれば、どれくらいまでなら捕獲してもいいか推測できる。ティム、調査してきてくれないか?」
「調査……ですか?」
「ああ、この依頼はずいぶん前から領主に頼まれている依頼でもあってな。報酬も弾むと聞いている。あとは……これだな」
グランは依頼ボードの隅っこに小さく貼られた依頼用紙をピッと取ってこちらに見せた。
「ゴールデンコッコの卵採取依頼だ。運が良ければ、この依頼もクリアできる。巣が見つかれば、金色に輝く卵を探せ。ただの卵じゃないぞ?何と……純金だ。ゴールデンコッコはコッコのボスなんだが、突然変異でしか産まれないし産む卵は全て金の塊。当然卵は孵らない。これが貴族に人気で、朝食のエッグスタンドに金の卵を置いて記念日や誕生日を祝うのが貴族ジョークなんだとか。俺には理解できんがな」
金の卵の達成報酬は、なんと金貨500枚。達成すればギルドにも報酬が出るらしく、何としても見つけてくるんだという無言の圧を感じながら、森に出発することになった。
森に入る前に、家に寄ることにした。ひとつ、いいことを思いついたからだ。
「ゴッシュ、昨日のコッコなんだけど1羽借りて行ってもいい?」
昨日2羽捌いて、残りの3羽は檻に入れている。卵を産んだらいいなぁとミティが楽しそうに見ていた。
「借りるも何も、ティムが獲ってきたんだから好きにしたらいい。どこか行くのか?」
「うん、ちょっと森に行ってくる。ギルドからコッコの巣の調査を頼まれちゃって」
「はぁ!? コッコの巣!? ティム、そりゃ自殺行為だ。コッコは集団で襲ってくるから酷い目に遭った奴がたくさん……って、ティムなら大丈夫か。突然襲ってくるから、気をつけろよ」
「よく覚えておくよ、ありがとう」
檻の中にいるコッコを1羽出して、首と胸にぐるりとハーネスのように結界を纏わせる。
リードを離れないように自分の腰に巻き付けて、自分にも外からのダメージを受けないように結界を張る。
これで何があっても結界さえ解かなければノーダメージなはずだ。
1日檻に入れられていたコッコは、かなり気が立っているように見えた。
いつもの習性を利用すれば、真っ直ぐ巣に戻ってくれると思うんだけど……。
森を闇雲に探すより、手っ取り早いよね。成功しますように、と思いながらコッコを抱いて外に出る。
よし、いい仕事してくれよ。そう思いながら、コッコを地面に置いた。
「森に行こ、う、うわぁぁあっっっっ!!!!」
気づいたときには、もう足が地面に着いていなかった。全速力で駆け出したコッコに引っ張られ、俺自身がカイトのように舞い上がったのだ。引きずられるほうじゃなくて良かった。結界があるとはいえ、どこかが無くなっててもおかしくないスピードだ。
「コケ、コケコーーーーーー!!」
(今、帰るからなーーーーー!!) 訳:ティム
ダメだ、コッコに引っ張られて空を飛ぶとかあり得なさ過ぎて、コッコ語が分かり始めた……。
あっという間に村から森への道を抜けて、森の入口に来た。このまま引っ張られていては、木の枝に激しくぶつかってひどい目に遭いそうだ。
リードを渾身の力で引っ張り、どうにかコッコのスピードを緩められないか空中で藻掻く。
そうこうしている間に、もう目の前には大きな木の枝が迫っていた。
「コケ!! コケーー!!」
勢いの止まらないコッコに再びグン、と引っ張られ、俺は咄嗟に木の枝に抱きついた。腕がようやく届くくらいの、随分太い枝だ。
両手の指を組んでギュッと力を込め、枝から離れないように必死に堪える。
コッコの首に巻かれたハーネス状の結界が、今度は後ろに引っ張られてコッコの首を締めた。
「グエッ!! ガッ……!」
何か今コッコから出ない声出たな。
急ブレーキをかけたコッコが後ろに跳ね飛び、ちょうど後ろにあった岩にコッコの頭が当たった。
「コケーーーーッ!!」
コッコがその場に倒れ込んだのを見て、俺はすぐに枝から降りてコッコの側に駆け寄った。
「うわ、痛かったよな。大丈夫か?」
「コケ……」
俺の腕の中で、ぐったりと体を預けるコッコ。こんなに大人しいなんてよっぽど悪いに違いない。
そうだ、とアイテムボックスの中にポタル草ペーストをしまっていたのを思い出した。一角ラットのためにギルドに少しあげて、そのまま残りを保管していたのだ。
「これ、効くかな……。ほら、どうだ? 痛みが和らぐといいけど」
「コ、コケェ……」
明らかにたんこぶができている頭に、緑色のポタル草ペーストをたっぷり塗りこんだ。しばらくそのまま様子を見ていると、コッコが目を開けて立ち上がった。
頭をプルプルと振り、軽く跳ねて足を地面にトントン、と確かめるように体を動かす。
「どうかな……? 体、大丈夫か?」
「コケ!!」
力強く頷くコッコ。大丈夫みたいだ、良かった。
コッコは、こっちに来いと言わんばかりに、今度はゆっくりと歩いてくれた。
森の中を歩くこと、2時間。コッコの速さならすぐなのだろうが、俺の歩く速度に合わせてもらうとかなり時間がかかる。
見たこともないような大樹や、木漏れ日の下にだけひっそりと咲く美しい花、そのまま飲めそうな澄んだ水が流れる小川。
自然が溢れる森に癒されながら、俺はコッコの後ろをひたすら付いて歩いた。
「コケ!」
コッコが示すのは、子どもしか通れなさそうな細い洞窟。コッコが中に進んでいくので、ちょっと怖いが仕方がない。
四つん這いで進んでいくと、10mくらい先に光が見える。そのまま真っ直ぐ進むと、光の差し込む広場に出た。
そこは草が生い茂り、花や実が色とりどりに溢れてまるで楽園のようだった。若いコッコが広場の真ん中で遊び、端々の草むらでは雌コッコが卵を抱いている。
ここが、コッコの巣……。
「コケ! コケコ!」
俺を連れて来てくれたコッコが、奥から1mはあろうかという大きなコッコを連れて来た。
そうだ、巣に入ると襲われるって聞いていたんだったと思い出す。
一瞬身構えるが、大きなコッコは俺に向かって深く頭を下げた。どうやら、さっきコッコを助けたことを感謝されているらしい。
「いや、こちらこそここに連れてきてくれて、ありがとう」
こちらもコッコに頭を下げる。襲われなくて本当に良かった。
それにしても、コッコの巣って広いんだな。奥行は、50mくらいあるだろうか。
数も、ざっと見て1000羽以上はいそうだ。卵を抱いている雌コッコもたくさんいるし、数については安心できそうだ。まぁ、村人の食欲を考えると全然足りないかもしれないが。
「少し、見て回ってもいいですか?」
大きなコッコに聞くと、ゆっくりと頷いてくれた。せっかく来たのだから、もう少し色々見せてもらおう。
広場に向かって歩いていくと、遊んでいた若いコッコたちが驚いてこちらを見る。
そりゃ、人間がこんなところにいたらびっくりするよね……。
ごめんね、少し見学させてくださいと声をかけながら先に進むと、突然トサカの立派なコッコたちが行く手を阻んできた。ここから先は、行かせないといった雰囲気だ。
向こうの方で、コッコの騒がしい声がした。こちらを指して、何かを必死に周りに伝えている。
すると、コッコたちの目が急に攻撃的な目に変わった。
もしかして、落とし穴で仲間をたくさん捕まえた犯人だ、とでも言われたんだろうか。
「コケ!!コケェーーーー!!!!」
1羽の号令で、コッコたちが一斉に襲ってくる。
俺とリードが繋がっているコッコは戸惑いながらも止めようとしてくれたけど、とても止められる勢いではなかった。
ものすごい数のコッコたちに、突っつかれ踏んづけられ、もみくちゃにされる。コッコの羽が舞い散り、間違えて蹴られたコッコが悲しい声を上げた。
コッコたちの集団攻撃は、急に来られればおそらくどんな冒険者でも瀕死になってしまう威力だろう。帰ってこない冒険者がいたという話も頷けた。
……ただ、結界魔法があるから全然痛くも痒くもないんだよね。
突っつかれてる感覚は分かるけど、ダメージとしては通らない。なんなら、背中と肩のところ、ちょっとマッサージみたいで気持ちよくなってきた。あ、そこそこ。もうちょっと上。
「コケッ! コケェ。……コケ!?」
もういいだろう、とばかりにドヤ顔で攻撃を終わったコッコたちが、無傷の俺を見て驚愕する。
再び攻撃を始めようとするため、俺はその場に落とし穴を作り、集まっているコッコたちを落として即座にまとめて結界魔法で捕獲。俺だけ落ちないの、めっちゃ楽しいな。
すっと立ち上がると、俺はにっこり笑ってこう言った。
「ゴールデンコッコに、会いたいな」
結界を解除すると震えながら散り散りに逃げていったコッコたち。……そんなに怖かったかな、俺。
先ほど行く手を阻まれた奥の道から、ゴールデンコッコがゆっくりと出てくる。
なんか、でかい。俺と身長が一緒くらいある。俺が13歳の体だから、140cmくらいだろうか。
「あの……、始め、まして?」
とりあえず挨拶をしてみたけれど、言葉が通じるわけでもない。とりあえずゴールデンコッコの顔がめっちゃ怖い。でも全身金色ですごく綺麗ではある。
ゆっくりと俺の目の前まで来たゴールデンコッコは、突然ひれ伏して翼の先に持った金の卵をこちらに掲げた。
「コケ、コケケ……コケ、コケェェ」
たぶん訳すと、『私が産んだ金の卵を差し上げますので、今日のところはどうかお引取りください』といったところか。
……うん、なんかごめん。でも、ありがたく頂くね。
――ゴールデンコッコからもらった金の卵は、5個。
思ったよりもたくさんあったな。これ、1個あれば良かったんだよね……。
買い取ってくれるか分からないけど、家を借りる資金も欲しいしな。グランさんに相談してみよう。
あとお土産に、と鞄いっぱいの卵をもらった。
家から連れて来たコッコは、俺と一緒に帰ると言ってくれたみたいだ。
帰り道も迷いそうだったのでありがたい。帰る前にもう一度頭にポタル草を塗ってあげた。
「こんにちは、戻りましたよー」
冒険者ギルドの扉を開けると、セレンが居眠りをしていた。平和でいいことだ。
「依頼、達成してきたので報告したいのですが」
「むにゃ……うーん、コッコの焼き鳥……。え、達成!?」
「はい、達成です。グランさんいますか」
「すぐに呼んでくるわね、ってまだ今朝出たばっかりだったじゃない」
「えぇ、コッコが教えてくれたので」
奥から出てきたグランに、コッコの巣の詳細を伝える。
「ふむ、子どもでないと入れない洞窟の奥か。数も多いな。そうなると、冒険者が獲ってくるのはまず無理ということだな。よく分かった、ご苦労。今聞いた内容を領主様に報告しておく」
「それと、もう一つの依頼ですが」
「うむ、それだ。どうだった、見つかったか」
「ありました。それも、5個」
「……5個だと!?」
ガタッと椅子から立ち上がるグラン。よほど驚いたようだ。
「お前……、いいか、それは50年に1個産まれるかどうかなんだ、そんなにあってたまるか」
「でも、くれたんです。ゴールデンコッコが」
「……会ったのか、ゴールデンコッコに」
「めちゃくちゃ大きかったですよ、身長は僕と一緒くらいで」
「待て、その話。奥でゆっくり聴かせてもらおう」
どうやらゴールデンコッコは人前に姿を現すことがないらしい。
全身キラキラと金色に輝いていて綺麗だったと伝えると、なんでお前のスキルで捕まえてこなかったんだ俺だって見たかったと泣かれる始末。
仕方がないのでお土産にもらった卵を少し分けてあげると、セレンと一緒に喜んでいたのでその隙に逃げ出した。
「……あ、ゴールデンコッコの卵渡しそびれてきちゃった」
明日また行けばいいか、と思い、今日は疲れたので家に帰ることにした。
「ただいまー」
「お帰り! 森はどうだった?」
家に戻ると、レーラが笑顔で迎えてくれた。本当に我が家みたいになってきたなぁ。
「コッコの巣に行って、ギルドに報告してきたよ」
「お、やっぱり見つけて帰ってきたか。ティムならやると思ってたぞ」
「それで、お土産なんだけど。はい、コッコの卵」
「わぁ、こんなにたくさん!」
ギルドに少し分けたけどそれでも30個はあるので、たくさん食べられるだろう。
みんなの喜ぶ顔が見られて良かった。
「あれ? そういえばミティは?」
姿を見ないので不思議に思って聞くと、ミティは庭の檻に入れてあるコッコのところにいた。
「あ、ティム。おかえりなさい」
「ただいま、ミティ。コッコの前で、何してるの?」
「みて。コッコが、卵をうんだの」
檻の中を見ると、雌コッコが卵を抱いている。
「食べようって言ったら、卵からコッコの雛が生まれるのが見たいって、きかなくて」
「だって、せっかく温めてるのに」
卵を鑑定してみると、無精卵だった。無精卵ならいくら温めても孵ることはないだろう。
「残念だけど、この卵は雛にはならないんだ」
「そんなことが分かるの……? ……そうなんだ、残念」
ミティは一瞬悲しそうな顔をしたが、すぐに納得したようだった。
そういえば、今日もらって帰った卵は全て無精卵なんだろうか。
「レーラ、さっきの卵は」
「まだテーブルの上にあるわよ」
テーブルの卵を、一つずつ鑑定する。
『鑑定:コッコの卵 雌コッコが産み落とした卵。殻が割れると鮮度が落ちやすい。非常に美味。無精卵のため孵化はしない。レア度:D』
『鑑定:コッコの卵 雌コッコが産み落とした卵。殻が割れると鮮度が落ちやすい。非常に美味。無精卵のため孵化はしない。レア度:D』
『鑑定:コッコの卵 雌コッコが産み落とした卵。殻が割れると鮮度が落ちやすい。非常に美味。有精卵。雌コッコが温め続けることで約20日で孵化する。レア度:C』
……あった!!
「ミティ、この卵なら雛になるよ。今雌コッコが温めてる卵と、交換しようか」
「ほんとう!? 雛、みれるの?」
檻の中にいる雌コッコに、有精卵をあげて無精卵と交換した。上手く孵化してくれるといいな。
ミティの喜ぶ顔が見たくてやったけど、でもこれって、コッコが増やせるってことだよな。
残っている卵を全て鑑定すると、8個の有精卵が見つかった。
さて、これを温め続けるのをどうしようか、と考える。雌コッコに全部温めてもらうのはさすがに多いだろう。
ステータスを見ると、レベルが22から48に上がっていた。
……コッコの巣で一気に捕獲したから……? すぐ解除したんだけど。
結界魔法がLv.3に上がっている。鑑定もLv.3だ。
『鑑定:結界魔法Lv.3 一度設置すれば術者が解除するまで消えることのない、設置型の結界が作成可能。結界の内部環境は温度・湿度等自由に設定できる。結界の大きさや範囲は術者の魔力量による』
設置型だ! これがあれば、捕獲したモンスターを入れたまま離れても安心だな。
卵を孵化させる温度に設定して置いておけば、孵卵器みたいな使い方もできるんじゃないだろうか。
試しに、卵8個を入れられる大きさの結界を作る。
孵化させる温度は、雌コッコの体温くらいかな。
『鑑定:コッコの卵 孵化条件は温度37.5度、湿度50%。毎日最低4回卵の向きを変えること。約20日間で孵化する。結界内の魔力量を高めることで成長促進効果を付与することが可能』
……鑑定先生、さすがLv.3にもなるとすごく教えてくれるな。
じゃあ鑑定の通りに設定して、魔力量を濃くだな。20日か、結構長いけど、楽しみに待っておこう。
「おう、部屋に戻って何してたんだ?」
「コッコの卵を結界内で孵化できるようになったよ。20日くらいかかると思うけど、成功すればコッコが増やせるかもしれない」
「すごいじゃない! 楽しみね」
「ティム、ありがとう」
夕食は、コッコの卵を使ったキッシュだった。中に色んな具材が入っていて美味しい。
コッコの卵が孵れば、たまにしか食べられないものじゃなく、みんなが食べられるものになる。
――明日は、面倒だけどもう一度ギルドに行ってちゃんと報酬もらってこよう。そして、家と、コッコが飼えるくらいの広い土地がいるなぁ。今日相談できなかったから、明日こそ聞いてみよう。
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