第12罠 甘い餌は罠とセットで
異世界生活12日目。
ジグヴァルド王から俺のランクアップをサポートするよう命を受けたエレノアが、朝から自宅の玄関前で叫んでいる。
結界で作った家だから、エレノアであろうと空間魔法で直接入ってくることはできないらしい。
普通の家に住んでいたらベッドで寝ているところに現れそうな勢いなので、こればかりは結界魔法に感謝した。
「おはよーーう!! 行くわよーーーー!!」
仕方がないので玄関を開ける。
王様の命令とはいえ、自分のためにしてくれているのは感謝しないと。
……って、俺、別にSランク冒険者になりたい訳じゃないんだけどなぁ。
ランクが高くなることでのメリットは昨夜エレノアから散々聞かされたけど、高ランク者しか入れないエリアがあるとか、そこにはレア度の高いモンスターがいるとか……。
ただでさえ少なくなっているモンスターの、さらに希少で数の少ないモンスターを捕獲する必要性がなぜあるのか、正直まだ俺には理解できていない。
……王様がドラゴンを捕獲したいのは、どうしてなんだろう。
ジェミィから昔話として聞いたレッドドラゴンは、ミティやレーラを含めココイ村の皆を悲しませた。
モンスターを増やすということは、そういった悲しみを増やすことにはならないのだろうか。
そうやってエレノアに昨夜ぶつけてみた疑問。
王様の前にドラゴンを連れてきてから聞いてみればわかるわ、と言われる。
そう簡単に連れて来れるものでもないと、思うのだけれど。
ただ、今の自分が何をどこまでできるのか、知ってみたいという気持ちはある。
罠師という何だかよく分からない職業の自分を、皆の希望だという王。
ーーその期待を信じてみたいのは、他でもない自分自身だ。
朝から元気いっぱいのエレノアは、採れたてのコッコの卵をオムレツにしてパンに挟んだサンドイッチを美味しそうに頬張っている。
日課のコッコとワイルドボアの世話は、どうやら美味しいお肉のためだと理解してくれたようだ。
コッコファームの様子を見に行き、その間にクルルにお菓子を渡す。
色付きコッコたちも順調に増え、3色とも50羽以上になってきた。100羽を超えれば、少しずつならお店にも出せるかもしれない。
ワイルドボアはまたウリ坊が産まれていた。最初に産まれた8匹のウリ坊たちが成長し、4匹からまた8匹ずつ産まれたようで32匹のウリ坊がいる。
そろそろ1匹解体をお願いしてもいいかもしれないと思ったが、ドッポのところに行く時間は無さそうだった。
ファミィのお菓子も買いに行きたいし、どこかで時間を作って行きたいとは思う。
朝食を終えたエレノアと、向かった先は王都の冒険者ギルド。
Eランクに上がったので、一つ上のDランクまでの依頼を探しに来たというわけだ。
「そうねぇ、美味しいのはこのブラックサーペントね。あぁダメだわ、Bランクだもの」
「いや、美味しいとかじゃなくてランクで選んでくださいよ」
「Dランクね、わかってるわよ?」
ボードにずらりと並ぶ、依頼書。
ココイ村では村の中での依頼しかなかったが、王都の冒険者ギルドでは様々な地域の依頼が集められている。
ただ、残っているのはなかなか達成できる冒険者がいないような、難しい依頼が多いようだった。
「これならDランクだけど、軍隊アリの駆除はちょっと……ねぇ? 食べられないし」
どうもエレノアの基準は食べられるかどうからしい。
自分としては、捕獲でも達成としてくれる依頼があるならそれがありがたいのだけれど。
ゴブリンは、討伐した証拠の耳を持参するように依頼書に書いてあった。耳を削ぐだなんて考えただけで痛い。
モンスターの気持ちをつい考えてしまう自分には、できない仕事だ。
冒険者ギルドには、自分たちの他にも冒険者たちが依頼ボードを見に集まっていた。ここでパーティーを組んで出発する者もいるようだ。
皆、大きな剣や鎧を身に着けて、屈強な体をしている。
冒険者のステータスになるのか、倒したモンスターの牙を首からぶら下げている者もいた。
短刀と小さな鞄だけを持ち、ただの服を着ている自分は余程弱そうに見えるだろう。そんな華奢な少年の体で、モンスターが倒せるのかといった中傷めいた視線を感じる。
奥の高難易度用の依頼ボードから自分の側に戻ってきたエレノアに気付き、そういった輩は皆驚いて去っていった。
「ティム、良さそうな依頼は見つかった?」
「捕獲でも達成可能な依頼って、なかなかないですよね」
「……まぁ、普通そうよね。捕獲なんてできる人がいないんだから」
「ランクアップって、道のりが長いですね……」
「ティムの実力を理解してもらうには、普通の依頼じゃダメだってことよね……やっぱり、行くしかないか」
やっぱり行くしかって、……どこへ?
そう思う間もなく、ぐるぐる回って連れて来られた先は何やら聞き覚えのある鳴き声がする場所だった。
「エレノア!! 来てくれたのか。もしや、その少年は……」
「えぇ、そうよ。モリウスがずっと会いたがっていた彼を連れてきたから、ちょっと頼みを聞いてくれる?」
モリウス、と呼ばれる青年は自分の姿を見て歓喜し、すぐにお茶を淹れてくると応接間のソファに案内して姿を消した。
すらりとした長身に、ネイビーブルーの胸まで伸びた長髪。細い銀縁の眼鏡と整った顔立ちが印象的だ。
すぐに戻ってくると、モリウスが自らお茶を入れてくれる。透明なガラスのティーカップに、透き通ったライトブルーのお茶が美しい。
「綺麗な青ね」
「マナフィアの花から作ったハーブティーだ。ちょうど昨日、行商人から仕入れたばかりでね」
一口飲むと、ふわりと鼻に抜ける花の香り。爽やかな甘酸っぱさが、口に広がった。
「すごく美味しいです」
「気に入ってもらえたなら良かった。私はモリウス。魔物研究所で働いている。ティム、君にずっと会いたかったんだ」
魔法学校の訓練用にとエレノアが引き取ったジャックウルフ。
魔法学校に引き渡す前に生態を調べさせて欲しいと、その世話をしているのが魔物研究所のモリウスだった。
聞き覚えのある鳴き声は、ジャックウルフのガウガウという声で。相変わらず元気にやっているらしいその姿を見て少し安心する。
「君がこのジャックウルフを捕獲してくれたと聞いている。ここ、魔物研究所は王直属の研究所でね。近年減少の一途を辿る魔物の生態と減少の原因を調査し、食糧難の対策に取り組むことがこの研究所の目的だ」
どうか力を貸して欲しい、とまたも握手を求められる。
「いえ、モリウスさん。僕にできることなんて」
「おや、そんなことを言うんだね。自分の能力がまだ信じられないといった感じかな」
「そう……なんですかね。自分でも、まだ何ができるのかわからなくて」
空の青さのようなハーブティーを一口飲み、モリウスが微笑む。
「分からないということは、とても贅沢なことだよ。多くの人間は、どこかで自分の能力の限界に気付いてしまうんだ」
贅沢なこと、なんだろうか。
確かにまだ何も試してはいない。ドラゴンが捕まえられるのかどうか、やってみてもいないのだから。
「……ありがとうございます。何だかちょっと、頑張ってみようかなと思えました」
「そうか、それなら良かった」
ドラゴンを捕まえるまではまだ遠いかもしれないけれど、捕獲しかできなくてもどこまでやれるのか、試してみたい。
「モリウス、頼みがあるって言ったでしょう? 依頼を出して欲しいの、ティム指名で」
「そんな頼みならこちらからお願いしたいくらいだ」
「待って、ティムがEランクだからDランクのモンスターからにしてくれる? 実績を積めば私からギルド長にランクアップの申請をするから」
モンスターの話になると2人の話が盛り上がり過ぎるので、好きに決めてもらうこととして研究所を少し見学させてもらうことにした。
部屋を出ると、そこは長い通路に小さい窓が並び、まるで監獄のような造りだった。
廊下を歩いていると等間隔に施錠された扉があり、かといって中から何が音がする訳でもない。
廊下の突き当たりの扉から外に出ると、広大な敷地の中にポツンとこの建物だけが建っているのがわかった。
「どこなんだろう、ここ……」
「何もなくて、驚いたかい?」
後ろから声を掛けられて振り向くと、麦わら帽子を被って作業着を着た老人が立っている。
「ここは、王都から遠く離れた辺境の地だ。その山のずっと向こうは隣の国だし、あっちの森には大きな湖がある。めったに誰も来ない場所だが時々王様が来るからこうやって手入れを欠かせないんだ」
「ここって、魔物研究所なんですよね」
「あぁそうさ。瀕死のモンスターを閉じ込めて治療して、反撃したモンスターにやられて命を落とした者も大勢いた。今では変わり者のモリウスくらいだよ、こんなところに残っているのは」
「あなたは、どうしてここに?」
「わしはただ、庭木の手入れが好きなだけの爺さ」
泥だらけのズボンを叩いて、老人が笑う。
「どうして、モンスターは減ってしまったのでしょうか」
「気になるかい? 珍しいね、そんなことを言うのは王様とモリウスくらいだ。皆、モンスターを倒して食べることは好きでも、それがいつかいなくなるなんてことを思わないのさ」
限りがあると気づいたときには、もう遅い。
そう話す老人は、草が伸びてきておるなぁとまた向こうの草むらへ消えていった。
「あぁ、こんなところにいたのか」
モリウスが、探したよと少し慌てた様子で追いかけてきた。
「依頼を書いたから、王都の冒険者ギルド経由で受けてくれるかな。生息地はエレノアが知っているから、教えてもらうといい」
「ありがとうございます」
向こうの森で、ギュオォ、と聞いたことのない鳴き声がした。冷たい風が、不意に吹き抜ける。
「今、聞こえたかい? あれはアイスワイバーンだよ。この森はまだモンスターがいるほうでね。運が良ければ空を飛ぶ姿が間近で見られる」
「モンスター、お好きなんですね」
「……ティムは好きかい? モンスターのこと」
聞かれて、思い出すのは初めて出会った一角ラットや、ジャックウルフ、コッコやワイルドボア、それにカーバンクルのクルル。
みんな、俺にとっては戦うべき敵ではなく異世界での生活を助けてくれた仲間だった。
「僕、倒せないんです。モンスターを」
ーーだって、人もモンスターも同じように生きてるじゃないですか。
そう言った俺を、モリウスは笑わなかった。
「ティムが連れてくるモンスターを、楽しみにしているよ」
王都の冒険者ギルドに戻り、モリウスが書いた依頼書を提出する。依頼書は100枚を超えていたが、その内Dランクの依頼は10枚程だった。
「すべて捕獲依頼ですね。……って、え、捕獲ですか?」
「はい、そう聞いていますので問題ないです」
困惑する受付嬢に大丈夫だからとエレノアが説明し、なんとか納得してもらう。
Dランクの依頼を全て受注すると、最初の目的地へと空間移動した。
「シュアティレイクの森は、大きな湖があるの。水場を求めてモンスターが集まるから一気に捕獲していくわよ」
静かな森の中を歩いていくと、広い湖が姿を現す。
エレノアの指示に沿って湖畔にぐるりと落とし穴を仕掛ける。木の上から観察していると、しばらくして小さな狐のようなモンスターが草陰から現れた。
「タイニーフォックスね。小さくて可愛い見た目だけど、素早くて引っ掻き攻撃が地味に痛いのよ……」
30センチもないくらいの小さな体は、黄色くてふわふわしており触ると気持ち良さそうだ。
小さな虫を追いかけて、落とし穴の方へ近づいて来る。
あと少し……! そう思いながらエレノアと2人で見つめていると、落とし穴まで1メートルもない距離まで来たところで不意に前足を上げて周囲を見渡したかと思えば向こうへ逃げて行った。
「あぁ……! もう少しだったのに」
「この前みたいに、出て行って向かって来るところを捕まえたほうがいいですか?」
「それはダメね、この辺のモンスターは弱くて臆病だから、警戒心も強いしすぐに逃げてしまうわ。姿を見せるとそもそも出てこないし」
「そうなんですか……、罠を仕掛けて置いておきましょうか。落とし穴と、箱罠もあるので」
「そうね、あとは美味しいものでもあるといいんだろうけど」
餌は何にしようか。この前みたいに甘い物を入れるのは良くないと分かったので、普通に森にある果実やナッツを置くことにした。
「これで、一晩置いてみようと思います」
落とし穴と箱罠を10個ずつ設置し、明日また見に来ることにした。
「入っているといいわね。主要な狩場は教えたから、明日からは自分でやってみなさい。捕獲できたらその都度モリウスのところに引き渡しに行くこと。いいわね?」
エレノアに依頼書にあるモンスターのいる場所を空間移動で教えてもらった。一度行けば自分でも来れるので、明日からは自分で行ってみようと思う。
じゃあねと空間移動で帰っていくエレノア。手を振りながら、正直すごくホッとした。
今日はもう罠も仕掛けたし、依頼書のことは置いておいていいだろう。
肉屋のことも気になっていたので、一旦自宅に戻ってコッコとワイルドボアを捕獲しドッポの店に向かった。
「こんにちは」
「いらっしゃいま……、ティムさん!」
ファミィが驚いた様子で声をかけてくる。
「お見えにならないので、何かあったのかと……。ティムティムミートは開店しないのかって、うちにも聞きに来る人が大勢来ているんです」
「おぉ、ティム!! 店はできているのに開かないのはどういうことだってなぁ、店の周りに人が集まっているよ」
どういうことだろうと思い店を見に行くと、店の前に人だかりができている。
「おい、あれティムじゃないか?」
村人の1人がそう言うと、皆が一斉にこちらを振り返った。
「ティム!! 肉屋はもうできてるんだろ? いつ開くかだけでも教えてくれないか?」
「試食会でのコッコ肉の味が忘れられなくてな……また食べたくて仕方がないんだ」
「あんなに美味い肉を食っちまうと、元のパンと芋だけじゃ物足りなくてなぁ……っ、禁断症状が……!」
肉を、肉をと呟き続ける村人、もといコッコ肉ゾンビは試食会での食レポを反芻することでその数を増やしているようだった。
「香ばしい油と肉の香り、そこにスパイスが辛味と旨味を加えて肉の美味しさを引き出している……。一口噛むと、じゅわぁ、と口の中いっぱいに広がる肉汁。そこに流し込む冷えたエールがまた……!!」
「美味かったなぁ……っ、あぁ、俺もダメだ!! 早くあの肉が、食べたい……っ」
少しだけでいい、肉を売ってくれないかと詰め寄る村人をどうにか宥め、開店の日にちは準備ができ次第なので決まったら案内しますと言って店の中にさっと入る。
結界にしておいて良かったな……これは店の中まで人が入ってきてもおかしくなかった。
「て、店長っっ……!! どこ行ってたんですかぁ!!」
「店長がいない間、村の皆さんが看板を食べようとするし、試作で肉を揚げようものなら匂いで暴れるしで、大変だったんですよ……」
「店内に入ろうとする方が落とし穴に落ちないよう、何度も説明をしてお引き取りいただくようお願いしましたが……」
3人とも、とても疲れた様子で申し訳なく思う。
「みんな、色々と申し訳ない。あと、対応をありがとう。村の人が怪我をしなかったのはみんなが対応してくれたからだよ。ちょっと色々あって、王都に行ったりしていたのでいなくてごめんなさい」
俺が謝ると、3人は謝ることはないと言ってくれた。
「店長はお肉のために頑張ってくれたらいいんです、私たちがお店のことは頑張ります。ただ、開店日だけは……決めておきませんか?」
普段大人しいリアラからの提案だ。そして外の状況を考えるとなるべく早く開店したほうがいいことは明らかだった。
3人と話し合って、準備を考えると明日は厳しいので明後日となった。それでも大変だと思うが、この騒ぎを落ち着かせるのに少しだけ販売して完売になってもいいから開店しようという話になったのだ。
ソアラに、カウンターから明後日開店すると大声で知らせてもらうことにした。すぐに書いてくれた手書きのビラも一緒に配れば、小さい村の周知には充分だ。
ドッポの店に戻りコッコ100羽とワイルドボア2匹を渡す。
後でまた取りに来ると話し、ファミィのお菓子も追加で焼いてもらうようにお願いした。焼き立てが美味しいので熱々を受け取りたいところだ。
まだ日が暮れるには早いが、少し思うところがあってレーラの家に向かった。
コッコの卵をお土産に家を訪ねると、ゴッシュはまだ畑に行っていなかったが、ミティとレーラは家でジャムを作ったり弓矢の手入れをしたりして過ごしていた。
「明るいうちから来るなんて珍しいじゃない。晩ご飯にはまだ早いわよ?」
「ティムきてくれるの、うれしい」
「今日は、レーラに用があって。……いいかな」
出来立てのジャムを入れたハーブティーをミティが出してくれる。甘くてとても美味しい。
「用って、どうしたの?」
「レーラは、冒険者ギルドには登録してる?」
「一応してるけど、雑用ばっかりでまだEランクよ」
レーラもEランクなのか。依頼を真面目にクリアしてきたんだろうな。
「僕と、パーティーを組んでもらいたいんだ」
「……え……? でも私、ルアーなんて変なスキルしかないし、弓矢も下手だし……」
「レーラのスキル、僕と一緒ならすごく便利だと思うよ。やってみないと、分からないけど」
「どう便利なのよ。私にもこのスキル全然分からないのよ?」
やってみたら分かるよ、とレーラを森へ連れて行く。
レーラに結界魔法をかけ、ダメージを受けないようにした。
「そのまま、もっと向こうまで歩いてみて」
レーラの足元に、落とし穴を作る。もちろん、レーラは落ちない設定だ。
「……じゃあレーラ、スキル使ってみてよ」
「ルアー、ってやつ? これかな、匂い玉……?」
レーラがそう言った瞬間に、ふわり、と花のような甘い香りが漂う。かと思えば、焼肉を近くで焼いているような香ばしい匂いに変わった。
『鑑定:スキル匂い玉 半径10メートル以内にモンスターを誘引する匂いを出す。モンスターによって最も美味しそうと感じる匂いに変化するため、一度に複数のモンスターを集めることも可能。レベルが上がれば有効範囲も拡大する」
5分もしないうちに、今までココイ村の森で出会ったこともないようなモンスターが次々と現れた。
ホーンラビットやグリーンスネークのような小さめのものから、ウッドディアーやフォレストボアといった大型のものまで。
草むらから飛び出してきては落ち、木の影からレーラに襲い掛かろうとしてはそのまま足元から崩れるように落ちていく。
「ちょ、ちょっと!! 何これ……! ティム、怖、怖いんだけど!!」
レーラには何も攻撃は届いていないのだが、落とし穴に続々と落ちていくのはさすがに異様な光景だった。
ものの15分程で20匹を落とし穴から回収し捕獲した。
「……ほら、レーラのスキル、すごいよ」
「全然理解できない」
「一緒に、レーラと行きたい場所があるんだ」
「……ティムのベッド」
「……え?」
「すっごく疲れたのよ? ティムのベッドで寝させてくれないと、一緒には出かけられないんだから」
……選択を、誤ったかもしれない。
眠れない夜と引き換えに、初めてのパーティー仲間を手に入れた。
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