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商業ギルド長に呼び出された。面倒な予感…

「本日の御用向きはお済みでしょうか?」


商業ギルド長の部屋に入るのは、初めてではないので緊張はないが

相手は初見の人物。

商人であるから、駆け引きもまたうまいんだけど。


ここ、王都のギルド長は面倒そうだと感じた。


呼ばれた時、咄嗟に視線を向けると、ロードが察して同道してくれた。

護衛に雇った体でいるため、セリが座った席の後ろに立っている。



「商品のことでお尋ねしたい事がありまして。」


自慢のティーカップと思われる物に紅茶が入って出される。

香りは良いが、ゆっくりするつもりはない。


情報を得ようとする姿勢は良いけど、こっちの状況を見てくれないタイプは

溜め息ものだ。



「それで?商品を卸せと?」


セリに作るハーブティの数は少なく、出回るのも気まぐれだ。

材料は『新人の採取した薬草』で、回復薬に使うには頼りない品質のもの。


材料はレシピ登録しているため、作り手が違う物は売られている。

しかし、作り方か魔力のせいか


『コクが違う!』


味を気に入ってくださる貴族や裕福な方達に密かに人気だ。

薬効もあり、“優しくじんわり味わえる”と言われる。



『他の作り手じゃ少し物足りない』

その違いはまだ埋められていないのか、方向性が違う商品ができているが。


セリは身近な人への土産にも作る。


人気の理由は

社交の場に出てくる飲み物は、紅茶だ。

男性ならお酒の付き合いもあり、身体の不調や疲れが蓄積する。


寝酒や朝の時間に

体調を心配したご婦人が勧めるらしいと身体にも心にも良いという口伝えの人気だと思う。



そのハーブティの催促が貴族から来ているのだろう。

(正直、やりたくはない。)



「お忙しいとは思いますが、この王都でハーブティを卸していただけませんか?

お手伝いできる事もあると思うのですが?」


忙しいのが、貴族に目をつけられてて逃げてきたと知ってそうだなあ。

『自分が他の貴族との間を持てば、逃げる必要もない。


ただし、良い商売をしましょうね』と言ったところだろうか。


セリの持つ選択肢では

口止めでハーブティを卸すのが波を立てない判断だろうけど、気持ちの問題だ。


ここで了承すると、ドンドン注文がくるかも。

仲良くしたくもない貴族が近づいてくるとか?


「待て。セリは『竜の翼』の預かりだ。

シュルトに話を持っていく」


「な、」


あ、シュルトさんから断ってもらう方が助かる!

これで情報が漏れたら、

商売ギルド長と話したけど、まさかそこから漏れたのかしら?信用問題ね。


脅し返そう。



「そうだなあ。王都のギルド長が言った話、セリにさせようとしている事。

全部な?」



情報を漏らしたらどーなるかわかってるよなという釘刺し。


ギルド長の立場と、商人の信用はどうなるかなー。



「脅す気か」


「脅されてると思ってるのか?」


ロードがセリの肩に手を置く。


“俺らが付いている、手を出すな”というメッセージだ。




(おおー。やるう!)

笑わないように、セリはポーカーフェイスを保つ。

もったいないので飲み頃の紅茶を飲み、部屋から出て行った。




「結局、蜥蜴については分からなかったなあ。」


使うにしても干物の状態で。この地域では特に使われる事もなく

釣りの餌で使うくらい?



そんな情報しか得られなかった。


「グスタフの蔵書とキースも本を借りてくるだろ」


そちらの情報待ちだね。


「不思議な生物とかの本あるかな?」



カフェに寄って、ひと息入れながらロードと話している。

コーヒーを出す店で、砂糖菓子と苦味のコラボが美味しい。




隠れ家的なのか各々がくつろぐ姿は

常連さんしかいないのかも



コーヒーは好き嫌いが激しいし、この国では

紅茶が主流だ。



お茶といえば、普段使いのハーブティは作りたい。



「買い物したいけど、シュルトに頼もうかな。」


また警戒度を上げる必要がある。

慎重さはあったほうが良いと思う。



久々のカフェでのひと時を2人で

のんびり過ごした。

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