表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#壊れた地球の歩き方 【コミカライズ全3巻発売中!】  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
第五章【悪党北海道脱出編/魔弾暴発《マジックバレット・アウトバースト》】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/266

28 幕間 太政大臣と忍者と机の下の女装(女装抜き)



「サイコパスとはなにか、ですの?」


 古都ドウマンの太政大臣、レンカが執務室で首をかしげた。

 右手にはマドレーヌを、左手には紅茶の入ったティーカップを持ち、おしとやかとは言えないティータイムを見せつけている。

 対する質問者は若い忍者隊長タンバだ。


「はい。ユウギリと『サイコパスって、ようするになんだろう』という話になって。看守さんに聞いたら『レンカさんが詳しい』と」

「あら。わたくしも別に専門家というわけではありませんけれど……」

「あの、おじゃまでしたら、ぜんぜんいいですよ」

「いえ、見ての通り、ちょうど休憩中でしたので、構いませんわよ。けれど、どう説明したものでしょうか……」


 レンカはカップを置いて、顎に指を当てた。

 マドレーヌを一口かじってから、机の下に声をかける。


「ちなみにマコさまは、サイコパスってどういうものだと思われますの?」

「えー、僕?」

「ちょっと待ってもらっていいですか」


 タンバが手のひらを立てて『待って』のポーズをとった。


 ――明らかに、イコマさんの声が机の下から聞こえましたよね。


 重厚な木製の執務机の裏側は、タンバのほうからは見えないが。


「あの……なぜ机の下に……?」

「え? ちょっと用事があって」

「机の下にですか?」


 ひょっこりとイコマの顔だけが机の裏から出てきた。

 ウィッグと化粧をしたマコさんバージョンである。


「なんだっけ、サイコパスだっけ。あれでしょ、ナイフぺろぺろするひとでしょ」

「マコさん、そのまま会話する気ですか?」

「その認識、根強いですわよね。サイコパスはこう、猟奇的な殺人者で、という認識。おそらくいろいろな映画やドラマの影響だと思われますけれど」

「レンカさんもそのまま会話する気ですか?」


 タンバのツッコミに、イコマが苦笑した。


「言っておくけど、別にイヤらしいことしてたわけじゃないからね。机の下にティースプーン落としちゃって。それが床の溝にハマったの。木製板張り合わせの床だからさ」

「ええ。お恥ずかしいですけれど、わたくし、手先が少々……ちょっとだけですけれど、不器用でして。取ろうとして潜り込んだら、なぜかスプーンが溝の奥へ奥へと……奥へ奥へと!? そんな、いやらしいですわね!」

「それ久々に聞いた気がしますね」

「ですから、偶然お菓子を持ってきたイコマさまに、とってくれないかとお願いいたしましたの」

「そういうわけだよ、タンバくん。僕はイヤらしいことひとつもしてないし、やましいこともないんだ。男子中学生の年齢だと、なんでもかんでもエロに結び付けちゃうのはわかるけど」

「心外な言われ方ですが……いえ、勘違いしたのはこちらの落ち度ですね。失礼いたしました」

「まあ、気持ちはわかるけどね」


 言いつつ、マコさんが机の裏で立ち上がった。

 机で隠れた下半身はわからないが、少なくとも上半身は裸だった。


「ぜったいイヤらしいことしてましたよね!?」

「いやだなぁ、タンバくん。せっかくのチャイナドレスを汚したくなかったから、仕方なく脱いだだけだよ。執務室はきれいだけれど、さすがに床となるとその限りではないでしょ? 衣装を思いやった結果だよ。僕は衣装を大事にする男なんだ。長く着られるようにしたいからね。特にチャイナは布が長いから、這いつくばると床に広がってしまうんだ。まさかチャイナドレスで床を掃除するわけにはいかない、そうだろう?」

「言い訳が長いとなおさらうそっぽく聞こえます……!」


 というか。


 ――あれ? チャイナドレスって、構造的にこう、すっぽり上から下まで着るタイプですよね。


 タンバはマコさんの上半身を見ないよう、両手で目を覆いながら気づく。

 つまり、机の裏側にはパンツ一丁のマコさんがいるわけで。


「あの、マコさん。ひとまず、服を着ていただけますか。目のやり場に困りますので」

「僕、男だから気にしないよ? ……まあ、タンバくんが気にするなら別か。タンバくん、ソファの上にチャイナドレス置いてあるから、取ってくれる?」

「あ、はい」


 目をつむったまま、タンバは危なげなくソファに近づき、置いてある布を取った。

 ぱさりと布の落ちる音がする。

 チャイナ以外にもなにかがあったらしい。

 さすがに目を開けて拾うと、女性用の下着だった。

 フリルつきで、なにかこう、気合いの入ったデザインである。

 これがここにあるということは、つまり、執務机の裏側にいるマコさんは……。


「やっぱりイヤらしいことしてましたよね!?」

「で、タンバさま。サイコパスというのは、精神病質のことですの」

「そしてレンカさんはやっぱりなにもなかった感じで話すんですね!?」




★マ!

一話で納めようと思ってたけど、殺伐とした状況なので強弱付けるために下ネタ入れたら長くなっちゃったから分割します。

……下ネタ入れたから長くなっちゃったから分割しますってなに……?(正気)



『#壊れた地球の歩き方』書籍版2巻が発売中です!

Web版にない書き下ろしもいっぱいあるよ!


・本編【大阪なにわダンジョン解放編】には書き下ろし三万文ほど加筆修正

・巻末特典SSは【イコマの休日】

・TOブックスオンラインストア限定特典SSは【イコマ、お好み焼きを量産する】

・電子書籍版限定特典SSは【ユウギリ・ビフォーアフター】

・新規イラスト化キャラはアダチさん、タマコちゃん、ユウギリ(大人バージョン、ロリバージョン)

・さらに巻末にあきづき弥先生のコミカライズ第一話をまるまる収録


ぜひぜひ買っていただけると助かります!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆を押して作品を応援しよう!!

TOブックス様から書籍一巻発売中!!

TOブックス様のサイトはこちら
― 新着の感想 ―
[一言] サイコパス。 端的に言うと、一般社会の倫理常識と大きく異なる常識が根付いた精神病、なのかねぇ(_’ 仮に日本の山奥のとある村で、ローティーンの少女を調教してその他いろいろして良い妻に成形する…
[一言] 逆に考えるんだ。 なんでいやらしいことしてなかった可能性があるんだ?(ニッコリ)
[一言] 鍵をかけろお前らw サイコパス……いるんだろうけど具体的に行動に反映されないとわからんしね?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ