表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#壊れた地球の歩き方 【コミカライズ全3巻発売中!】  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
第一章【古都奪還戦争編/妬まれて追放されたけど、実は『複製』スキルで戦闘から生産までなんでもこなす万能ワーカーでした。今さら帰ってこいと言われてももう遅いです。】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/266

24 『傷舐め:C』再び



 説得にやや時間はかかったものの、ヤカモチちゃんは治療を、つまり『傷舐め:C』の行使を認めてくれた。

 とはいえ、ナナちゃんとレンカちゃんに見守ってほしいと指定したあたり、まだ僕を信用できていないのだろう。

 当然だ。今日会ったばかりの男性を信用できるはずもない。


 保健室内には、ベッドの上にヤカモチちゃん。

 ベッド脇にレンカちゃんとナナちゃん。

 二人とベッドを挟んで反対側に、縛られて芋虫状態の僕が突っ立っている。

 それから保健委員だという『医療:B』スキル持ちの少女が、興味深そうにノートを広げて僕のスキル行使を待っていた。

 「なにかの役に立つかもしれませんから」と、勉強熱心なことである。

 背の低い女の子は持ち場である正門前に戻った。

 戻る前に、いろいろ教えてくれてありがとうと礼を言うと、彼女はふわりと微笑んだ。


「感謝されるようなことではありませんよ、イコマさん。

 淑女として当然の行いをしたまでです」

「とても助かったよ。

 ……そういえば、まだ名前を聞いてなかったね」

「名乗るほどの者ではございません。

 越後のちりめん問屋とでも呼んでいただければ」

「それはもう名乗ってるんだよ。

 結構な大物だと自分から名乗ってるんだよ」

「長いので、越後の『越』、ちりめんの『ち』、問屋の『屋』をとって、えちち屋と呼んでください」

「言いにくいうえに呼びにくい名前を自称するな。

 ……もしかして、キミ、僕のことからかってる?」

「ツッコミのレスポンスがいいヒトって、ボケたくなりませんか?」

「まあ、わからなくもないけど……」

「でしょう?

 感度がいい男のヒトってかわいくてついいじめたくなっちゃいます」


 言い方がまさしくえちちであった。

 ともあれ、僕は芋虫状態でベッドの横に膝をつく。

 ヤカモチちゃんの傷の状態を確認するためだ。

 彼女は恥ずかしそうにガウン型の患者衣の前、おなかの部分だけを開いて露出する。


 痛々しい赤が、そこにあった。


 縫合されているが、赤い筋が三本、腹に刻まれている。

 ナナちゃんと同じ、ギャングウルフの爪で切り裂かれた傷だけど、違いがある。

 傷跡がまっすぐではなく、大きく弧を描いているのだ。


「……切り口が粗いね。臓器は大丈夫だったの?」


 振り返って保健委員の子に聞くと、大きく頷いた。


「ナナを突き飛ばすために勢いがついた状態で裂かれたので、爪がまっすぐ通らなかったようです。

 爪が肌に対して斜めに入ったからか、内臓へ届くほど深くはありませんでしたが、傷口は……」


 なるほど。

 肌を斜めに走った鋭利な爪は、ぎざぎざした粗い傷跡を少女の柔肌に残した――と。


「でもまあ、内臓系に問題はないんだね。安心したよ。

 それなら『傷舐め』でなんとかなりそうだ」

「イコマ様は医療の心得もおありですの?」

「ほんのちょっとだけどね。

 『医療』スキルを複製していた時の経験がある程度だよ」

「……ずるいですわね」

「そうかなぁ」


 レンカちゃんが呆れたように言うけれど、本当に大したものじゃないんだよなぁ。

 ほんとうに、ちょっとした手習いレベルなのだ。


「さて、それじゃ……抜糸と『傷舐め』を並行してやっていこうか。

 傷の範囲は広いけど、三日くらいかければ終わる……と、思う。

 ナナちゃんのおなかの傷も経過観察したいし、もろもろ含めても一週間は欲しいけど。

 ヤカモチちゃん、なにか質問はあるかな?」

「三日で治るの? 信じらんないんだけど」


 まだ懐疑的な目で僕を見るヤカモチちゃんを、「まあまあ」とナナちゃんがなだめる。

 ああ、それと『複製』の依頼も一週間以内に終えられる量にしてもらいたい。

 その旨もレンカちゃんに伝えておく。


「治療の時以外は村の外にいないとダメだよね

 このあたり旧市街だし、なにかしら住める家が見つかるといいんだけど」

「正門に併設された守衛室がございます。

 厳密には校内ですが、中と外の境界にある門の守衛室ならば、わたくしたちの面目も立ちましょう。

 そちらをお貸しいたしますわ。

 ……仲間の恩人にこんなことしかできないのは、大変申し訳ありませんの」

「いやいや、事情はわかるし、屋根があるだけでありがたいよ」

「では、用意させておきますわね」


 まあそれはそれとして、周囲の探索はさせてもらうつもりだけどね。

 さて、それではそろそろ――。


「さあ、ヤカモチちゃん。ぺろぺろしよっか!」

「ナナ、やっぱり絶対ヤバいヒトだって!

 騙されてるって!!」

「大丈夫だよヤカモチ、そのうち必死に舐めてる顔がかわいく見えてくるから」

「ナナ!?」



 ●



 初日ということで治療は二時間ほど行なった。

 終了時、ヤカモチちゃんが真っ赤な顔を両手で覆って「まじありえん。もうお嫁いけん」とバース感あふれるリリックで感想を呟いていたので、


「『傷舐め』なら傷は残らないから、嫁に行けないかもって心配はいらないと思うYO」


 とフォローを入れたらマクラをぶん投げられた。

 解せぬ。




ヒロイン増えてきたけど、本当にヒロインなのかどうか怪しい子しかいない気がする。

おかしい、僕はもっとこう、みんなが待ち望んでいたハーレムラブコメを目指していたはずでは……?


ともあれ「面白い!」「続きが楽しみ!」と思った方はブクマと★!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆を押して作品を応援しよう!!

TOブックス様から書籍一巻発売中!!

TOブックス様のサイトはこちら
― 新着の感想 ―
[一言] ようやくペロペロですか、しかしながらあまりペロペロしませんでしたね。特に二人並べてのペロペロの饗宴が無かったのは残念でなりません。
[一言] もし立ち去るなら傷舐めスキルをおにゃの娘に劣化コピーしていけば百合の園が活性化しますな。
[一言] ボケがあんまりくどすぎると少しって思いますけどまだ序盤だしこれからどうなるのか読んでいきたいと思います。 取り敢えず言えるのは主人公は合法的に女の子舐められて、下着も触れるのは完全に役得です…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ