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#壊れた地球の歩き方 【コミカライズ全3巻発売中!】  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
第一章【古都奪還戦争編/妬まれて追放されたけど、実は『複製』スキルで戦闘から生産までなんでもこなす万能ワーカーでした。今さら帰ってこいと言われてももう遅いです。】
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20 到着、聖ヤマ女村



 サクサクと旧国道を進む。

 一人旅ならモンスターは迂回して進むけれど、今日はナナちゃんがいる。

 『スピード強化:B』と『薙刀術:B』を持つ彼女の戦闘力は、やはり規格外だ。

 レイジに匹敵するだろう。


「いや、コレはお兄さんのおかげだよ!」


 と、ナナちゃんは少しテンション高めに言う。

 二メートル超の尻尾を鞭のように扱う猿型モンスター、ウィップヒップに長槍ヤソウマキ改・レプリカを叩き込んだ直後だけど、疲れた様子はない。


「あのね、基本的に武器って『消耗品』なんだよ。

 でも、一人の人間が持てる武器の数なんて高が知れてるじゃない?

 だから、上手い人ほど一本の武器を長持ちさせられて、一番長く戦場に立ち続けられる。

 だけど……その槍は違うじゃん」


 ナナちゃんは僕の手に目をやった。

 刃先まで含めて約三メートルの武装。

 長槍ヤソウマキ改・オリジナル。

 ナナちゃんが戦闘で扱うのは『複製』で生み出した模造品だ。


「ああ、そっか。僕のは使い捨てだもんね。丁寧に扱う必要もないし」

「そういうこと。

 骨格削っての心臓狙い。

 あるいは頭蓋を砕いて脳狙い。

 どちらも必殺攻撃だけど刃こぼれは覚悟しないといけないし、骨に突き刺さった得物を引き抜けなくなると『その次の戦闘』は武器無しで戦わないといけなくなる。

 上手に戦った場合でも、脂肪や血肉が武器の切れ味を鈍らせるから、一戦ごとに立ち止まってメンテナンスする必要があるの。

 普通の旅であれば――だけど」


 僕らは一戦ごとに怪我等がないかのチェックはするけど、武器のメンテナンスを行うことはない。

 レプリカはその辺に捨てていくし、オリジナルは無傷だ。


「そして、最初から使い捨て前提なら『武器を捨てた攻撃』ができる。

 普通なら『最後の一撃(ラストアタック)』覚悟の攻撃が使い放題だもん。

 弱いわけないよ」

「ははあ、それは凄いなぁ」

「すごいのはお兄さんだって話だよ?

 なんで他人事みたいに言うの」


 呆れたように言われるけれど、自分ではあまり自覚がない。

 僕自身の武器術はどう足掻いてもCランク止まりだし、武器術スキルを複製していない場合、それ以下の手習いレベルにまで落ちる。

 達人なら五十人斬れる刀であっても、僕は二、三人斬っただけでダメにしてしまう。

 だからこそ、刀の方を増やして対応するしかないだけなのだ。


「ナナちゃんの場合、達人が無限の刀を得た状態といえるんだね」


 現状をそう言い換えると納得できる。

 弱いわけがないな。


「『複製』はバランスブレイカーだよ。

 お兄さんさえいれば、あらゆる面でリソース問題が解決するもの。

 ……というわけで、ハイ。次の槍ちょうだい。

 できれば槍より薙刀の方がいいんだけどね」

「ないものは増やせないのが、『複製』の欠点だよね」


 手早く増やした長槍ヤソウマキ改・レプリカを手渡す。

 ナナちゃんは柄の中ほどを持って担ぎながら、苦笑した。


「ないものまで生み出したいっていうのは、ぜいたくすぎるよ」


 そう言われると返す言葉もない。


 ともあれ、僕らは予想以上の速度で進んだ。

 割れたアスファルトと盛り上がった木の根っこを乗り越えながら、予定の倍近いペースで進むことができたのである。

 夜は火を焚いて、順番に見張りをしながら眠った。

 そして翌日の昼前に、大きな塀で囲まれた敷地の前に辿り着いたのである。


「ここが女の子しかいない村か。

 いろいろ見て回りたいけど、とりあえず全部後回しだ。

 人命救助はなにものにも優先されるからね!

 さあ、早くギャルのおなかをぺろぺろ舐めまわしに行こうか!」

「言い方が最悪だね、お兄さん!」


 聖ヤマト女子高等学校集落――聖ヤマ女村。

 男子禁制の花園に。




薙刀などの長物系の武器は振り回しや叩きつけが強いんですよね。

遠心力が加わるので、見た目以上の威力が出るそうで。


「面白い!」「続きが気になる!」と思った方は、ブクマ、★、感想、レビュー、その他をよろしくお願いいたします!!


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― 新着の感想 ―
[気になる点] スキルの複製は他人やモンスターのスキルを自分に複製するだけ?他人に自分のスキルを複製させることができないんですか?
[良い点] ぺろぺろ [一言] 持ちネタにしてて草w
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