22 固くて大きいやつ
投稿日間違えて二話更新してます……!!
前話からお読みください!
朝廷本部の幹部寮に戻ると、やけにしっとりしたレンカちゃんが共有スペースのソファに座って本を読んでいた。
同じく風呂上がりらしい。
寝間着で本を読む姿がかなり様になっていて、やっぱりお嬢さまだと実感する。
読んでいる本も難しそうな英語のハードカバーだし。
なお、タンバくんは「早寝早起きが大事です! 明日になったらユウギリのところへ行きましょう」と言い残してさっさと寝た。
「あら、イコマさま。険しい顔をなさっておられますわね」
「ごめん、読書の邪魔をしちゃったかな」
「いえ。難しい本のカバーをかけているだけで、中身はエロ本ですの」
「部屋で読め」
なにやってんだ、幹部寮だぞ。
……まあ、気心の知れたひとたちしかいないといえば、そうだけれども。
「あ、そうだ。明日はユウギリのとこ行くけど、なにか聞いておくこととかある?」
「ユウギリのところに?」
「うん。たぶん気のせいなんだけど、なんか竜の鱗みたいな形のあざ……できもの……? みたいなのができちゃって」
「あら。『竜種』の悪影響でしょうか。見せていただいてもよろしくて?」
「ちょっと見せづらい場所にあって」
僕は軽く足を開いて太ももの内側を指さした。
「このへんなんだけど、固くて大きいのができちゃってさ」
「固くて大きいのができちゃったんですの? まあ! 少々お待ちくださいませ」
レンカちゃんがにっこり笑って本を閉じ、女子の部屋が並ぶほうへ向かった。
ややあって、ナナちゃんとカグヤ先輩とヤカモチちゃんを連れ帰って来た。
「それじゃ、もう一度最初からお願いいたしますの」
「うん。なんか、このへんに固くて大きいのができちゃってさ。それをユウギリに見せに行こうかと思って」
カグヤ先輩が床に崩れ落ちた。
「いっくんが……変態になっちゃったよぅ……!」
「カグヤさん、それは最初からだよ」
「イコマっちサイテー」
最初からっていうな。
なんだなんだ、なぜいきなり責められるのか。
「ていうか、あれだけ毎日私たちに襲われておいて、いまさら無知シチュは無理があるでしょ。なに、固くて大きいのって。どうせなら黒くて太いも付け加えなよ」
「いや、色は青っぽい感じで」
ナナちゃんがのけぞった。
「青……!? え、なに!? 襲いすぎて色変わった!? どうしようヤカモチ、お兄さんが変になっちゃった!」
「ナナ、それは最初からだよ」
「いっくん病院行こう」
ローテーションするな。
確実になにか勘違いされているようだ。
「あの、アレだよ? 太ももの内側に竜の鱗みたいなできものができたっていう話で、変な意味じゃないからね?」
「……それはそれでとっても大変なことだよぅ」
カグヤ先輩が真面目な顔になった。
「見せてもらってもいい?」
「え? あ、はい。……ちょっとお見苦しいかもしれませんけど」
寝間着のジャージの下を限界までまくり上げて、右足をソファの上に置いて内ももを見せる。
「ここの……」
「ちょっと待ってお兄さん! なにその見せ方!」
ナナちゃんが首を横に振った。
「え? あ、もしかして見にくい?」
「違うじゃん! こういうときは……!」
ぐっとこぶしを握り締め、ナナちゃんが力強く断言した。
「パンツ一丁でM字開脚がマナーでしょ……!?」
「ナナちゃん、それどこの世界のマナーなのかな?」
クソマナー講師もびっくりの新常識を展開するな。
「あえていうなら夜の世界だよぅ」
「あえていわなくていいですよ、カグヤ先輩」
「夜の世界!? いやらしいですわね!」
「そうだね(ツッコミ放棄)」
「イコマっち、下着はどれがいいし? やっぱりフリルつきで勝負感あるやつ? 上下セットで揃えとかないと恥ずかしいからね」
「ヤカモチちゃんまでネタに走らないで。……いや違う! ガチの目だ! ついに下着を着せようとして来たな!?」
だめだ、わちゃわちゃしてきた。
収集がつかない。
「ていうかもう、部屋に無理やり連れ込んで服剥いて足開かせればよくない? いつもやってることじゃん」
ナナちゃんの最悪なセリフで一致団結した女子衆からダッシュで逃亡を図った僕であった。
★マ!
うーん、やっぱり硬派だなぁ。
書籍版第一巻、来月に発売が迫っております!!
印税がたくさん入ったら男の娘が在籍するお店に行けるので、なにとぞよろしくお願い申し上げます。
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