表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
#壊れた地球の歩き方 【コミカライズ全3巻発売中!】  作者: ヤマモトユウスケ@#壊れた地球の歩き方 発売中!
第四章【カグヤ朝廷冬休み編/魔剣抜刀《マジックソード・ジェネレーション》】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

185/266

15 魔道具について



「発電する魔道具……です、か」


 マツシタさんが、長い前髪の奥からじっとフジワラ教授を見つめた。


「可能、です。ただし、発電機としての活用は、む、むずかしいと思い、ます」

「なぜかね?」

「魔剣や魔道具の使用には、魔力が必要、です。発電する魔道具は、つまり『魔力を電力に変換する魔道具』に他なりま、せん」

「……なるほど。使いにくいな、それは」


 教授がちらりと僕を見た。

 ドウマンから『竜種』を譲り受けた僕は、魔力を持っているし扱える。

 ランクはB。達人級の魔力を所持しているわけだけれど。


「その魔道具を作ったとして、街ひとつをカバー可能するために必要な魔力量はどれほどかね?」

「作ってみないことには、わかりま、せん。ただ……古都ほどの大きさの街になると、おそらく、ジブンと同じBランクが複数人は必要なのではないかと思い、ます」


 ふむ。マツシタさんも魔力はBランクらしい。

 ということは、僕がふんばったところで、なにも変わらないわけだ。

 よしんばキヨモリから手に入れた魔石で『竜種』を強化してAランク相当の魔力を手に入れたとしても、人口増加に伴ってカバーしきれなくなっていくだろう。

 もどかしい。

 教授が、ふぅ、とため息を吐いた。


「そう簡単には解決しないか。いや、失礼。つい夢を見てしまった」

「いえ。お役に立てず、申し訳ありませ、ん」

「きみのせいではない。むしろ、貴重な知見をいただけた。感謝する。ありがとう、マツシタくん」


 紳士的に頭を下げて、教授は僕を見た。


「だが、いいヒントにはなったな。『科学技術ではない側面から電力問題の解決を目指すアプローチ』も考慮に入れねばなるまい。イコマくん、潜在的に魔力を持つ人間もいるのだと言っていたね」

「ええ。ユウギリから聞いた話では、そうです。もっとも、現代で魔法を行使できるレベルの魔力量を継承している人間は、ほとんどいないそうですが」


 なお、正しく言えばユウギリからタンバくんが聞いた話を僕がまた聞きした形である。

 いわゆる親子そろって霊感のあるひとや神職一族などが「魔力を継承している」のではないか、とレンカちゃんは考察した。


「一部の人間しか使えない発電機では、意味がないな。魔道具方面から解決するのであれば、同時に『だれもが魔力を生み出せる』環境と、『魔道具を製作し整備する技術の継承』が必要だ」


 教授がさらりと言った言葉に、黙ってお茶を用意していたえちち屋ちゃんが首をかしげた。


「技術の継承など、可能なのですか? ドワーフであるマツシタさまだからこそ、魔道具の製作ができる……と思ったのですが」

「……僕はね、竜の作った『スキル』とはすなわち、過程を省略して結果を出力するものだと思うんだ」


 なんだか難しい言い回しだ。

 首をかしげる僕らに、教授は苦笑する。


「イコマくんの『複製』は大量生産の過程を省略し、結果としての複製品を生み出せるだろう? ナナくんの『薙刀術』も、修行の過程を省略して腕前を手に入れているといえる」


 教授はお茶を受け取って一口飲み、唇を湿らせた。


「ならば――スキルとは、人間の可能性の延長線上にあるものを先取りしているだけではないか、と思うんだ。SF作家も言っているだろう、『十分に発達した科学技術は魔法と見分けがつかない』と」

「ええと、つまり……修行次第で、スキルなしでも魔法が使えたりする、と? そういうことですか?」

「そうだ。というか、魔力を継承している血筋があるのならば、むかしむかしの人々は僕たちよりももっと魔法に詳しかったのかもしれないね」


 ちょっと飛躍している気もするけれど、おもしろい考察だ。

 魔法をスキルなしで扱えるようになれば、完全に埋まってしまっている僕のスキルスロット問題も解決できるし。

 ちなみにいま持っている『複製:A』『竜種:B』『傷舐め:A』『統率:C』『粘液魔法:C』『幻覚魔法:B』の六つは、希少価値の問題から外せない。

 なんとかする方法も考えないとな……。


「余裕があれば、魔力を持つ住民に魔法の訓練をしてもらうのもアリかもしれませんね。できるかどうかはわかりませんけれど、各自が粘液や幻覚を使えれば、心強い戦力になりますし」

「兵部所属らしい考え方だね」


 教授は苦笑して、「だが、それもまた難しいだろう」といった。


「そもそも、魔力を持つ住民を探す方法すらわからないのだからね。なかなかどうして、たがいにいろいろとうまくいかない日だね、今日は」

「そうですね」


 僕も苦笑して、顔を見合わせる。

 そのとき、僕のとなりからぶわりと熱波が沸き起こった。


「わ! 見て見てお兄さん、魔剣からちょっと炎出た! うわ熱! あぶな!」


 ナナちゃんがはしゃぎながら燃え盛る魔剣を掲げた。

 写真を撮りながらいろいろこねくり回すうちに、魔力を通してしまったらしい。

 うん。なるほど。


「ありましたね、魔力を持っている住民を探す方法」

「冷静に語る前に、まずはナナくんを落ち着かせてくれないか。道場に火が燃え移る前に」




★マ!


ちょっと余裕できたからがんばって毎日更新続けていきます!

感想、レビュー、書籍版の予約等で応援してくれたら嬉しいぞ!!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆を押して作品を応援しよう!!

TOブックス様から書籍一巻発売中!!

TOブックス様のサイトはこちら
― 新着の感想 ―
[一言] スロットを増やすのとスキルを統一合成するのとどっちが現実て……竜ってスキルを与えてるけど自分が持ってるのを分け与えたわけじゃないよね?もしかして、竜種Bでも自分のスキルへの干渉くらいはできる…
[一言] 触ると自動で魔力絞ってつく懐中電灯を作れば……よくある魔力測定クリスタルさんでもいいけどw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ