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第四章【カグヤ朝廷冬休み編/魔剣抜刀《マジックソード・ジェネレーション》】

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13 魔剣鑑賞



「では、まずは種族スキル……『ドワーフ種』の実演をし、ます」


 マツシタさんが、ポケットから小さな木材を取り出した。

 幼児用の積み木みたいなものだ。

 それから、手のひらサイズのナイフも。


「これを、こうし、ます」


 そして、ナイフで木材を削り始めた。

 十秒くらいで手のひらサイズのナナちゃん人形が出来上がる。


「……ん?」


 首をかしげる。あれ、目の錯覚かな?

 ナナちゃんもえちち屋ちゃんもフジワラ教授も、「んん?」みたいな顔で首をひねっている。

 ほんの十秒で、薙刀を持った少女の木製人形が……できた……?


「これが、ドワーフ、です。ものづくりに対する補正があり、ます」


 マツシタさんが道場の畳にナナちゃん人形を置いた。

 そのまま、畳に落ちた木くずを手で拾い始める。

 実演は終わり、ということらしい。


「……たまげたな。種族スキルによる補正、これほどのものとは。ほかにはどんなものが作れるのかね?」


 フジワラ教授の疑問に、マツシタさんが目を泳がせる。

 ごみを拾いきって、無造作にポケットに木くずを突っ込んでから、言った。


「あと、魔剣や魔道具を作れ、ます。……キオ、魔剣を出してくだ、さい」


 ぬるり、とマツシタさんの影から木と鉄の腕が伸びあがって、例の真っ赤な魔剣を畳に置いた。

 急だったのでびっくりした。

 ……あの影のスキル、便利だな。あとで複製させてもらおうかな。


「ありが、とう」


 マツシタさんの礼に応じるように、ざりざりと錆びついた音を立てて、腕が影に引っ込んだ。

 ふと見れば、フジワラ教授が目を白黒させている。

 そっか、見るのはじめてだもんね。


「……いやはや。不思議なことには慣れているつもりだが、まだまだたくさんあるものだね。いまの人形も、マツシタくんの作品なのかね」

「作、品? 違います、キオはジブンの……」


 言葉の途中で、マツシタさんが胸を押さえた。

 呼吸が荒い。ナナちゃんが慌てて立ち上がりかけたけれど、それより早く、フジワラ教授がすっと頭を下げた。


「いや、すまない。僕の発言がよくなかったようだね。キオくんは作品などではなく、もっと大切なものなのだね。配慮が足りず、失礼した」


 マツシタさんが目を丸くして、頭を下げたフジワラ教授をおずおずと見た。

 呼吸はましになっている。

 急に教授が頭を下げたから、そっちにびっくりしたのだろう。


「……はい。いえ、こちらこそ、慌ててしまって、すみま、せん」

「謝ることはないとも。特に、譲れないものがあるときは」


 教授が僕に目配せをした。

 これはあれだな。話の流れを変えろ、というやつだな。


「それじゃ、マツシタさん。魔剣を見せていただきますね!」


 努めて明るく言って、畳に置かれた魔剣を手に取る。

 剣としては異形。奇妙に捻じれた刀身は、まるで爬虫類のよう。

 実用性よりもロマンを追い求めた見た目というか、いかにも『魔剣』といった風情。

 柄を握って、その重さに驚く。

 これ、僕でも振り回せるか怪しいぞ。

 両手で持って、なんとかいける程度。

 ……まあ、二メートル越えのキオのサイズの武器だから、当たり前か。


「魔力を通せば、炎と熱が出ます。原材料は、魔石と……鉄など、です」


 ちょっと失礼して、少しだけ魔力を通す。

 刀身が真っ赤に輝いて、ぶわり、と高温が発生した。

 うわ。顔が熱い。

 慌てて魔力を切る。

 これ、使う側が耐火性能ないと使えないんじゃないか?

 ……あ、そっか。だからキオの武器なのか。

 写真を撮りたがるナナちゃんに魔剣を渡して、マツシタさんに向き直る。


「すごいですね! 僕も『竜種』の特殊能力が扱えるはずなんですけど、ぜんぜんうまくいかなくって。参考までに聞きたいんですけれど、魔剣を作るって、どういう工程なんですか? どういう原理で、どういう理屈で成立する技術なんでしょうか」

「げ、原理? 理屈です、か……?」


 マツシタさんは困ったように眉を寄せて、首をかしげた。


「でも、ドワーフって、そもそもそういうものです、よね? 理屈とかあるの、ですか?」




★マ!



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 赤ん坊はどうしようと考えて呼吸をするわけではない、ということか? ユウギリが言う通りならイコマが自分で会得しなきゃ駄目なわけだ。
[一言] とりあえず火を吹こう(提案) これができれば他もどうにかなる気がする。
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