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第四章【カグヤ朝廷冬休み編/魔剣抜刀《マジックソード・ジェネレーション》】

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10 種族スキル



 おおよその流れを説明し終えると、ユウギリはうんうんと鷹揚にうなずいた。


「あー、種族スキル、のう。あるいは複合スキルと呼ぶべきかもしれんが、まあよい」


 複合スキル?


「僕の『竜種』みたいに、いくつかのスキルを内包しているってこと?」

「まったく使いこなせておらぬのに『僕の』とか言うな。もともと貴様のものではなかろう、簒奪者めが」


 ユウギリがフンと鼻を鳴らして、差し入れのチョコ菓子を頬張った。

 僕の文句いうなら食うなよ。


「よいか? もとより、スキルは竜がヒトに与えたものよ。その本質は『想像力が現実化した現象』じゃ。現代風にわかりやすくスキルの形をとっておるがの」


 人間の想像力が竜を生み、竜がスキルを作った、というのは僕らにとっては周知の事実。

 では種族スキルとは……複合スキルとは、なにか。


「ひとりにつき六つのスキルスロット。それが生物の限界じゃ。その限界を超えた数のスキルを宿せば、生物の形を保ってはおられん。ゆえに……ひとつのスキルに複数の効果を詰め込み、与えるわけじゃ。人間の枠からは外れるが、生物のままではいられるのう」

「……つまり、マツシタさんは複合的なスキルを与えられた結果、人間からドワーフになった、と?」


 なんか、よくわからない理屈だ。

 てきとう言ってんじゃないだろうな、この駄竜。


「ま、ようするにスキルのパッケージじゃよ。『ドワーフ種』の場合はタフネス、パワー、魔力に補正値がかかり、製作系技術に補正を得て、魔道具なども作れるようになる。その代わり、肉体がドワーフのものへと変ずる、と」

「……元には戻せる?」

「無理ではなかろう。種族スキルは竜が手ずから人間を変容させることで備わるもの。天変地異のあと、ランダムにばらまかれたスキルとは別物じゃ。……わらわが大阪でやったこと、おぼえておるか?」


 ユウギリが唸りながら腕を組んだ。


「あのとき、わらわはタマコに鱗を与えたように、竜は『種族』を与えられる。そして、わらわは自らの『竜種』を可能な限り削ぎ落して、このような体となった。逆にいえば……」

「……マツシタさんから『ドワーフ種』を削ぎ落せばいいのか」

「理屈の上ではそうなる」


 ははあ。


「つまり、竜ならできるってことか。おまえみたいに弱体化していなければ」

「弱体化させたのは貴様じゃろ! くそが!」

「口が悪いですよ、ユウギリ。謝ってください」

「ごめんなさいなのじゃ!」


 素直か。

 ごほん、とユウギリが咳を打った。


「そもそもな。竜なら可能というか、本来、竜に不可能はない。人類の想像力が無限である以上、その現実改変能力も本来は無限であるのじゃ」


 駄竜は腕を組んだまま、僕をじっと見た。


「つまり、イコマよ。マツシタなるドワーフを元に戻せるとすれば、おぬししかおらぬじゃろ」


 タンバくんと刑務官さんも僕を見た。


「……え、僕? なんで?」

「『竜種』もまた複合スキル、単なるステータス補正スキルではないわ。現実改変能力こそが『竜種』の本質じゃ。――言ったであろう? おぬしはまったく使いこなせておらぬ、と」




★マ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔石とか配下生成とかスキル付与はダンジョン管理スキルとかそう言うのだと思ってたけど。 竜種スキルって要は、七つ玉が常にそろった状態で願い叶えちゃうよってこと?(_’
[一言] あれ?これうっかり竜種を強化したら、各ダンジョンのドラゴン並みのことができるポテンシャルがあるぞって事では……。
[一言] つまりレベルとイメージ力を上げればあんなこともこんなことも……?
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