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第三章【京都ダンジョン遠征編+古都ドウマン模擬戦争編/ニンジャ・ヒーロー・コンプレックス】

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39 マダム・イッシャクの終焉



 さて、第一ステージとおぼしき『マダム・ハッシャク』は、グリッチで無事に無効化できた。

 『シャッフル』等のややこしいギミックもなし。

 ただ、どうやら霧の中では電波が狂うらしく、無線での交信が不可能だった。集団での攻略を前提にしていた僕らにとって、通信を邪魔されるのはかなり厳しい。

 とはいえ『マダム・ハッシャク』は固定済み。第一階層での行動は、ひとまず安心していいだろう。

 キヨモリが去った数時間後に、人数を増やしてダンジョンに潜りなおした。

 念のため、僕がマダムを監視しつつ、町屋や屋敷が並ぶダンジョン内を捜索してもらった結果、いくつかの祠を発見した。


「……これ見よがしな祠が七つと、そこから七枚のお札が見つかった、と」

「ダンジョン自体の材料が、もとはこのあたりにあった街並みだからか、廃材はいろいろ見つかったけどね。いかにも幽霊が追っかけてきそうな座敷とか板張りの廊下とかいっぱいあったけど、なにも追っかけてこなかったの」


 ハッシャクがここで固定されているからだろうね。

 ともあれ、ナナちゃんたちが走り回って見つけてくれたお札がキーだ。

 第二ステージへの道らしきものは見つからなかったので、このお札をどうにかするのだろう。


「とりあえず貼ってみるか」


 マダムを封じた土の山を少し掘り、危険が比較的少なそうな足の先を露出させる。

 異様に真っ白な素足にお札を張り付けると、足がびくびく震えて、お札が消滅し、足が少し小さくなった。


「……弱体化のお札なの?」

「だとすれば、ぜんぶ貼るとコイツ死ぬのかな」


 残り六枚も貼ってみると、土の山がどんどんと沈んでいき、マダムの足は完全に土に隠れてしまった。

 土越しに『鑑定』で調べてみると、マダム・ハッシャクが『マダム・イッシャク』に変化していると判明。

 お札一枚ごとに一尺ずつ縮んでいたらしい。一尺といえば、三十センチほど。小人サイズである。


「よし、それじゃあ土を掘り返して倒そうよ」

「待って、ナナちゃん。しばらく待ってみよう」


 怪訝な顔をするナナちゃんを横に置いて土の塊を見守っていると、やがて名前の表示も消えた。


「……土、重いからね……! 圧死か窒息死かはわからないけれど、これなら安心安全だよね!」


 ルール上の無敵も、お札で解除される仕組みだったのだろう。ありがちなギミックだ。

 半目のナナちゃんたちを無視して、念のため土の山を掘り返してみると、魔石がごろりと出て来た。

 ランクはB。ありがたく保管しておく。

 半目のタンバくんが「ともあれ」と呟いた。


「手段はどうあれ、中ボスを、つまり第一ステージのボスを倒した……と、考えていいのでしょうか」

「奇しくも骨シカのときを思い出す倒し方なの。お兄さんのやり方、達成感が薄くてわかりづらいけど」


 うるさいやい。

 ともあれ、第一ステージはこれで攻略できた。

 今度は僕も一緒に探索したところ、石畳の奥に、新たに鳥居と石階段が形成されていると発覚。

 第二ステージが出現していた。

 さっさと進んで、あのぬらりひょん野郎の顔面をぶん殴ってやりたいところではあるけれど、安心安全が僕のモットーである。


「索敵、ナナちゃん頼める?」

「ん。ちょっと覗いて、様子を見て来るね」


 鳥居をくぐった先に、次はどんな難関が待っているのか。グリッチが通用するといいんだけど。

 ナナちゃんを送り出して五分後、彼女は微妙な顔をして戻ってきた。


「第二ステージなんだけど、ちょっと厳しいかも」


 彼女はなにやら黄色い体液にまみれた薙刀を僕らに見せた。


「次、ゾンビパニックホラー」


 ……。

 まじかぁ。




アナタは何尺が好き?

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― 新着の感想 ―
[一言] 全部だ…!(世紀末救世主感)
[一言] イッシャクちゃん「ぽーっ! ぽーっ!!(お怒り&涙目)」 がちっちゃくなったことでできた隙間から這い出てくるなんて展開はなかったw 五尺くらいでいいんじゃないかな? まあ八尺の人というのも…
[一言] 介錯でなければ・・・
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