20 攻略派兵団、出立
会議の二日後、攻略派兵団は都市国家ドウマン、カグヤ朝廷を発った。
総数五十三名の兵士を率いる総大将は僕。副将はナナちゃん。食客タンバくん。
十人の小隊が五組で、うち三組が工兵隊。装備は自衛隊基地の廃墟から掘り出したボディアーマーや防弾ベストを『複製』した量産品だ。
ただし、それぞれの胸には竜を模したロゴ……カグヤ朝廷のワッペンを入れてある。
収穫祭で神事ならぬ竜事をおこなったように、この街のシンボルはドウマンだ。
彼を乗り越えた実績を誇りにして、忘れないために。
「はやく帰ってきてね、いっくん」
「先輩もご無事で。無理はしないでくださいね」
カグヤ朝廷本部の芝生の上、整列させた部隊の前だ。
簡素に別れを告げて出発を――しようとしたら、カグヤ先輩が「ん……っ」とおとがいを上げて、瞳を閉じた。
これは……あれか? その、行ってきますのちゅーか? ここでしろと?
みんなが見ている前で?
まあでも、しないわけにはいかないので、恥ずかしながらした。
「えへへ……」
と、はにかみながらカグヤ先輩が下がると、次に照れ顔のヤカモチちゃんが出て来た。
うしろにはすまし顔のレンカちゃん、赤面したミワ先輩と、ミワ先輩の腕をがっしり掴んで逃がさないようにしているアキちゃんが並んで、列ができていた。
「……あの、みんな正気……?」
「当然だし」「当たり前ですの」「……ウチは、その……」「ぜったい必要な行為です」
兵士たちにひゅーひゅーと冷やかしの声をかけられつつ、非常に恥ずかしく思いながら部隊の前に戻ると、ナナちゃんが「んっ……」と顔を上げた。
「……いや、行ってきますのちゅーなんだから、ナナちゃんは違うでしょ」
言うと、ナナちゃんが無理やり僕の頭を抱え込み、強引に唇を奪われた。もう好きにしてくれ。
「ぷはぁ。よし、それじゃ行こうかお兄さん! ……お兄さん? なんでそんなに疲れた顔をしているの? まだ出発前なのに」
「いや、気力をたくさんもらえたのは間違いないんだけれどもね……?」
この疲れを理解してほしい、と思いつつ部隊に前進指示を出し、出発する。
整備しかけの街道を進んでいると、タンバくんがシュッと隣に来て、ジト目で僕を見た。
「不埒です。やっぱり不埒すぎです。あんなにたくさんの女性といちゃいちゃするなんて、羨ま――間違えました。英雄たるもの、ハーレムは正しくない状態だと思います」
そう言い捨てて、またシュッと先頭部隊に走り去っていった。
うん、まあ、気持ちはわからんでもないけれど、英雄じゃないし許してほしい。
話ごとの文章量がぜんぜん違うの笑えますね(無責任な言動)
おもしろかったら★マ!
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