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第三章【京都ダンジョン遠征編+古都ドウマン模擬戦争編/ニンジャ・ヒーロー・コンプレックス】

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16 会議の始まり



 タンバくんがジャパニーズトラップに引っかかり心に深い傷を負った翌日。

 僕とナナちゃん、自由騎士卿に召集がかかった。

 廊下を連れ立って歩き、会議室に向かっていると、ナナちゃんがジト目で僕を見た。


「……お兄さん、昨日ああいうことがあったのに、今日もばっちり女装なんだね」

「いや、その、違うって」


 襟に青色の徽章をつけた、軍服風のワンピース。

 カグヤ朝廷のデザイナーがノリノリで作った礼服である。


「他勢力が絡む仕事だから、ちゃんと礼服で来てって言われたの」

「女性用である必要はないじゃん。ツーピースの男性用、あったでしょ」

「え? 僕、女性用しか渡されてないよ?」

「それはまた、てきとうな仕事をしたやつがいたんだね。だれが服を渡しに来たの?」

「ナナちゃんだよね。もう忘れたの?」


 言うと、ナナちゃんは三秒ほど「そうだったっけな」の顔をしてから、真顔でうなずいた。


「私を責める前に、お兄さんに新たな扉を開かせたヤカモチを責めるのはどう?」

「別に責める気はないけど……」

「ないの? 私と一緒にヤカモチを責めようよ、ねっとりと。きっと楽しいよ?」


 さては反省してないな?


「あのね、ナナちゃん。昨日、タンバくんに指摘されたのは勘違いからだけれど、指摘自体はそう的外れでもないんだよ。特に、その……ちょっと一般的な倫理から離れた男女関係というか」

「私たちがお兄さんを通じて竿姉妹になってしまったこと?」

「考えつく限り最悪の表現をするんじゃないよ。せめてハーレムとか言ってよ、青少年の健全な育成にそぐわないって、放送禁止になっちゃうでしょ」

「それが理由で放送禁止になるなら、お兄さん本人を映せないじゃない。昨日、いたいけな青少年に一生残る思い出刻んじゃったでしょ。もう全身にモザイクだよ、モザイク。ていうか放送ってなに」


 などと、いつもてきとうに話しながら会議室に向かうと、扉の前に背の低い人影があった。

 ゴーグルとマフラーが特徴的なタンバくんだ。

 彼は僕をちらりと見て、すぐに視線を落とした。


「おはよう、タンバくん。昨日はごめんね?」

「おはようございます。……どうして今日も女装なのですか。しかもそんな格好で」


 そんな格好って。まあたしかに、コスプレじみた服装ではあるけれど。


「カグヤ朝廷の礼服なんだ。かっこかわいいでしょ」

「……困ります」

「あ、そうだよね」


 昨日、恥ずかしい勘違いをさせてしまったところなのだ。

 僕が女装していたら、そりゃ困るよね。申し訳ない。

 タンバくんの目線にあうよう少し腰をかがめて、正面から彼の目を見た。


「――ごめんね?」


 タンバくんは顔を真っ赤にした。


「そ、そういうところが! 困るんです!」

「えっ、えっ? ごめん……」

「お兄さん、わざとやってない?」


 ナナちゃんが呆れたように言って、おもむろに僕のスカートをぺらりと捲った。


「うわぁああああ! なにするんだよ!」


 慌てて両手でスカートを押さえる。Bランクのスピード補正値を全力で行使してしまった。見えたとしても一瞬だっただろう。

 いや、タイツの下は男物のスパッツだから、見られたからといってどうということはないんだけれども。


「タンバ少年、これはお兄さんからキミへの謝罪のパンチラだよ。ほうら、嬉しいでしょ」

「嬉しいわけないでしょ、男のスカート捲りなんか見ても! ね、タンバく――」


 少年は鼻を押さえて上を向いていた。


「タンバくんッ?」

「すいません、ちょっと……鼻血が……」

「つやつやのタイツは少年には刺激が強かったかー。わかるよ、お兄さんのタイツはえっちだもん」

「ナナちゃんは早急に反省して!」


 とにかく、タンバくんの鼻血を止めないといけない。

 僕は医療知識を思い出しつつ、少年の首に触れた。


「ふぁッ!」

「タンバくん、鼻血が出たときはつい上を向いてしまうけど、実は少し下を向いたほうがいいんだ」


 両手を顎に添えて、タンバくんの顔をそっと俯かせる。


「それから、鼻の付け根のあたりを指でつまんで圧迫して、血を止め――なんで出血が激しくなるんだ? 処置はあっているはずなんだけど」

「困ります……!」

「そういうとこだよ、お兄さん」

「閃いた! 『傷舐め』の唾液を鼻腔に流し込めば一発で止まるじゃん! タンバくん、鼻舐めてもいい?」

「はい! ぜひお願――じゃないです! 違います! 困りますッ!」

「そうだよお兄さん、ぺろぺろは人生を狂わせるから、トップぺろられストのヤカモチに許可を出してもらわないと」


 わちゃわちゃやっていると、扉が少し開いて、レンカちゃんが顔を覗かせた。


「あの、先ほどからなにを――まあ! 女装おにショタですのね! 写真を撮ってもよろしくて?」

「話のややこしさに拍車をかけないで」

「それじゃ、さっさと部屋に入ってくれや。もう開始時刻すぎてるぞ、オイ」


 レンカちゃんの頭の上に、ひょっこりとミワ先輩の顔が出て来た。

 じとー、と半目で睨まれ、僕らは三人で「ごめんなさい」して室内に入った。

 会議が始まる。




罪な女(♂)



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― 新着の感想 ―
[良い点] おもしれ―女(おとこ)
[良い点] 実はおにショタは大好物です もっとちょうだい [一言] 日記ともイチャイチャしてほしい(よくわからん嗜好
[一言] ここまで人の性癖を曲げれるのなら女装するだけでアフタードラゴン無双できそうw
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