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悪役令嬢に転生して傍若無人の限りを尽くしたかったけど、空きがないと言われたので極悪聖女を目指します!  作者: 藤谷 要
第七章 密偵魔王

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お食事会

主人公のクリスです。

 ちょうどお昼を告げる鐘の音が、わたしの家の中にも響き渡ってきた。


 もうすぐウィルフレッド様がいらっしゃる頃だわ。


 テーブルの上には真っ白なクロスが敷かれ、色とりどりの切り花が飾られている。ナプキンやフォークやナイフなどのカトラリーも席に置かれている。

 もう準備はばっちり。あとはお客様が来るのを待つだけ。


 前に馬車の中で事故とはいえ、うっかりウィルフレッド様の前でお兄様にキスしてしまったのよね。

 そのとき、口止め料として食事会にご招待するって約束したから、本日ご招待したの。


 王女とトラブルが起きたときに彼が国王陛下へお口添えしてくれたから、そのお礼をしたい気持ちも込めてね。


 けれども正直、彼は良い人だけど攻略キャラだから、あまりお近づきにはなりたくなかったのよね。


 でもね、発想をあえて変えて考えてみたの。これはチャンスだって。

 そう、ウィルフレッド様の師匠のオルバート夫人よ。

 彼を口実にすれば、彼女にも声を掛けやすかったの。

 魔法具について夫人とお話したかったから。

 有能な方だから、わたしも彼女とコネを作っておきたかったの。

 目指せ自前オーブン!ってことで。


 ふふふ。我ながら悪女らしい悪巧みだと、ほくそ笑んでいたんだけどね。

 ところが、夫人は残念ながら突然キャンセルになっちゃったの。高貴な方から依頼が急に入ってしまったと魔法具で謝罪の手紙が届いていた。


 お父様も同席するはずだったのに急に前日になって陛下からの命令で登城しなくちゃならなくなったし、お兄様は朝から用事があって途中からの参加しかできない。


 お母様は相変わらず部屋でお休みになっているし、女中のマーサがいるとはいえ、わたし一人でウィルフレッド様のお相手をすることになったの。


 大丈夫かしらと不安になったけど、元々は二人きりで会う予定ではなかったから、周囲から勘違いされないわよね?

 ウィルフレッド様はとても高貴な方とはいえ、すごく寛容な方。わたしがうっかり不手際をしても、さらっと水に流してくれる……はず。

 だから、そこまで気構える必要はないよね……?


「クリステル様、もうすぐお約束のお時間ですね」


 色々と不安に思っていると、マーサが近づいて楽しそうに微笑んでいた。


「ええ、料理の残りの作業はコックにお任せしてますし、あとはウィルフレッド様が無事にいらっしゃるだけだわ」

「ウフフ、クリステル様が初めてご招待された男性ですもの。腕によりをかけておもてなししたいと思いますわ」


 その意味深な台詞を聞いて、わたしは思わず目が点になる。


「えーと、マーサ? 今回のお食事会は、ただのお礼ですよ?」

「ええ、分かっておりますとも」


 マーサはにこにことご機嫌に微笑んでいる。まるで全部お見通しだと言わんばかりに。

 全然誤解は解けてないようだ。


「あの、本当に全然違うので、気を回す必要はないですからね? 本当ならオルバート夫人も来るはずだったんですから!」


 力強く手を振って否定を強調しても、「お任せくださいませ!」とマーサから気合の入った声が返ってくる。いつもよりウキウキと心弾んだ様子だ。


 ううう、わたしが何か言うたびに余計に誤解が拗れている気がする。もうこれ以上、否定する気になれなかった。


 でも、そういう誤解をマーサにされたってことは、他の人にも同じようにされちゃうのかしら?


 それは困る、困るわ!

 信奉値をうっかり上げてしまって、ウィルフレッド様ルートが進んだら大変だわ!


 ゲーム終了は、魔王を討伐するまで。

 その時点で信奉値が一番高い人と卒業後にエンディングを迎える。だから油断はできない!


 わたしには悪女という偉大な目標があるんだから!


 それにしても、どうしよう……。

 もうすぐ食事会は始まるし、今さら他の方をご招待なんてできないわ……。


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