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あの風景  作者: ポキール
4/6

近くて遠い1

5月に入りゴールデンウィーク真っ只中。私はあいも変わらず家でテレビを見ていた。

友人と遊びにも出かけた。買い物にも行った。ゴールデンウィークに上映される探偵ものアニメも観に行った。これに関しては、2回観に行ってしまった。

なかなか良い連休を過ごしていると、自分を褒めているところだ。

残すは2日何もせずにゆったり過ごそうとしている。私の決心は硬い。


今日の再放送のドラマは隣の市を舞台にした刑事物だった。

隣の市だから地名や大体の位置感はあるが、流石にどこも名前を変えて設定されていた。

観ていると到底隣の市にはない場所が映っていた。母親とこれはどこどこだ、このシーンはあそこだ、なんて言いながら観るのが好きなのだ。

その時おもむろにあのブログのことを思い出した。

"そういえば、あのブログどうしたろ"

ドラマが中だるみしだし、集中の切れてきた私は記憶の彼方にあったブックマークを呼び起こす。

あの日公園で見た景色は良いものであったし、感動もあった。しかし、あれっきり。

その時の満足感でブックマークしたことさえ忘れてしまっていた。その程度のあのブログを。


あれから2件更新されていた。どうやら月に2回くらいのペースで更新しているようだ。

1件目はあの公園だった。それも夕陽の画像がアップされていた。それはよく撮れている写真だった。

現実を見た私からするとこんなものではない。と、スマホに向けてドヤ顔を放つ。

"それでもまぁ、なかなかセンスあるじゃん"

おやつの歯切れの悪いあたり目を頬張りながら、ほんとうに何様かというようにブログを眺めた。

もう1件のブログは知らないところだった。

一応あのタイミングで全てのブログは流し見ていたが、あの公園以外に特に見知ったところはなかった。そして、ブログの文章まで目を通していなかった。

元々読書をする性格でもなく、もっぱらマンガやアニメドラマ等の目に付きやすいものの方が好みだったからだ。

いや、逃げたな。正しくは活字が苦手なのだ。


もう一度公園のブログを見返すと記事もあった。

-この公園から見える景色は、眼下に広がる日常が人々の生活を感じさせます-

-去年と同じ構図で撮影していますが、去年には建設途中だった施設も完成しており、見える景色が少し変わりました。去年同様にあえてその施設は映さず撮影しました-

あの時感じた違和感はちゃんと記事として書いてあったのが今判明した。たしかに去年の記事にもその旨は書いてあった。

そしてこうも綴られていた。

-ここからの景色はやはり夕焼けが美しい。時間の狭間が見えるようです-

と。


なんだろうか。この人は私と感性が近いのかもしれない。そう思った。

これといった趣味もなく、仕事に情熱を持つタイプでもなく、日がな一日を過ごす私と同種なのだと。

それが少し心地良く感じた。

ならばと、親近感ついでにこの2件目の写真の場所を探してやろうと、今だけの興味が沸いた。

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