8 『青の魔女』との再会
「ん? よく見ると、レフィアではないな」
アルジェラーナがソフィアを見てうなった。
「違う女か」
「――彼女はソフィア・アールヴ。俺が所属するギルド『癒やしの盾』のギルドマスターだ」
「ほう? お主は『栄光の剣』に所属していたのではなかったか?」
「そっちは色々あって抜けたんだ」
正確には追放されたんだけどな。
「……ふむ」
アルジェラーナはうなずき、今度はソフィアをまじまじと見つめた。
「やはりレフィアによく似ておるの……いや、しかしあれから時が経っておるし、今は四十半ばくらいか? 人間はすぐに年を取るからの……」
「レフィアは私の母です」
ソフィアが言った。
「なるほど、彼女の娘か! ならば合点がいく」
笑ってうなずくアルジェラーナ。
「容姿は似ておるが、雰囲気が違うな。母親はもっと気が強そうだった。お主は優しそうだ」
「アルジェラーナ、初対面の相手にちょっと失礼じゃないか」
まあ、誰に対しても遠慮がないのが彼女らしさなのだが。
「ははは、それもそうだな。ソフィアとやら、悪かった」
ぺこりと頭を下げるアルジェラーナ。
「いえ、そんな……」
ソフィアは驚いたように両手を振った。
「英雄アルジェラーナ様が私なんかに頭を下げるなんて……」
「悪かったと思ったから、謝ったまでだ。英雄などとかしこまる必要はないぞ」
アルジェラーナが明るい口調で言った。
「まあ、歓談は置いておいて本題に入ろう。お主の力を借りに来たのじゃ、ジラルド」
「力を、借りる?」
「邪神の復活が近づいておる。それを阻止するために、こちらも総力を挙げる必要がある。ジラルド、お主にも働いてもらうぞ」
アルジェラーナが言った。
「邪神の復活……!?」
俺は驚いて彼女を見つめる。
「まさか、もう封印が解けるというのか? だけど、かつて俺たちが施した封印は千年持つと――」
「自然に解けるわけではない、人為的に解除しようとする勢力があるのじゃ」
アルジェラーナが言った。
「人為的に……?」
「そやつらは、わらわの血族でもある」
苦い顔になる『青の魔女』
「血族? じゃあ、まさか――」
「うむ。古来種と呼ばれる者たち。その中の一派が邪神復活を目論んでおる」
「古来種とはエルフの森の特定の森林区画に住む者たち――【選ばれた血族】の総称じゃ」
アルジェラーナが言った。
「【選ばれた血族】……?」
そういえば、以前に『守護の剣』の冒険者サーナに、そんな話を聞いた気がするな。
「もっとも古いエルフの血統――そして、もっとも強大な力を持つエルフたち。わらわたちは、神の血を引いたエルフの直系子孫なのじゃ」
「神の血を……」
「その中には邪神シャルムロドムスの血族もいる」
「じゃあ、そいつらが邪神の復活を目論んでいるのか?」
「うむ」
俺の問いにうなずくアルジェラーナ。
「前の大戦の後、奴らがずっと準備してきたものだ。異空間に六つの装置が建造されておる。今は順次、稼働待ちといったところかの」
「もし稼働したら?」
「当然、邪神の封印は解かれよう。奴が完全体として復活する――」
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