6 バルツとの対峙
「おおおおおおおおおおおおおっ!」
俺は吠えた。
全身から虹色の闘気が吹き上がった。
すべての闘気を同時に顕現させる俺の奥義――『剣帝の闘気』だ。
さっきまでとは比べ物にならない力だった。
「ソフィア、俺の側に」
言いながら、彼女を横抱きにする。
バルツに奪われないように。
同時に、鎧の背部に翼のような追加パーツが出現した。
そこから光の粒子を噴出しながら、俺は突進した。
「なんだと!? さっきまでとはスピードがまるで違う――」
「ここまでだ、バルツ!」
叫びながら剣を繰り出す。
数百の斬撃を、一瞬で。
「ぐっ、がああああっ!?」
すべての触手を切断、さらに返す刀で奴の胴体部を深々と斬りつけた。
「お、おのれぇぇぇぇ……」
バルツは息も絶え絶えだ。
「ソフィアに手を出すことは許さない」
俺は彼女を横抱きにしたままで言った。
「ちっ、いい年をして若い女にたぶらかされたか……?」
「違う。だが、お前に言う必要はない」
俺は剣を振り上げた。
「ひいっ、助けてくれぇぇぇ……!」
先ほどと同じく命乞いをするバルツ。
だが、二度も通用するほど甘くない。
今度こそ――躊躇しない。
「さよならだ、バルツ――」
俺は静かに剣を振り下ろす。
がきんっ。
突然、刀身に衝撃が走り、斬撃の方向がズレた。
「くっ……!?」
標的を外れ、俺の大剣は地面にめりこむ。
「ひ、ひいっ」
その間にバルツは大きく距離を取った。
背中を向けて一目散に逃げていく。
「逃がすか!」
俺はそれを追いかけようと、背中の翼から光の粒子を噴出した。
「うっ……!?」
その瞬間、体の力が抜けた。
これは――?
俺は、ソフィアのスキルのタイムリミットまで戦い、さらにリミット後にもソフィアのキスで追加効果を発動した。
さすがに反動で体にガタが来ているのか……?
「ジラルドさん!」
ソフィアが駆け寄ってきた。
俺を見て、首を左右に振っている。
「無茶しないで……これ以上は、やめてください……」
哀切の、声。
俺は数舜、ソフィアと空を去っていくバルツとを交互に見つめ、
「――分かった」
闘気を収めた。
黒い甲冑が解除され、元の姿に戻る。
残念だが、バルツとの決着はお預けだ。
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