1 再会と襲来
「お前は――」
呆然と立ち尽くす。
堕天使の姿に見覚えがあった。
正確には、見覚えのある男が堕天使のような異形に変化している、というべきか。
「バルツ……!?」
「やっと現れたな、ジラルド。そう、俺だ……バルツだよ」
堕天使バルツがニヤリと笑う。
「俺のギルドに居られなくなって、三流のギルドに移籍したそうだな」
「何?」
こいつ、俺のことを調べたのか?
それとも――。
「そこがお前の大切な場所か? ふん、場末のギルドで三流冒険者のお仲間とは……お前にお似合いだな」
「この場所を……ここにいる人たちを侮辱するな」
俺は剣を抜いた。
「お前の姿はどういうことだ?」
ストレートにたずねる。
「どうもこうもない、俺は人間を超える力を手に入れた。選ばれた人間である俺が、それにふさわしい力を得ただけだ」
バルツが哄笑した。
「今の俺なら、お前を苦もなく打ち倒すこともできる。お前が去ってからというもの、我がギルドは落ちぶれる一方だからな……この疫病神が!」
今までの余裕から一転、いきなり怒声を上げるバルツ。
「ジラルドさんはやらせない」
ヴェルナが左右の手に剣を構えた。
「ヴェルナか。貴様も裏切り者だ」
バルツが拳を振り上げた。
「……何が裏切り者よ。あなたがジラルドさんを陥れたんでしょう!」
ヴェルナは双剣を手に突進する。
「待て、ヴェルナ! うかつに近づくな――」
「でも、こいつは許せません!」
俺の忠告を聞かず、ヴェルナがバルツとの間合いを詰めた。
「【双刃・火凛】!」
彼女の双剣が赤い閃光と化す。
「ふん。A級冒険者といっても、そんな程度か?」
ほくそ笑む堕天使。
「遅い遅い。今の俺には――止まって見えるわ!」
「きゃあっ!?」
その手が一閃し、ヴェルナは大きく吹き飛ばされた。
鎧が砕け、手にした双剣も折れてしまっている。
「バルツ……!?」
強い。
以前のバルツとは比べ物にならないほどに。
「次はお前だ」
「くっ……ソフィア!」
俺は彼女に声をかけた。
ここで【全盛期ふたたび】のスキルを使ってもらう。
『黒き剣帝』としての力をフルに使わなければ、バルツに勝てない――。
「きゃあっ!?」
「しまった――」
一瞬の隙、だった。
バルツの伸ばした触手が、ソフィアの全身に巻き付いている。
「こいつは人質だ。動くなよ、ジラルド……くくく」
バルツの笑みが深くなった。
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