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9 探索3

 俺たちはさらに進む。


「さっきの剣技はすごかったな、ヴェルナ」

「えへへ、前に堕天使相手にふがいない負け方をしたことがあったので。ずっと修行してたんです」


 俺の言葉にヴェルナは照れたような顔をする。


「ジラルドさんにそう言ってもらえたら、すごくうれしいですっ」

「私たちだって、すごいなーって思ってますよ、ヴェルナさん」

「そうそう、憧れです」


 メンバーの女性剣士たちがキラキラした目でヴェルナを見つめる。


「さすがA級って感じだよなー、ヴェルナさん」

「俺たち『守護の剣』のエースだからな」


 と、男性冒険者たちも誇らしげだ。


「エースはあたしじゃないわよ」


 ヴェルナが苦笑した。


「ん、そうなのか?」


『栄光の剣』にいたときも、ヴェルナはエース格として活躍していた。

『守護の剣』に移った後も、当然彼女がエース格だと思っていたのだが――。


「いちおうギルド内での序列はあたしが一位ですけど……たぶん実力ではもうリーネに抜かれてますね」

「リーネに?」

「この間の堕天使との戦いで、あたしたちはみんな手も足も出ずに敗北しました。そんな中でリーネだけはある程度渡り合っていたんです。最終的には敗れましたが……その戦いぶりは見事でした」


 と、ヴェルナ。


「そうか、リーネが……」

「最初は傲慢なところもありましたけど、今は随分と謙虚になりました。そして天才的な魔法のセンスはあいかわらずで、どんどん実力を上げています。本当に、将来が楽しみなんです」


 嬉しそうに語るヴェルナ。


 リーネも、初めて会ったときは傲慢なところがあったが、ヴェルナたちとのかかわりの中で、きっと人間的に成長していってるんだろう。

 彼女たちから期待され、人間関係でも上手くやっていそうな雰囲気を感じ、俺は笑みを漏らした。


 まるで――我が子たちを見守るような気分だ。


 ……俺に子どもはいないけどな。




 その後も、現れたモンスターはすべてヴェルナを中心とした『守護の剣』の冒険者たちが片づけてくれた。

 俺は出る幕無しだ。


 というか、俺が出なくていいようにヴェルナたちが率先して戦ってくれたわけだが。


『ジラルドさんはいざというときの切り札です。ギリギリまで本気は出さないでくださいね』

 と、ヴェルナが再三言ってくれた。


 おかげで、俺は一度も全盛期の力を使うことなく、ついに最深部までたどり着いた――。


 最深部の部屋には巨大な扉があった。

 それを開けて中に入る。


「なんだ、これは……!?」


 部屋全体が巨大な魔導装置になっているようだ。

 中央に円柱状の魔導機械が、壁際には無数の装置がある。


 ウィ……ン、と作動音を立てながら、各機器が明滅していた。


 初めて見る装置だが、どこか既視感がある。


 しばらく考えて、俺はハッと気づいた。


「似ている……」


 そうだ、以前に探索したダンジョンで古来種エルフが作った装置を見つけたことがある。

 それによく似ていた。


「なんの装置なんだ……?」

「もしかしたら、邪神に関係があるのではないですか?」


 ソフィアが言った。


「部屋の端にある機械の画面――小さく『シャルムロドムス』『封印解除』と表示してあるように見えます」

「……!」


 俺たちはその機械の元まで歩く。

 ソフィアの言ったとおりだった。


 画面には『シャルムロドムス』『封印解除』という表示。


 それは室内の装置すべての目的を示す単語だった。


「シャルムロドムス――というのは邪神の名前だ。つまり邪神の封印を……解くための装置、ということか?」


 邪神の封印を、解く。


 一体誰が、何のために――。


 考えただけでゾッとする話だ。


「ジラルドさん……」

「見過ごせるような話じゃないな」


 すがりつくソフィアに、俺はうなずいた。


「そうだな。まずはガウディオーラあたりに相談して――」




「見つけたぞ、ジラルド! 久しぶりだな!」




 突然、壁の一部が吹き飛んだ。

 その向こうから誰かがやって来る。


「お前は――」


 俺は呆然と現れた人影を見つめた。


 かつて俺が所属した『栄光の剣』のギルドマスター、バルツだ。


 ただし、その姿が大きく変わっていた。

 背中に翼、頭上に光輪を備えた堕天使の姿へと。


 人ならざる異形へと――。


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