8 探索2
――というわけで、さっそくその遺跡にやって来た。
俺はソフィアやヴェルナ、さらに数名の冒険者とともに遺跡内部を進んでいる。
この冒険者たちはいずれも『守護の剣』のメンバーである。
ヴェルナ以外は初めて見る顔ばかりだった。
かつて俺と同じ『栄光の剣』に所属し、離脱してきたメンバーではなく、『守護の剣』設立後に新規加入したメンバーのようだ。
いずれも、たたずまいや気配からそれなりの手練だと分かる。
これだけのメンバーを集められるのだから、ヴェルナたちのギルドは順調に育っているといっていいだろう。
それが、我がことのように嬉しい。
「……嬉しいです」
「えっ」
「またこうしてジラルドさんと一緒にクエストをこなせることが、すごく嬉しいです」
と、ヴェルナ。
「はは、『栄光の剣』で組んだとき以来だな」
「あたしはジラルドさんの背中から多くを学んできました。今回も学ばせていただきます」
「君はもう俺から学ぶものなんてない。立派な一流冒険者だ」
俺はヴェルナに微笑んだ。
「そう言っていただけると……光栄です」
「――って、泣いてないか、ヴェルナ!?」
「尊敬するジラルドさんに言われたら、泣くに決まってるじゃないですか……えぐっ、ぐすっ」
一度泣き始めると止まらなくなるタイプなのか、ヴェルナが嗚咽していた。
「え、えっと……」
さすがに戸惑い、立ち止まる俺。
こんなところをモンスターにでも襲われたら、ひとたまりもないな……。
周囲を警戒する。
すると、案の定、
GUOOOOOOO!
うなり声とともに、巨大なシルエットが前方から走ってきた。
直径二メートルはありそうな巨大な眼球。
その下部には触手がうねっている。
『ギガントアイ』。
ダンジョンに住みついたモンスターだろう。
ヴェルナはまだ戦える状態じゃないから、俺が倒さないと――。
「【双刃・火凛】」
視界を赤い光が横切った。
ほぼ同時に『ギガントアイ』がX字型に斬り裂かれ、倒れる。
「今のは――」
振り返れば、二本の剣を構えたヴェルナの凛々しい姿があった。
「さすがだな、ヴェルナ」
俺はフッと笑う。
『まだ戦える状態じゃない』なんて判断は、彼女に失礼だったか。
前に見た堕天使戦よりも、技のキレが増しているようだ。
あれから修行を重ねていたのかもしれないな。
「まだ来ます!」
ヴェルナが叫んだ。
すでにさっきまでの泣き顔じゃなく、凛とした戦士の顔に戻っていた。
そうこなくては。
「ジラルドさんの戦法には時間制限があるんでしょう? あたしが前衛に出ますから、万一の際のフォローをお願いします」
「分かった」
まったく、頼もしいな。
俺は嬉しい気持ちで彼女を見つめていた。
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