7 探索1
「堕天使の軍団?」
「はい、あたしたちのギルドでも被害報告が出ています」
その日、『癒やしの盾』本部にいた俺を訪ねてきたのは、一人の少女だった。
真紅の髪をロングヘアにした美少女剣士。
かつて『栄光の剣』に所属し、今は新ギルド『守護の剣』の中心メンバーとなっているA級冒険者ヴェルナ・ロードである。
「そちらの様子が気になって、こうして参りました」
「こっちではその話は聞いてないな」
と、俺。
「堕天使は今も地上にいるのか?」
「それが……冒険者を襲っては姿を隠し、また数日して冒険者を襲って……という行動を繰り返しているようです。まさしく神出鬼没ですね……」
ヴェルナが言った。
「分かった。もし情報があれば、また俺にも教えてくれ。場合によっては、俺が直接出向いて倒す」
「ありがとうございます。かなりの強さらしくて、『守護の剣』のAランク冒険者も一蹴されました」
「……そうか」
「実は、それに関連して相談したいことがありまして」
と、ヴェルナ。
「相談?」
「これからとあるダンジョン探索に挑む予定だったんですが、さっき言った堕天使によってギルドメンバーが何人も怪我をしてしまって……あたし以外に挑める者がいなくなってしまったです。それで……」
「俺に助っ人を頼みたい、と?」
「お忙しいところ申し訳ありません。もし手が空いていたら、でいいので、考えていただけませんか?」
ヴェルナが深々と頭を下げた。
「もちろん規定の料金はお支払いいたします。あるいはそちらの言い値で――」
「そんなに遠慮するなよ。行ってきていいか、ソフィア? 君にも同行を頼めるとありがたい」
「もちろんです。他のみなさんもそれぞれクエストがありますし、留守はコレットちゃんにお任せしますね」
「はーい!」
窓口のコレットが元気よく手を上げた。
「そういえば、みんな精力的に依頼をこなしてるんだな」
「ええ、頼もしいです」
にっこり笑うソフィア。
全員がそれぞれクエストをこなしていけば、ギルド全体の実績も上がる。
この『癒やしの盾』がもっと上のランクになる日も近いかもしれないな。
「俺は俺でクエストをこなすとしようか。ヴェルナとともに」